竹野町浜地区の町並み「漁港から大通りへ」

竹野町の民家の外壁に「焼きすぎ板」が古くから使われてきた。強い季節風によく耐え、しかも壊れたときその部分だけを簡単に取り替えることができるからと聞いたことがある。 焼きすぎ板は杉板の表面を文字通り焼いたもので、焼かれた後は炭が板に張り付いていて、触ると炭で真っ黒になる。 焼いたときの熱で虫もいなくなり、外壁材としてはとても強い。作り方は至ってシンプル。三枚の板を三角柱に組んで、その下に鉋屑を入れ火をつけて板を焦がす。頃合い(ここは経験がものをいう)を見計らって崩し、水をぶっかけて完成。
杉板は(1)そのまま使う。(2)鍬で簡単に炭を落とす。(3)さらにブラシでこすり炭を落とし年輪を浮きだたせる。などの方法で使用する。

娘の連れ合いが、竹野に始めてきたとき「町が黒い」と思ったそうだ。 そう言われてみれば、昔ながらの町並みが多く残っている馬場町地区は確かに黒く感じる。表面の炭がはげていても灰色で、決して明るくはない。この町で育った者にとって、焼きすぎ板の外壁は慣れ親しんだもので何ら特別のものではない。

でもよくしたもので、そんなずいぶん昔から変わらない竹野町の町並みが、大変珍しく貴重だと最近話題になりつつある。

20170907


水彩画廊へ