2005年3月22日 彦根市議会定例会 請願書採決



辻橋正一 産業建設常任委員長

 産業建設常任委員会委員長報告を行います。
 
本委員会に付託されました請願は、請願第2号場外舟券・車券売場設置反対の請願書の1件でありました。

請願を議題といたしまして発言を求めましたが、発言がなかったために採決を行いました。

「ご異議はありませんか」と発言したときに、「異議あり」という声がありましたので、起立により採決することにいたしました。

請願について採択すべきものと決することに賛成する委員の起立を求めましたが、起立なしでありました。

よって、本請願は、不採択すべきものと決しました。

 

獅山向洋 議員(無所属)

 この舟券・車券の問題につきましては、既に過去の議会におきましても意見を述べましたので、改めて重複する部分は抜いておきますけれども、私は弁護士として多くの破産事件を取り扱ってまいりました。

その中の何割かは、やはりギャンブルが原因になっております。

私の経験では、どちらかというと、パチンコによるサラ金借金、破産というのが多いんですけれども、少数ではありますけれども、競馬あるいはボートレース、自転車競技ということによって破産に追い込まれた人もあるわけでございます。

その方々の話を聞きますと、最初はほんの小さなきっかけで行くわけですが、のめり込んでしまうわけです。

特に最初の小さなきっかけというのは、距離の問題もかなり大きくございまして、近くにそういう競馬場とかがあるとか、あるいは場外馬券・舟券・車券売場があると、そういう距離的な問題でのめり込んでしまう人も結構あるわけです。

しかも、一旦近くでのめり込んでしまうと、長距離であっても、時間もお金もいとわずに行くというのが通常の経過でございます。

私は、法的に認められているのになぜ反対するのかというふうにおっしゃいますけれども、逆に言いますと、法的に認められていても反対する権利はあるし、許可とか認可の条件もきちっと決まっているわけでございますから、そういう意味で、やはりこういうような言うならばギャンブル施設というものは、私たちの彦根には必要がないというふうに考えているわけでございます。

最近も私がこういう場外舟券・車券に反対しているということを聞いて、私は先生と呼ばれてしまうんですが、なぜ先生がそれに反対するんだと、こういうふうにおっしゃる方、これは少数ですが2人おられました。

失礼な言い方をしますと、その方々はもう既にギャンブルをやっておられて、近くにぜひともそういうギャンブル場が来てほしいという気持ちの方でございます。

ありありとそれが顏に出ていましたし、はっきりとおっしゃっていました。

そういう方々のために来ていただくというのはどういうものかなというふうに思いますし、同時に、ある主婦は、この請願書について彦根の市議会が否決していると、それを知って、「随分ギャンブル好きの議員さんが多いんですね」と、こういうふうにおっしゃっていました。

市民の受けとめ方というのはそういうものなんですよ。

なぜこんなギャンブルを承知しはるんやろうと。

うちの旦那がそういうところへ行ってもらったら困ると。

皆さんも苦しい家計の中でやりくりしてやっておられるわけですよ。

そういうときに、こういうものが来て、うっかりそういうところに主人が行って、のめり込んでしまったら困ると、本当に切実な気持ちでおっしゃっています。

そういう意味で、なぜ議員さんがこんなものを賛成するんだろうというような気持ちを持っておられる方は大変多いわけでございまして、私たちはそういう市民の気持ちというものを十分に考える必要があると思います。

私は、そういう意味で、私自身の職業柄知っていることと、いろいろな方から聞いた話をもとに、もちろんいろんな理屈はたくさんあるわけですが、それはそれとして、市民の率直な感情として反対しますし、皆様もぜひともご賛同いただきたいと思っております。
 


松本忠男 議員(市民コラボ)

 私は、請願第2号の場外舟券・車券売場設置反対の請願書の賛成討論をさせていただきます。

先ほど獅山議員からありましたんですけど、別の観点からお話ししたいと思っております。

まず初めに、原開発委員会ならびにNPO原ということが原自治会と同根であるという認識の上で賛成討論をさせていただきます。

地元の原自治会、鳥居本小学校連合自治会、鳥居本小学校区の各種団体が場外舟券・車券設置に開発業者と基本協定を締結されました。

開発業者がそれに基づき確約書を彦根市に提出し、中島市長がこの計画に同意されました

市長は、この計画を十分に調査せず、また、市民への情報公開を遅らせ、市民の意向を無視したものであります。

まず、原自治会は、この開発の土地を所有し、開発地の地主であります。

原自治会と開発業者は土地の賃貸関係なり、この開発について一体関係であります。

同意することを云々する資格がありません。

原自治会は、この開発の主催者自体であり、原自治会の同意は無効であると考えられます。

原自治会は、この開発で影響が波及する隣接自治会に同意を求める立場であり、義務があります。

次に、この開発は、地元単位自治会の同意だけで設置が許可されると言われています。

なぜ余り関係のない広域の鳥居本小学校区連合自治会の同意が出てきたのでしょうか。

それは、先ほど説明しましたように、開発業者と原町自治会が同体であり共同体であります。

原町自治会が開発する行為に自分自身が同意することは当たり前であり、必要はありません。

非難の矛先をかわすために影響の少ない鳥居本小学校区連合自治会の同意をとってきたものと推察されます。

この開発について、原町自治会、開発業者は、切っても切れない間の同一体でありますので、鳥居本小学校区連合自治会に同意をとるよりも、地形的にもすべての影響をもろに受ける東中学校区の周辺自治会の同意をとるべきであります。

しかしながら、市長の同意発覚後、佐和山小学校の複数の自治会、原地先自治会および旭森小学校区の全自治会および旭森小学校区連合自治会が場外舟券・車券売場設置に反対されています。

ついに、鳥居本小学校区社会福祉協議会が同意されましたことは、温浴施設と老人福祉施設が設置されますので同意されたものと思います。

この場外舟券・車券売場設置の開発許可の隠れみのであります。

また、鳥居本小学校区青少年育成協議会も同意されました。

スポーツ施設等の関連施設が設置されますので、これも同意されたと思いますが、しかしながら、青少年健全育成の環境浄化や少年非行防止に携わる青少年育成協議会の同意されたことは、全く非常識な見識が創出されたものと思われます。

私自身も旭森青少年育成協議会の会長として携わっているんですけど、国道8号線付近を見ますと、ゲームセンター、パチンコ、カラオケ等、青少年にかかわる多くの施設を抱えておりますし、東中学校区は警察署からパイロット地区にも指定され、その地域で発生する非行少年の事件、またその地域の住民が起こす非行少年の数が彦根市で1番と聞いております。

ワースト1の地域にこのような施設は必要ではないと思われます。

つけ加えますが、場外舟券・車券売場設置反対の請願の方々も、この温浴施設と老人福祉施設、スポーツ関連施設の複合施設には反対されておりません。

場外舟券・車券売場設置は、少々商業の活性化および雇用の創出等のメリットはありますが、歴史と文化のまち彦根市にギャンブル施設は必要でしょうか。

彦根市の健全な発展を阻害すると思われます。

ギャンブルのまちは、彦根市の商業の活性化にもつながりません。

青少年の健全育成にも環境悪化は明白であります。

地域の生活環境、教育環境、文化環境にも悪影響は深刻かつ重大であります。

いかなる視点から考えましても、最大のデメリットであります。

これらを総合的に考えますと、中島市長の決断は早計であり、熟慮がなく、開発業者および原町自治会の陰謀にはかられたものと思われます。

それとも、中島市長はハード面の建設好きな市長だったかもしれません。

最後に、場外舟券・車券売場の設置は、1地域の課題ではありません。

輝かしい未来の持てる彦根市全体の問題であります。

本当に彦根市に場外舟券・車券売場は必要な施設でしょうか。

この施設のメリット・デメリットを議論することは、私自身は本末転倒していると思います。

本質は、本市の繁栄のあるべき姿、本市のなりたい姿を考えることが必要であると考えます。

私は、彦根市に場外舟券・車券売場は必要のない施設と考えます。

よって、場外舟券・車券売場設置の請願書に賛成いたします。

議員の皆様方のご賛同をよろしくお願い申し上げます。



岩崎国次 議員(公政会)

 私は、請願第2号場外舟券・車券売場設置反対の請願書について不採択、つまり反対の立場で討論に参加しますが、先ほどこれに賛成のご意見も拝聴しました。

それも事実でありましょう。

しかし、当事者といいますか、地元の方あるいは学区の多くの方、さらにこういう事業に賛成の方もおられますし、特に当事者の場合は、懸念される事項をできるだけ除去しながら、その事業の推進に進みたい、やらせてほしいと、こういう意思を持っておられることもこれまた事実であります。

そういう意味で、私は以下この請願書に反対の討論を行います。

この請願とほぼ同じ内容あるいは趣旨、目的を持った請願は、去る12月にも、またそれ以前の定例会でもいずれも不採択でありまして、議会の意思は明白であります。

同一年度におきまして、このように1度ならず2度、3度という形で不採択になった請願書を定例会ごとに出されるということには、よほど大きな条件なり内容の変更があった場合ならばいざ知らず、私はこの辺の理解をどのようにすればいいのか、実は思案しているわけであります。

また、請願書そのものの重み、あるいはあり方についても一考も二考も要するのではないかと、それも現在思案しております。

とはいえ、今回もこういう請願が出されたものですから、私自身の考えを再度あるいは再々度になりますけれども、簡単に述べてみたいと思います。

この事業は、温浴施設を中心としたリゾートあるいはレクリエーションなどを含んだ複合施設として考えられているものでありまして、既に滋賀県あるいは大津市が実施しておられる競艇とか競輪の場外券を商おうとするものであります。

また、地元関係者は、広い土地の有効な利用を第一に考えておられるのでありまして、経済振興にもつなげたいと、こういうような仕事をやらせてほしい、始めたい、こういうように思っておるものであります。

もちろん、指摘されている事項あるいは行政指導にはしっかりと対応するということをはっきりと言っておられます。

実は先日、この請願書を持ってこられた請願者の方に、地元関係者や業者はいつでもお会いし意見を拝聴する、さらに対応したいというようなことを言っているというようなことを紹介しておきました。

そういうことをお伝えしたものでありますし、そうした場をできるだけ早く持たれることを私は希望しておきます。

なお、地元の自治連合会を初め各種の団体、その他この事業に理解をしている多くの方は、せっかく地元が考えているこういう事業に賛成していることを改めて申し添えておきます。

なお、ギャンブル云々のことについてご意見がございましたけれども、前も言いましたように、これは古くから我々の日常生活の中にある一つのレクリエーションとも言えるものでありまして、これを楽しみにしておられるという方もおられること、これまた事実でありますけれども、この辺については、賢明なる皆さんにはくどくどと申しません。

要は、地元でこういう仕事をやらせてほしい、やりたいという、そういう強い意思を持っておるということを理解してくださいまして、この請願書の不採択を私は強く主張するものであります。

以上です。



山田多津子 議員(日本共産党)

 請願第2号場外舟券・車券売場設置反対の請願書について討論を行います。

昨年6月議会におきまして、私はこの場外舟券・車券売場設置問題について質問をいたしましたが、既に昨年の5月26日に中島市長は設置に同意をしていたことが今議会の質問で明らかになりました。

市長は、昨年6月議会の私の質問に対し、「開発事業者が、施工者である滋賀県と場外舟券売場設置の協議を行うことについて、市に同意を求められたものであります」と答弁をしています。

また、山口議員の質問に対しましても、「昨年12月に原開発委員会より市に概要説明をされ、さきの26日、設置に係る協議を行うための同意をしたものです」と答弁をしています。

つまり、これら2つの答弁は、いずれもわざわざ
設置に係る協議を行うことに同意をしたと説明をしています。

しかし、この3月議会での私の「同意」に対する質問に市長は、「場外舟券・車券発売所は、生活環境の影響を受ける地元自治会および各種団体との基本協定を締結された上での同意要請であります。彦根市に対しましても、青少年健全育成、交通・防犯、生活環境の対処について万全を期することが確約されたことから、条件付で同意をしたものです」と答弁しました。

さらに再質問では、「6月議会では、基本的には同意をしています。同意がなければ協議が始まることはあり得ないことから、協議をするための同意と申し上げたものです」と答弁をし、昨年6月議会の私への答弁そのものが、設置することを同意したことだと説明をしました。

市長は、このように、だれが聞いても、協議することへの同意と設置することへの同意を混在にした理解しにくいような答弁を繰り返していましたが、5月26日の同意書が出されていたことが判明し、私の3月議会の質問で、設置に同意したことを認めざるを得ませんでした。

このように
議会においても事実を答弁してこなかった市長の態度は、信頼関係で成り立っている議会を軽視していることにほかならず、これは大変な問題です。

また、国土交通省の設置許可基準は、当該場外発売所の所在する市町村の自治会の同意が必要とされており、設置場所を区域とする自治会および設置によって影響を受ける範囲内の全自治会の総会による過半数の同意が必要とされています。

この問題でも、この3月議会で「事業者と自治会との基本協定が締結されており、国の設置許可基準を満たしているものと考え、同意をした」と市長は答弁されています。

しかし、鳥居本のある自治会長さんは、「そんな話は一度も聞いたことがない。説明も受けたことがない」と言っておられます。

この基本協定書は、鳥居本学区自治連合会として締結をされていますが、先ほども申し上げましたが、単位自治会での同意にはなっていません。

さらに、周辺の自治会は鳥居本だけではありません。

もっと影響を受ける旭森学区や佐和山学区など周辺自治会への説明責任を果たさないままでの同意をしたことは、国土交通省の設置許可基準にも合致しないことであります。

さらに、市長が同意のもう一つの大きな理由として、複合施設の誘致で集客や雇用の拡大が見込めるとの考えを示してきましたが、3月議会の質問に対し、「計画の概要しかつかんでいないし、まだ構想の段階の中でということで、どれぐらいの雇用があるかということはつまびらかにつかんではいないが、雇用の増大が見込めるものと考えた」と根拠のない答弁をしています。

設置賛成を前提とする市長の態度がはっきりとしています。

次に、ギャンブル性の問題について、今度の場外舟券・車券売場計画の内容は、場外馬券売場とは異なり、開催日もほぼ毎日となっております。

利用者は、舟券売場では1日1,000人、車券売場では800人と予測がされていて、このことで起きる交通問題や青少年への影響ははかり知れないものがあります。

先日、反対する会の皆さんが神戸の競艇場を視察されてきました。

「確かに建物は立派なものだったけれども、施設を一歩外に出ると、路上に寝転んだ方がいる。

見学が終わり出てきても、同じところに寝転んだままだった。

だれも声をかけない。

警備の方もいましたけれども、見向きもしない。

本当にそら恐ろしいものを見た」、こんなことを言っておられます。

現実問題として、ここ彦根でもそんなことが起こってきます。

彦根城をシンボルに歴史ある観光都市であります。

また、県立大学も誘致して、複数の大学が存在する、県下でも有数の学園都市でもあります。

場外馬券売場の計画以上に連日1,800人とも言われる人たちの出入りは、単に交通問題というだけでなく、特に周辺地域への環境全体に大きな問題が発生することは火を見るより明らかです。

また、議会でのやりとりを見ても明らかなように、市長が設置に賛成している場外舟券・車券売場は、国土交通省の設置基準からも大きくかけ離れ、市民の不安は解決をされる方向が示されません。

議員の皆さんもぜひこうしたことを再度お考えいただいて、この請願を採択されるように強くお願いをするものです。



谷口典隆 議長 

 請願第2号場外舟券・車券売場設置反対の請願書を採決いたします。

本請願に対する委員長報告は不採択であります。

お諮りいたします。

本請願を採択することに賛成の諸君の起立を求めます。


  〔賛成者起立〕


谷口典隆 議長 

ご着席願います。

起立少数であります。

よって、本請願は、不採択と決しました。