梨畑

 6月の梨畑は、きれいに選定された枝から新芽が出そろっている。もうすでに受粉作業を終え、今は小さな梨の実には小さな袋がかけられている。秋には太陽の光をいっぱい浴びたおいしい梨になるはずだ。
 この梨畑には井戸が掘られていて、自分も水をよく汲ませてもらっている。雨が降らないときなど「みずとりにいってくる」と母が出かけたのを思い出すが、「とりにいく?」の意味がわかなくて確かめてみたことがあった。それは、川まで水をとりにいくからだった。
 梨の収穫の頃になると、傷ついて出荷できないものが時々並べられている。隣の畑の知り合いが、「たべにゃあ」とひとつ渡してくれた。農作業のおやつにと梨畑の主人の優しい配慮だった。

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