阿羅漢
 「もろもろの煩悩が既になく、心に煩いなく、よく自己の利をとらえて、もろもろの束縛をなくしたならば、心は自在なることを得」。これが阿羅漢である。

  古にいう。「我等今日、真阿羅漢なり、仏道の声をもって、一切をして聞かしむ。」
 一切をして聞かしむというのは、けっして仏弟子のみをあげていうのではない。
 意識あるもの、皮肉骨髄あるものすべてをして聞かしめるのである。
すなわち、意識あるものとは、すべての国土草木である。
万法の揺れ落ち、盛り衰えること、生死去来のすべてを聞いているのである。
ただ、仏道の声をもって一切をして聞かしむとは、決してこの全世界は耳を持っていると理解するることではない。
 

阿羅漢の巻

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