イスラマバードの風 NO.33     2010年12月14日発行

 アッサラーム・アレイコム! ご無沙汰しています。 石原武司です。
9月24日から11月12日まで、JICAのパキスタン小中学校理科教育改善プロジェクトの仕事でイスラマバードに滞在していました。
 今回の滞在中、気がかりなことが2つありました。ひとつは、妻の術後の回復が十分でなく、退院してひと月以上経つのに、まだまだ痛みがひかないことでした。もうひとつは、出発直前に起こった尖閣問題でした。私はどちらかというと親中国派で、温家宝首相のひそかなファンでしたが、今回の事件では中国に失望しました。中国は覇権主義に反対してきたはずなのに、これは覇権主義そのものではないかと思いました。毎日、インターネットのアサヒ・コムとNHKワールドで経過を追っていましたが、とてもストレスのたまる2ヶ月でした。

■家族宛メール(9月25日)
 昨夜(現地時間 9月24日午後11時30分、日本時間 25日午前3時30分)、無事、金門ゲストハウスに到着しました。途中、東京から来た新しいプロジェクトメンバーであるW青年とバンコックで合流しました。
 暑さ寒さも彼岸までというのは、パキスタンでも通用するようで、今朝はとてもすがすがしい朝でした。今日は土曜日、今年5月から週休2日制になったので職場は休みです。12時から Mさん、O嬢、W青年と私で、打ち合わせも兼ねてダマネコ展望台のレストランに昼食を食べに行きました。W青年は私と同じ金門ゲストハウス滞在します。昼食のあと、私は彼をファイサル・モスクに案内しました。そのときの写真を添付しますが、私のお腹出てますね。
 郁子さんの膝の具合はどうですか?焦らず、無理せず、少しずつ良くなるよう努力しましょう。11月に帰ったら、温泉に行けることを目標にリハビリ頑張って下さい。まずは、無事到着のお知らせまで。

■家族宛メール(10月10日)
 こちらに来て2週間が過ぎました。朝夕はめっきり涼しくなったのですが、日中はまだ暑く、先日、温度計を見るとまだ30度ありました。毎朝ウォーキングをしていますが、メタボは一向に改善しません。それどころか、先週、体重計に乗ると73kgになっていました。やっぱり食べるのを控えないといけないと思うのですが・・・・。
 先週の月曜の夜に、O先生がパキスタンに到着しました。O先生は理科教育が専門で、この3月まで大学で教えておられました。とても気さくで、アイデア豊かな方です。私と年が近いこともあって、親しく付き合っていただいています。ただ、私の仕事は、もっぱら理科の教師用指導書を作ることですが、O先生の仕事は、教師用指導書を使ったマスター・トレーナー研修の指導、さらにはマスター・トレーナーによる現職教員研修を視察し、アドバイスすることです。
 私は事務所内の仕事、O先生は事務所外の仕事です。日中は余り話ができません。幸い宿舎が同じなので、朝食と夕食をいっしょにするようにしています。朝晩中華料理を食べながら、もうこれ以上メタボにならないよう気をつけて食べています(?)。
 金曜日はO先生を案内して両替屋に行きました。レートはとうとう1円=1ルピーになっていました。1円=0.6ルピーだった3年前とくらべると、隔世の感があります。
 今日、土曜日は休みなので、O先生の歓迎会をかねて、ブルーエリアにあるジャハンギールというレストランで昼食会をしました。初めて行ったところですが、なかなか美味しかったです。しっかり食べてしまったので、今日は夕食抜です。明日の日曜は、O先生をタキシラに案内する予定です。そういうわけで、何とか元気にやっているので安心して下さい。
 
■家族宛メール(10月17日)
 こちらに来て3週間が過ぎました。O先生は、12日間の滞在を終え、昨夜元気に帰国されました。私は、どうも2・3日前から風邪気味で、元気がありません。実は今日(土曜)、O嬢と一緒にイムラン宅に招待されていたのですが、イムランの二人の愛嬢に風邪をうつしてはいけないのでドタキャンしました。昨夜は、何とか風邪を治そうと、たくさん着込み、風邪薬を飲んで、早く寝たのですが、朝起きても、咳と鼻水が止まらず、結局断りました。
 先週の私の仕事は、NISTEメンバーの作ったレッスン・プランについて、制作者と私と3人の現地コンサルタント(Dr.サリーム,Prof.ジャウェイド,Prof.タヒール)で討議し、改良を加えることでしたが、12人のNISTEメンバーのうち4人が長期休暇を取っていて、予定の半分も仕事が進みませんでした。パキスタン人が怠け者なのか、日本人が働き過ぎなのか? どうも後者のような気がします。ボランティアだったら、まあ相手に合わせてボチボチやろうということになるのですが、コンサルタントの仕事はそうはいかないのがつらいところです。 
 でも、おかげで空き時間ができて、Prof.タヒール(写真 左端)といろいろ話ができました。
彼はProf.ジャウェイドと共同で教科書を書いていたのですが、今年9月から現地コンサルタントとしてプロジェクトに加わりました。専門は物理(本当は電子工学)で、なかなかの博学です。
 彼が言うには、1970年代はじめ、パキスタンの科学水準、工業水準は中国より上だったそうです。彼が若かった頃、日本の科学の祭典のような催しが各地で開かれていたそうです。それが今では中国の足下にも及ばない。原因は、印パ戦争、アフガン戦争と戦費がかさみ、教育が顧みられなかったからで、パキスタンの民政予算は全予算の10%に満たないと彼は言います。パキスタンの発展には、何よりもまず平和が必要だと彼は考えています。
  
■家族宛メール(10月24日)
 こちらに来て4週間が過ぎました。ひいていた風邪は、1週間かかってやっと治りました。金曜の夜は雨と風がひどく、ちょっとした嵐だったのですが、それが通り過ぎて、パキスタンの長い夏がようやく終わり、一気に晩秋に入った感じです。昨夜はきれいな満月が見られましたが、日本はどうでしたか?
 今日、O嬢とMr. イムランの家に行ってきました。前々からイムランは私とO嬢を昼食に招待したいと言っていました。私も6ヶ月前に誕生した2番目の娘にまだ会っていないので、ぜひ行きたいと思っていました。それがやっと実現しました。
 下の娘はハンナといい、どちらかというとお母さん似でした。すぐ私に慣れて、しばらく抱いていると私の腕の中で眠って
しまいました。上の娘はカディージャといい、もう2歳です。こちらはお父さん似で、すこし人見知りが始まっていました。
 私が魚とじゃがいもが好物だといっていたので、奥さんが魚のフライとじゃがいものカレー煮、チキンバリアーニなどを作って待ってくれていました。イムランの奥さんはなかなか料理上手で、私もO嬢も久しぶりに美味しい料理にありつくことができました。私たちはラハットというブルーエリアのお菓子屋でケーキとクッキーを買って持って行きました。


 郁子さん、膝の具合はどうですか? 早く腫れが引いて、痛みがなくなるといいのですが・・・。でも焦りは禁物、ぼちぼち良くなるのを待ちましょう。リハビリも頑張りましょう。あと3週間で帰国です。帰ったらぜひ温泉に行きましょう。11月半ばだから、紅葉もきれいでしょう。
 ではみなさん、今週もがんばりましょう。

■家族宛メール(10月30日)
 アサラーム・アレイコム。みなさん、お元気ですか? 
こちらに来て5週間が過ぎました。いよいよ帰国まであと10日余りになりました。
 今週は火・水・木とレッスンプラン作成ワークショップがありました。1レッスン・プラン当たり20分、毎日12〜15レッスン・プランを審査、その改善策を議論します。議論をしだすと20分ではとても足りず、つい30分・40分になり、審査を待つ人がたまってきます。3人のパキスタン人コンサルタントは人を待たせることを余り気にしないので、私1人が時計を見ながらやきもきしています。とても疲れます。
今日(金曜日)そのワークショップもやっと終わりほっと一息ついています。でも本当は一息ついていてはいけないのです。この3日間のワークショップで、NISTE以外のメンバーのレッスン・プランはほぼ完成したのですが、これから帰国まで約10日の間に、NISTEメンバーの約20人のレッスン・プランを完成させねばなりません。最近、このメンバーはよく休むし、いまいちやる気がないので、彼らにいいレッスンプランを作らせるのは、並大抵ではありません。でも頑張るしかありません。 
 私は11月11日(木)午後6時10分関空着のTG672で帰国します。圭さん、もし木曜日休みがとれるなら迎えに来てください。でも、駄目ならリムジンで帰りますから心配しないで。ではでは。

■2010年もいよいよ残りわずかになりました。
 皆さんよいお年をお迎え下さい。そして来年もよろしくお願いします。石原武司。
 
  
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