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『きつねのおきゃくさま』(あまん きみこ作)で100発問

更新 2003年4月8日

向林 忠晃(和歌山県)

 『きつねのおきゃくさま』で100の発問づくりに挑戦した。

 

□国語教科書『ひろがることば 小学国語 2下』(教育出版)に『きつねのおきゃくさま』(あまん きみこ作)が収録されている。
 この教材で100の発問(指示を含む)をつくった。
 『きつねのおきゃくさま』は大きく7つの段に分かれている。
 以下、段毎に発問・指示を示す(「→」の右に向林の解を示す)。

■1の段

教科書p.24
1.「むかしむかし」と「むかし」では、どう違いますか。→むかしむかし=大昔

2.「あった。」と「あったとさ。」では、どう違いますか。→「あったとさ。」=「あったそうです。」「と」は引用を示し、「さ」は軽い言い切りを表す。

3.季節はいつですか。→冬

4.「はらぺこきつね」とありますが、「はらぺこのきつね」と普通は言いますよね。どうして「の」を抜いているのでしょうか。→「はらぺこきつね」の方が七音でリズムが良いから。

5.「やせたひよこがやってきた。」、絵に描きなさい。→語り手はきつねの背後から、ひよこがこちらに向かって来るのを見ている。

6.「がぶりとやる」、やってごらんなさい。【動作化】→口を大きく開け、一気に食いつく。

7.きつねはひよこを食べたのですか。→食べていない。「がぶりとやろうと思った」とあるから。

8.「やせているので考えた。」、何を考えたのですか。→「太らせてから食べようと」

9.「やせているので考えた。太らせてから食べようと。」、これは元々一つの文です。正しい一文に書き直しなさい。→やせているので、太らせてから食べようと考えた。

10.「そうとも」は「そうなのです」という意味です(「そうとも」は、「そう」=「そのように」と「とも」=強意を組み合わせた語)。では、「そう」はどこを指していますか。→「はらぺこきつねが歩いていると、やせたひよこがやってきた。がぶりとやろうと思ったが、やせているので考えた。太らせてから食べようと。」まで。

11.「よくあることさ。」の「こと」とは、どんな事ですか。→「はらぺこきつねが歩いていると、やせたひよこがやってきた。がぶりとやろうと思ったが、やせているので考えた。太らせてから食べようと」すること。

12.「」は誰の言葉ですか。ひよこなら「ひ」、きつねなら「き」と書きなさい。

13.「やあ、ひよこ。」「やあ、きつねお兄ちゃん。」「お兄ちゃん? やめてくれよ。」、ここを二人組みで読みなさい。【音読】

14.「でも、」を使って文を作りなさい。【短文作り】

15.「みぶるい」(嫌悪のために体が震え動くこと。)、やってごらんなさい。【動作化】

16.どうして、きつねは「みぶるいした」のですか。「僕は・私はこう思います。なぜなら、こう書いているからです。」とい
 う言い方で発表しなさい。

17.「目をまるくして」(驚いて目を大きく見開く。)、やってごらんなさい。【動作化】

18.どうして、ひよこは「目をまるくし」たのですか。

p.25
19.「ねえ、きつねお兄ちゃん。どこかにいいすみか、ないかなあ。こまってるんだ。」「よしよし、おれのうちに来なよ。」「きつねお兄ちゃんって、やさしいねえ。」「やさしい? やめてくれったら、そんなせりふ。」を、二人組みで読みなさい。【音読】

20.「すみか」の意味は何ですか。

21.きつねが「よしよし、おれのうちに来なよ。」と言う時、きつねはどんな顔をしていますか。読みながら、やってみなさい。【動作化】→「平静を装った顔」派と「作り笑顔」派の討論になるかも?

22.「よしよし」は「よし」(ここの場合、承認・決意の気持ちを表す。)と一回で良いのに、どうして二回言ったのでしょうか。 →自分に、落ち着くよう言い聞かせるため。

23.ひよこの言葉「きつねお兄ちゃんって、やさしいねえ。」これはひよこの本当の気持ちですか、それとも作戦で言ったのですか。→本当の気持ち。討論になるかも?
24.「せりふ」を別の言葉で言いなさい。→言い方。文句。言いぐさ。

25.「やめてくれ、そんなせりふ。」これを正しい一文に書き直しなさい。→そんなせりふはやめてくれ。

26.「やめてくれ」と「やめてくれったら」、どう違いますか。→「たら」(=自分の意向に相手が添わないことを苛立たしく思う気持ちを表す。)は、イヤだというきつねの気持ちをより強めている。

27.「なんて言われた」とありますが、「と言われた」と比べると、どう違いますか。→(なんて=思い掛けなかった意外な気持ちを表す。)「と」なら、単にこう言われたということしか表さないが、「なんて」できつねの意外だという気持ちを表すことができる。

28.「ので、」(=原因・理由を示す。)を使って、一文を作りなさい。【短文作り】

29.どうして、きつねは「ぼうっと」(=ぼんやりするさま。分別が付かなくなるさま。)なったのですか。教科書から書き抜きなさい。→「生まれてはじめて『やさしい』なんて言われたので」

P.26
30.「おっとっと、おちつけおちつけ。」、これはきつねの言葉ですね。読んでごらんなさい。【音読】→小さい声で。心の中で。

31.きつねは転んだのですか。→転び「そうになった」だけ。

32.「切りかぶ」を絵に描いてごらんなさい。

33.「それは」(=非常に。とても。)が有るのと無いのでは、どう違いますか。

34.「それはやさしく食べさせた。」、きつねの気持ちを想像して書きなさい。→早くひよこを太らせて食べたい。

35.「言うと」(と=…する時はいつでも)を使って、一文を作りなさい。【短文作り】

■2の段

P.26
36.「ある日」は、1の段の次の日ですか。→そうかもしれないし、違うかもしれない。しかし、次の日なら「次の日」「翌日」と書くだろう。

37.「ひよこが、さんぽに行きたい」と言ったのは、この時が初めてなのですか。→そう。

p.27
38.「はあん。にげる気かな。」、読んでごらんなさい。【音読】→きつねの心の声。

39.「そうっと」とあります。「そっと」と、どう違いますか。

40.「きつねは、そうっとついていった。」、絵に描いてごらんなさい。→語り手はきつねの背後からひよこを見ている。

41.季節はいつですか。→春

42.ひよこは春の歌を歌っています。止まっていますか、歩いていますか。→「歌いながら歩いて」だから、歩いている。

43.ひよこは「春の歌」だけが好きなのですか。→違う。他にも好きな歌がある。(なんか=他にも同様のものがある意を含んで、ある事柄を示す。)

44.「ひよこが春の歌なんか歌いながら歩いていると、やせたあひるがやってきたとさ。」、絵に描いてごらんなさい。

45.「」は誰の言葉ですか。ひよこなら「ひ」、あひるなら「あ」と書きなさい。

46.ひよことあひるでは、どちらが年上だと思いますか。→あひる。ひよこは「いいすみか、ないかなあ。」と単語をつなげたように話し方をし、「きつねお兄ちゃんって」と幼い感じがする言い方をしているのから。あひるは「いいすみかはないかなあ。」とくっつきの「は」をきちんと使っているから。

47.「とうんでもない。」と「とんでもない。」、感じがどう違いますか。

p.28
48.「首をふった」、やってごらんなさい。【動作化】

49.「ううん。きつねお兄ちゃんは、とっても親切なの。」を、動きを付けながら言ってごらんなさい。【動作化と音読】

50.どうして、きつねは「うっとり」したのですか。→ひよこに「とっても親切」だと言われたから。(うっとり=心を奪われてぼんやりするさま。魅入られてぼうっとするさま。)

51.「五かいもつぶやいた」、五回つぶやいてごらんなさい。【音読】→小声でブツブツ言う。

52.「五かいも」(も=強調)と驚いているのは、誰ですか。→語り手

53.「そこで」を、別の言葉で言いなさい。→さて。ところで。

54.「いそいでうちにかえる」、帰ったのは誰ですか→きつね

55.「まっていた。」、誰が、誰を待っていたのですか。→きつねが、ひよことあひるを待っていた。

■3の段

p.29
56.季節はいつですか。→夏

57.「」は誰の言葉ですか。ひよこなら「ひ」、あひるなら「あ」、うさぎなら「う」と書きなさい。

58.「あたしたち」は、誰ですか。→ひよことあひる

p.30
59.「きぜつ」とは、どういう意味ですか。

60.きつねは「きぜつ」したのですか。→していない。

■4の段

p.30
61.「くろくも山」の「くろくも」とは、何ですか。→黒雲=不吉、不気味

P.31
62.「」は誰の言葉ですか。→おおかみ「こりゃ、うまそうなにおいだねえ。ふんふん、ひよこに、あひるに、うさぎだな。」
                  きつね「いや、まだいるぞ。きつねがいるぞ。」

63.「こりゃ、〜うさぎだな。」はおおかみの言葉です。おおかみはどこでこの言葉を言っていますか。→「きつねのすみかの中」派と「外」派で、討論になるかも?

64.「ふんふん」、おおかみは何をしているのですか。→臭いをかいでいる。

65.「ふんふん」を読んでごらんなさい。【音読】

66.きつねのすみかに窓はあるのですか。→多分、ない。

67.「言うなり、きつねはとび出した。」とありますが、きつねはどこへ飛び出したのですか。→自分の家の外。

68.「ひよこに、あひるに、きつねがいるぞ。」(この「に」は、並列の意を表す。)とあります。「〜に〜に〜がどうした。」という形の一文を作りなさい。【短文作り】→私は、焼きそばにカレーライスに焼き肉が大好きです。

69.「言うなり」とは、どういう意味ですか。

70.「りんりん」はひらがな書きです。「リンリン」とカタカナ書きにするのとでは、どう違いますか。また、この「りんりん」はどういう意味ですか。→リンリンは音を表し「りんりん」(凛々)は様子を表す言葉。勇ましい様子。りりしい様子。

71.「わいた。」、元の形は「わく」です。「わく」を使って一文を作りなさい。【短文作り】

72.「たたかった、たたかった。」と「おお、たたかったとも、たたかったとも」、感じがどう違いますか。→(とも=強意を表す。「もちろん」の意を含む。)

73.「じつに」と同じような意味の他の言葉を言いなさい。→本当に。まことに。全く。

74.「いさましい」は、どういう意味ですか。→物怖じせず、堂々としている。

75.「おお、たたかったとも。たたかったとも。(改行)じつに、じつに、いさましかったぜ。」、読んでごらんなさい。【音読】

■5の段

p.33
76.きつねとおおかみは、どのくらいの時間、戦ったと思いますか。

77.「とうとう」と同じような意味の言葉を言いなさい。→ついに。結局。

■6の段

p.33
78.「そのばん。」とは、きつねとおおかみが戦った晩ですか。→そう。

79.どうして、きつねは「はずかしそうにわらっ」たのですか。

80.きつねの体は、どんな風になっていたと思いますか。→当日に死んだぐらいだから、体中傷だらけで血まみれになっていたと思う。

■7の段

p.33
81.4の段から7の段の、季節はいつですか。→秋から冬にかけて

82.「にじの森」の「にじ」とは、何ですか。→虹=きれいな、天国に近い

83.大きいお墓を作ればいいと思うのですが、どうして「小さい」お墓なのでしょうか。→ひよこ・あひる・うさぎは、きつねにずっと面倒を見てもらってきたので、自分達では大したことができなかったから。

84.「そのうえ」を使って、一文を作りなさい。【短文】→例:遅刻して、そのうえ宿題まで忘れた。

85.「ゆうかん」(勇敢)とは、どういう意味ですか。→勇気があり、進んで物事に立ち向かっていくさま。

86.ひよこ・あひる・うさぎの「なみだ」は、どんな涙ですか。→きつねを喪った悲しみの涙。同時に、自分達を育ててくれて、命を懸けて守ってくれたきつねに感謝している涙。

87.「とっぴんぱらりのぷう。」、どういう意味ですか。→終わり。おしまい。

■作品全体に関わって

88.「きつねのおきゃくさま」は、誰ですか。→ひよこ・あひる・うさぎ・おおかみ。おおかみが「おきゃくさま」に入るかどうかで、討論になるかも?

89.作者は誰ですか。→あまん きみこ

90.地の文(本分の「」以外の文章)を話しているのは、誰ですか。→語り手

91.ひよこ(あひる・うさぎ)がきつねのすみかに来て、まるまる太るまでに、どのくらいかかったのでしょうか。→だいたい3か月。(いろいろな解釈があると思う。)

92.p.26の8行目「ぼうっとなった。」、p.28の8行目「ぼうっとなった。」、p.30の8行目「ぼうっとなった。」、同じですか、違いますか。→違う。
  どう違いますか。→だんだん強くなっている。

93.きつねの気持ちがガラリと変わった(これをクライマックスと言う)のは、どこですか。→3の段「言うなり、きつねはとび出した。」
  また、どう変わったのですか。→その前は、きつねにはどこかに、ひよこ達を食べようという気持ちがあったが、その時からは、ひよこ達を守ろうという気持ちになった。

94.1の段の最初。何が「あった」のですか。→「はらぺこきつね」から最後の「なみだをながしたとさ。」までの事。

95.このお話は、いつの季節から始まり、いつの季節で終わっていますか。→冬から冬(約1年間)。

96.ひよこ・あひる・うさぎの中では、誰が一番スゴイと思いますか。また、それは何故ですか。→ひよこ(=未熟な者。まだ一人前になっていない者。ひよっこ。)がそもそもきつねを信じたので、あひるもうさぎもきつねを信じ、きつねが変わっていったから。

97.あひるは、本当は、このお話に出てくることはおかしいのです。どうしてだと思いますか。→あひる(家鴨)は、字のとおり、マガモを家畜として飼い慣らし改良したものであり、野生には暮らしていないから。もちろん、逃げ出して野生化したという屁理屈を言うことはできる。

98.1の段の終わりの行「ひよこは、まるまる太ってきたぜ。」、2の段の終わりの行「あひるも、まるまる太ってきたぜ。」、3の段の終わりの行「うさぎも、まるまる太ってきたぜ。」、これらはきつねの言葉ですか、語り手の言葉ですか。

99.きつねの気持ちは同じですか、変わっていますか。また、そう考えた理由も書きなさい。→変わっている。「やさしい」、次に「親切」、次に「かみさまみたい」と、言われるに連れて、きつねの気持ちが優しくなってきたと考えるから。また、1の段「それはやさしく食べさせた。」、2の段「それは親切だった。」(親切=思いやりがあって、優しいさま。)、3の段「そうとも、かみさまみたいにそだてた。」(育てる=@成長させる。養育する。Aしつける。教え導く。ここでは@。)と、語り手の表現も変わってきているから。しかし、きつねの本能である食欲はまだ消し去ることができない(「まるまる太ってきたぜ」)。しかし、最後には、優しい気持ちが食欲を消し去った。

100.きつねは、イイ奴ですか、悪い奴ですか。→始めは悪い奴だったが、途中からだんだんイイ奴になってきて、最後には本当にイイ奴になった。(意見が分かれて、討論になるかも?)

101.このお話で、作者の「あまん きみこ」さんが言いたかったことは何だと思いますか。【主題】→(読み取りの深さが判断できる。)

◆法則化セミナー97テキスト『向山洋一の「ひょっとこ」の授業』を参考にして作った発問
102.このお話は、いくつの出来事(これを「題材・事件」と言う)からできていますか。→七つ

103.このお話は、七つの出来事に分かれます。「〜が〜する。」という形で書きなさい。
   →1.きつねがひよこに優しくする。
     2.きつねがひよことあひるに親切にする。
     3.きつねがひよことあひるとうさぎを神様みたいに育てる。
     4.きつねが勇ましくおおかみと戦う。
     5.おおかみがきつねとの戦いから逃げる。
     6.きつねが死ぬ。
     7.ひよことあひるとうさぎがきつねのためにお墓を作る。



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