諸悪莫作の巻

諸悪莫作
 この「諸悪莫作」の巻は、シンプルな構成でできています。
 まず、「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教」の4句のそれぞれについて解説をされる。

 そのあと、「諸悪莫作、衆善奉行」との教えを聞いた白居易がおもわず「それは3歳の子どもでも言い得る言葉ではないですか。」とつぶやいたことを取り上げて説かれる。

 どちらも、よく知られている言葉であり、逸話であります。

 だが、道元禅師がこの巻で説かれるのは思いがけない諸悪莫作の意味であり、真理の世界です。


 一般には、「諸悪莫作」は、「もろもろの悪をなすことなかれ」という戒めの言葉だと受け止められています。

 道元禅師もこの巻のなかで、仏の教えをはじめて聞いたときにこのように聞こえるのは正しいことだと言っておられる。むしろ、このように聞こえないのは、魔説だと言っておられます

 しかし、この言葉は菩提語であり、その願いをもって仏が修行された力によって「もろもろの悪はなさず」が現成し、全世界、全宇宙を支配しているとされているのです。

 ぜひ、一度、この驚くべき巻を読まれることをお勧めします。



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