Junji Matsuo
 

建築工事の祭式
儀式と人々の生活

建築の祭式と人々の生活との関係は暦や慣習、初詣・節分・宮参り・結婚式など身近かな行事を通じて関連しており、歴史、民族、地域性に根差した共通項を持っている。
 

 1   第4回.竣工式
更新日時:
2008/08/09 
竣工式とは、竣工祭ないしは竣工奉告祭とも言われる。
建物の無事完成を神々に奉告し、その永遠堅固と建築主の弥栄(いやさか)を祈願する儀式である。竣工式は古くからの呼称として新室寿(にいむろほがひ)、柿落(こけらおと)しとも言う。
建物やその付帯工事が完成して、もう使用してもよい時期に執り行う。
一般住宅の場合、玄関の入口の両側に立てた二本の斎竹(いみだけ)に注連縄(しめなわ)を張り、祭場は正室の床の間、又は神棚のある部屋を選ぶのが一般的である。
 
写真の例は、式次第の最初の「修祓(しゅばつ)」室内仕上げが完了した室内で執り行われている。


 2        〜竣工式の式次第〜
更新日時:
2008/08/14 
竣工式の式次第について、「清祓の儀」の前後は地鎮祭・上棟式などと全く同じである。
■祭式の進行
@手水(てみず):祭場へ入場前に手を洗い身を清める。
(開式)
A修祓(しゅばつ):お祓いにより諸々の穢れを祓う。
B降神(こうしん)の儀:祭場に神々をお迎えする儀式。
C献饌(けんせん):神饌を神々にお供えする儀式。
D祝詞奏上(のりとそうじょう):祝詞を奏上し祈願する。
E清祓(きよはらい)の儀:敷地建物全体のお祓いをする。
             ↓
         行事:「清祓の儀」そのものが相当
F玉串奉奠(たまぐしほうてん):玉串を神に奉り拝礼する儀式。
G撤饌(てっせん):神饌を神々の前からお下げする。
H昇神(しょうしん)の儀:お迎えした神々をお帰しする儀式。
(閉式)
 
 

 3        〜祭場設営〜
更新日時:
2008/08/09 
祭式の種類は問わず祭壇の向きは南または東向きとし、北または西向きはなるべく避ける。午前の太陽光が当る向きと記憶しておけばいい。以下に竣工式の場合の祭壇レイアウトの事例を示す。
地鎮祭、上棟式の時のような行事用具は一切ないのが特徴である。室内仕上げは完了している。


 4        〜清祓の儀〜
更新日時:
2008/08/14 
E清祓の儀では、神職が祭場を出て、建物の入口部分や建物の心臓部とも言うべき重要な部屋及び建築主の希望する場所に出向き、お祓いをする。
建築の重要な部屋や場所の例は下記の通り。
■銀行:金庫
■飲食店:厨房
■病院:手術室
■立体駐車ビル:駐車機械装置
■一般ビル:エレベーター
■住宅:台所
 
写真の例は、飲食店の場合で、重要な部屋として「厨房」をお祓いしている。
 


 5   落成式・落成(竣工)披露
更新日時:
2008/08/09 
落成式は、竣工式に引続き行われ、建築主が来賓や工事関係者を招き、工事の無事竣工を感謝して、関係者の労をねぎらう式である。
落成(竣工)披露は、落成式の招待者や一般の招待者の方にも、新しい建物を披露し祝宴を行う。
 



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次回のテーマは 「第5回.その他の祭式」 の予定です。

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