『たのしくわかる化学実験事典』 

  

1.『たのしくわかる化学実験事典』(東京書籍)   左巻健男先生の呼びかけで共同執筆した本です。出版社は東京書籍で,定価は税別3,800円です。執筆者が全国にまたがっており,内容が多彩という特徴があります。それだけに,買って損のない代表的な本だと思います。
  ページ数の制限で書き足りない内容が多いようですが,大雑把に楽しい化学の広がりと最新のネタを知ることができます。『たのしくわかる物理実験事典』(東京書籍)同様に多くの方々に利用していただけることと思います。
化学実験事典
2.執筆内容紹介 (1)「金属鏡をつくる」p13

  金属学習の要ともいえる金属鏡作りです。ピカールの正しい使い方を説明しています。

(2)「水の融点測定」p56

  0℃の測定実験法ですが,ついでに4℃が密度最高であることもわかります。特別な装置が不要ですから,ぜひお試しください。

(3)「砂糖の結晶」p146

  砂糖の結晶は,ながらく難しいものとされてきました。しかし,再加温法の考え方を生かし,とても簡単にできることを見つけました。保温容器も不要で,成長を常時ながめ続けることが可能という画期的な結晶成長法です。

(4)「重曹の利用」p168

  重曹で葉脈標本づくりを考案しました。アルカリが弱い事は返ってメリットで,従来難しかしいとされていた葉の標本が容易になりました。通常の水酸化ナトリウムを薄くして使ってもよいのですが,入手の容易な家庭薬品を使うところがよいのです。
  小麦粉に混ぜるホットケーキ作りも提案しています。私くらいの年齢ならあたり当たり前ですが,最近はホットケーキミックスの普及で,生徒にとってとても興味深い実験となります。

(5)「質量保存則の証明実験」p223

  ラボアジェの実験を参考に,従来の学校実験に疑問を感じて開発しました。きれいな値が出ますから,生徒実験に最適です。

(6)「塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和」p312

  塩酸と水酸化ナトリウムは海水の産物であり,その中和実験は重要だと考えます。濃度を選べば,鉛筆電極を用い,容易に中和点を確認できます。