竹野川河口での夕焼け

  太陽は日本海に沈む。もちろん海に沈んでいくわけはないのだが,絵に描かれている遠くの堤防から太陽を見ていると海に沈んでいくように見える。いつだったかその様子をじっと見ていたことがあるが,太陽がどんどん海の中に入っていってしまい,「こんなにはやく太陽って動いていたのか」と驚いたことを憶えている。
 空が高いときは,夕焼けがきれいだ。
 空気が澄んで気持ちいいとき,夕焼けはいきなりやってくる。竹野川の河口で出会う夕焼けはなんともいえず美しい。夕焼けの中の家は色合いを失い無彩色のシルエットだ。やがてそれぞれの家に明かりが灯るころ,夕焼けは一段と美しくなる。そ んな時は一瞬でもある。夕焼けが終わる頃,それぞれの明かり下ではどんな話がはずむのだろう。

2007,9,19

河口も護岸が整備され,人間にとって安全が確保された。しかし,失ったものも大きい。護岸を生かし,かつての竹野川の河口を再現する公共事業を期待する。ヨーロッパではそういった公共事業が積極的になされていると聞いた。日本でもそうあってほしい。


水彩画廊へ