御又の橋
 景色というものは,人間の暮らしと共に変わっていくものだ。しかし,それが物理的な面だけでないところがおもしろい。
 風景として感じることができるのは,ぼくたち人間の特権なのかもしれない。変わりはじめは,とても違和感があり,場合によっては許せない気持ちになったりもする。しかし,良くしたもので,そんな景色も長い年月の間にいつの間にか風景になってしまったりしている。スケッチの御又の橋もその向こうに見える家並みも,小学校の統合と共に堤防を整備して造られた足下の語らいの小道も ,それぞれに新しいものなのだが,それらは堂々の風景をつくりだしている。
 きっとぼくたちの心は,そのようにしてあらゆるものを受け止め,そして受け入れてきたんだろう。そう,風景に限らずあらゆることを。

           2007,6,24


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