神通
 冒頭に「神通は仏家の茶飯なり」とあり、次のようなエピソードが披露されます。

 
大潙禅師がある時、臥せっていた。そこへ弟子の仰山が来た。大潙禅師は面を転じて壁を向いた。仰山が帰ろうとすると大潙禅師が引き止めて、私の見ていた夢を説こうと言われた。
 仰山が畏まって聞こうとしていると、大潙禅師はいきなり
「私の夢を解いてみよ。」と言われた。
仰山は鉢に入れた一杯の水と手ぬぐいを持ってきた。
大潙禅師が洗面を終わって座っていると、香厳が来た。大潙禅師は香厳に向かって、
「今、私と仰山は一上の神通をなした。」と告げると、香厳は次の間で伺っておりましたと応えた。
 大潙禅師に「試みにどのような神通であったか言ってみよ。」と言われて、香厳はたちまち一杯の茶を点じた。
 これを見た大潙禅師は、仰山と香厳の二人の神通は、舎利弗や目連よりも優れているとほめた。
 さて、仏家の神通とはいかなるものであるのでしょうか。

神通の巻

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