夏の竹野

 30年以上前の教え子から便りが届く。もう今では生徒というより友達のようなものだ。
 今年の便りに、「暑い日が続き、大雨も続き、どないなってんやろう・・・な日々ですね。」と書いてきた。

 天気も含めて、ほんとに日本はどないなってんやろう・・・と思う。

 竹野は今、夏真っ盛りだ。いつもと同じ夏の景色が広がっているが、どこか違和感がある。日本海に面した竹野は少し前までは、神戸や芦屋などの富豪たちの避暑地だった。自分も小さい頃はそういった人たちと浜や旅館でよく遊んだ。
 今考えると、屈託のない田舎の子供たちを相手にすることは、何にもない田舎での避暑では楽しい暇つぶしだったのかもしれない。「明日も指しにおいで」と将棋の相手をした後言われ、何日か遊びに行ったことを思い出す。

 裕福ではなかったが、心豊かな時代だったと、今になって思う。

 気候や世の中が変わってしまった今でも、竹野町の夏の緑は目に鮮やかだ。

2011,7,20


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