かつての葦原だったところ

 中学生だった頃,竹野の川や海でよく遊んだ。もちろん山でも。行かない日なんてなかったと思う。
 この場所は竹野川の下流域であるが,昔は蘆が生い茂っていた。堤防から下りて,水際まで行くのに,背丈以上に伸びた蘆をかき分けて苦労していかなければならなかった。 途中に人が横になれるくらいの面積の葦を踏みつけ,寝転がったりもした。今思うと,そのあたりにはマムシもいただろうしよくそんなところでと思うが,その頃は自然のものに対しては怖いとか不気味とか感じていなかったんじゃないかなと思う。蛇や蜘蛛やカニや・・・それらみんなが身近な存在だったように思える。
 そんな葦におおわれていた河原は今,アスファルトでおおわれ車も出入りできるところになった。昔みんなで遊んだ芦原は消えてしまったが,代わりに絶好の釣り場になった。

2012,10,28


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