鬼畜王ランス列伝

山本五十六記

作:たのじ


第十六章 老将墜つ

 朝日が昇りきる頃、ゼス軍は動き出した。奴隷兵を前に立て、ゆっくりと前進を始める。だが、ゼス軍の放つその雰囲気は、前日までとどこか違っていた。

「……どう見る、爺?」

「昨日までとは動きが違いまする。それにこの肌に感じる圧力、奴ら、昨日までの削り合いではなく、本格的に雌雄を決するつもりなのでは?」

「確かに、奴らから昨日までとは違う勢いを感じる……。だがなぜだ?なぜ今更になって力攻めに来る? 奴らの戦力では正面からでは勝ち目が薄いことはわかっているだろうに。奴らの勝つ道は、こちらを消耗させて退却に追い込むしかないはずだ」

「相手が若い将ならば我慢しきれずに暴走した、と見るところですが……。カバッハーンとやらは充分に経験を積んだ老将のはず」

「わからぬ。とにかく、これから戦闘が始まる。我等は役目を果たすまでだ」

 今日の戦いでは、今まで私がやってきた役目をガンジー殿に押しつけたので、こうして前線に出ることが出来た。久しぶりに爺と顔を突き合わせているのだが、ゼス軍が不審な動きを見せているのでそうのんびりとはしていられない。

 こちらの作戦通りならば、そろそろ赤の軍の突撃が始まるはずなのだが、ゼス軍の動きが予想と違う以上、エクス将軍はどう動くのだろうか。

「作戦が変更になりますかな?」

 私の心を読んだかのように爺はそう言った。

「いや、それはないだろう。多少の違いこそあれ、敵は前進を始めた。こちらのとる策は敵の前進に合わせて中央突破だ、おそらく変更はない。この程度の違いは、エクス将軍ならば簡単に修正するだろう」

 そう言っている間にも、前方で雄叫びが上がった。赤の軍が突撃を開始し、それを追いかけるかのように、重装歩兵部隊もゆっくりと前進を始めたのである。

 流石は赤の軍とリック将軍、ゼス軍の奴隷兵部隊を稲穂を刈り取るかのようになぎ倒し、堤を削る大波のように陣列に切り込んでいく。ゼスの奴隷兵ではその勢いの万分の一も殺ぐことは出来ず、その陣列は豆腐のようにあっさりと切り崩されていく。

「そろそろか」

 私の呟きに合わせたわけではあるまいが、重装歩兵部隊がゼス軍と接触する。ゼス軍はその鋼鉄の壁に正面から衝突し、即座に打ち砕かれた。勢いはあっても、所詮統率のまるで取れていない奴隷兵の悲しさ、でたらめに打ちかかってはその度にはじき返されている。

「撃てッ!」

 そしてそこへ我々が弓と魔法を撃ち込む。ひたすら前進するばかりの密集体型をとっていたゼス軍は、次々に弓と魔法の餌食となって倒れていく。ろくに狙いも付けない射撃が面白いように当たる、まるで自分から当たりに来ているようにしか思えない。

 そうして戦闘開始から半刻も経たない内に、もはやはじめの勢いなど綺麗さっぱり投げ捨てて、ゼス軍の奴隷兵部隊は、重装歩兵部隊に蹂躙されるままとなった。ゆっくりと両翼に広がって半包囲体勢に入る我が軍を、妨害することももはや出来ないようだ。
 
 
 

 その頃、中央突破をかけた赤の軍はゼス軍の本命である魔法兵団の中へと切り込んでいた。奴隷兵部隊の後ろに張られた”ウォール”の結界に少々苦労したようだったが、それも何とか突破し、魔法使い達に接近戦を仕掛けたのだ。

 もちろん四方八方からの魔法攻撃にさらされていたようだが、敵も同士討ちを恐れてか、自分たちの陣に切り込んだ赤の軍に対しては大規模な魔法は使えなかったようだ。

 加えるなら赤の軍の騎士達は、半端な魔法で倒れるようなヤワな連中ではない。多少は軍勢を削られたようだったが、赤の軍も予定通りに中央突破を成功させ、敵の背面で左右に展開を始める。

 赤の軍が展開を終える頃には、重装歩兵部隊も半包囲を完成させ、奴隷兵部隊を掃討しつつあった。こうなってはもはや奴隷兵達は戦意を完全に失い、まとまって命乞いをするか逃げ出すかのどちらかである。

 残る敵はカバッハーン率いる魔法兵団本隊と、開戦前の半分ばかりに減った”ウォール”のみだった。
 
 

 前後左右を包囲され、ゆっくりとその輪を締め上げられ、ゼス軍の全滅は時間の問題だった。戦闘開始からまだ数時間、太陽が天の中央を過ぎてからまだ僅かな時間しか経っていない。その僅かな時間で、ゼスの最後の兵力は崩壊しつつある。

 勝てないとわかっているのだから降服すればいいものを、未だゼス魔法兵団の統率は乱れず、組織的な抵抗を続けている。

 そんなゼスの魔法使い達の絶望的な戦いを見かねたのか、ここに至ってガンジー殿が前線に出て戦っている。ガンジー殿は魔法使い達を説得し、投降を呼びかけているようだ。

「さすがにゼスの王自らの説得は効き目があるようですね」

「ガンジーの親父はあれで説教は上手いからな」

 そのガンジー殿の様子を私はランス様の本陣から見ていた。というのも、支援部隊の指揮を執っていたガンジー殿が前線に出てしまったため、またも代役をやらされているのである。

 だが、もう既に帰趨の定まったこの戦いに私がするべき事はなく、時たまやってくる伝令に簡単な指示を出すだけである。というわけで私の主な役目は、現在エクス将軍も出払ってしまって人の減った本陣で、シィル殿と共にランス様の話し相手をすることであった。

「退屈だなー。俺様も少し戦ってくるかな?」

 と、ランス様は言っているが、実のところランス様はかなりの量の仕事をこなしている。相手を包囲したとはいえ、包囲された相手は死にものぐるいになることが多く、そしてそうした死にものぐるいの勢いは時としてこちらの予測を越える。

 その勢いで時として生じる綻びを塞ぐために、前線の将軍達が補いきれない分を、ランス様がここで全体の指揮を執っているのだ。この状態を指して退屈だというのは、もう感性の問題なのだろう、私ではとてもそうは言えない。

 ランス様の指揮ぶりは大味なのだが、結果として正確な判断の元に行われる。正式に指揮官としての教育を受けたわけではなく、戦場での経験からこれだけの物を身につけたのだと言うから恐れ入ってしまう。ランス様は、天性の戦士であると同時に天性の将軍でもあるのだ。

 だが、面倒を嫌い、努力という物を嫌うその性格から、軍師としてはエクス将軍には及ばないかもしれないが。

「ランス王、総大将たる貴方様が動く必要はもうありません。これから先にもまだ戦いはあります」

「そうですよ、ランス様がわざわざ出なくっても……」

「でもなぁ……。やっぱり退屈だ、俺様も出る! 五十六、後は任せたぞ! シィル、ついてこい!」

「ランス王!?」

「あ、ランス様ぁ、待ってください!」

 なんとも唐突に、ランス王は傍らに立てかけていた魔剣カオスを掴むと本陣を飛び出してしまった。その後をシィル殿があたふたとついていく。

「仕方ない……。伝令、親衛隊に連絡! レイラ将軍にランス王が前線に出たと伝えよ!」

 走り出したランス様を止められる人間などこの場にはいない、エクス将軍かマリス様ならともかく、私ではとても無理だ。とりあえずレイラ将軍にランス様のことは任せて、私は図らずに自分より高位の人間がいなくなってしまった本陣で指揮を執り始めた。
 
 

「ロレックス将軍の部隊が一部で抜かれました! こちらに向かう敵部隊があります!」

「パットン王子に伝令! 足止めに回ってもらうように!」

 指揮を執り始めて一刻あまり、全体の戦況は間違いなくこちらの勝ちなのだが、時としてこういう事態もある。とりあえず足の止まった敵部隊に対して、魔法と弓の支援で止めを刺す。

 ランス様がいないために仕事の量が一気に三倍になってしまったが、もう決着が付こうという今となってはそれほどの負担はない。それでも忙しいことに変わりはないが、もう後少しの辛抱だろう。

「ランス王の部隊がお戻りになられました!」

 一息ついたところでようやく待っていた報告が入った。

 ほんの一刻とは言え全軍の指揮を任されていたのだ、大軍を指揮するのは武人の本懐とは言っても、責任の重さに精神的にかなり疲れた。そして本陣に戻ってきたランス様は、ひと暴れして溜まっていた物を吐き出したのか、すっきりとした表情になっていた。

「いよう五十六、代役ご苦労!」

「お待ちしておりました、ランス王」

 いろいろと言いたいことはあるが、ここは一つ堪えておこう。せっかくランス様の機嫌がいいところに水を差すようなことはしたくない、とりあえず戦況を報告するにとどめておく。

「ゼス軍の組織的な抵抗はほぼ壊滅しました、既に掃討戦に入っています。敵本陣はまだですが、直に落ちるでしょう」

「そうかそうか、カバッハーンとやらもよく頑張ったが、やっぱり最後は俺様の勝ちだったなぁ! がははははは!」

 その後にも次々とゼス軍の抵抗が終息しているという報告が入ってくる。

 もはや完全勝利は間近だ、ゼス軍は正面決戦に敗れ、後は王宮の結界さえ解除すればゼスに抵抗する力はないだろう。

「ゼス軍の一部がオールドゼスへ向かう街道部分の包囲網を破りました! 数は約五百、そのままオールドゼス方面へ逃走中!」

 だから、私はその報告も大したこととは思っていなかった。今更一部が逃げたところで変わりようがない、と思ったのだ。だが、ランス様はそう思わなかったらしい。

「逃がすな! 誰かに追撃させろ。どうせ勝つなら染み一つない完璧な勝利にしないとな」

「ですが、直ぐに追撃にかかれる部隊となると、パットン王子の部隊しかありません。白の軍は位置的に破れ目の反対側で間に合いません」

 自分の記憶と、卓上の地図の戦力配置図を見て確認する。包囲下の敵が降服するか全滅すればともかく、今はまだ最後の詰めの段階であってあまり戦力に余裕はない。

 パットン王子指揮下の部隊は一千弱、攻撃力も機動性も高いが少し数に不安がある。ランス様は私の答えに少し考え込んでいる様子だったが、おもむろに戦力配置図を見ると、にやりと笑った。

「パットンの部隊と、後お前の部隊が動かせるだろ? ついでにハンティも付けてやる、ここの指揮はもういいからお前が追撃の指揮を執ってこい」

「は……、はい!」

 自分の見落としていたところをあっさり見付けられて指摘され、私は慌てて自分の部隊へと向かった。

 主戦場の展開は気になるが、命令が下りたのだから私はそちらに従うことにしよう。パットン王子とハンティ殿に伝令を飛ばし、部隊に戻ると爺を呼び寄せ追撃の準備をさせた。当座の携行食を持たせ、追跡行が長引いた場合に備える。

 慌ただしい部隊の移動に周りの魔法使いの部隊がざわめいているが、とりあえず無視して追撃にはいる。

「姫様、隊列に乱れがありますがどういたします? それと、他の部隊と合流した後の隊列も、一度止まらねばどうにもなりませぬが」

「移動しながら整列させろ。パットン王子達もその位は出来るだろう」

 我ながら無茶だと思ったが、そうしなければ先を行く敵兵に追いつけない。戦場を迂回しつつ編成を終え、本格的に追跡に入ったところでパットン王子とハンティ殿の部隊が追いついてきた。

 流石は機動力は最高級の格闘家部隊と、ハンティ殿のからくり人形部隊、戦場から急行してきたはずだが動きはこちらより速い。

 ちなみに、ハンティ殿の部隊はフリーク殿がハンティ殿に似せて作ったからくり人形である。百を越える腰ほどしかない鉄の人形が、微かな駆動音を響かせて整然と進んでくる姿は何か訳の分からない恐怖を感じさせるが、味方にすれば頼もしい限りだ。

「五十六さんよ! 総大将からの指令でハンティ共々指揮下に入るぜ!」

「はい。では、追撃を開始します!」

「ちゃっちゃと行かないと追いつけないよ?」
 
 
 

 私達はオールドゼスを過ぎたところで追跡行の末に一度敵に追いつき、その半分以上を討ち取った。そこで私達は捕虜から思いもよらないことを聞いた。

 私達が追いかけていた相手は、なんと敵の大将だったゼス四将軍の一人カバッハーンと、増援に来ていたゼス四天王にしてゼスの王女、マジック・ザ・ガンジーなのだという。思いもよらず追いかけていた相手の重要性を知った私達は、ハンティ殿にそれぞれの部隊の一部を割いて率いてもらい、オールドゼスの掌握に回ってもらった。負傷した者も置いて身軽になった私達は、更に追跡を開始する。

 そして追跡行も三日目に入り、携行食が心細くなってきたとき、私達は再び琥珀の城で敵に追いついた。相手は三十人にも満たない少数、それが町中の通りに立ちはだかっている。諦めたのだろうか、だが、大将らしい人影が一つ、老人のものしかない。

 あれはおそらくカバッハーンだろう、ではマジック王女は?

「なあ、五十六さんよ、ありゃ囮じゃねえか? マジック王女が逃げるまでの時間稼ぎをしようって」

「やはりそう思われますか?」

「ああ、ここはやっぱり、どっちかがあいつの相手をしてどっちかが追いかけるしかないだろう」

 パットン王子も理解が早くて助かる、ついでにここはもう少し働いてもらおう。

「では王子、私はここでカバッハーンの相手をしますから、マジック王女の追跡をお願いします」

「おいおい、なんで俺なんだよ。大物は大将が追いかけるもんじゃないか?」

「私の部隊は王子の部隊ほど足が速くありませんので……」

 私のそのセリフに、パットン王子は何かを諦めるかのようにやれやれと首を振った。そして最後に、気を付けろよ、と言い残して足を早めて追跡を再開した。

 私はそれを見送ると、思いついて敵の前へを進み出た。僅かな数でこちらを待ち受けるということは、始めから玉砕覚悟の時間稼ぎ、ならば一騎打ちを望んでいるに違いない、と。

「私はリーザスの将、山本五十六と申します……」
 
 
 

 私の足下には、今し方切り伏せたゼス四将軍最後の一人、カバッハーン・ザ・ライトニングが倒れている。周りの兵士達も既に討ち取られ、生きているのはもはや彼一人。

 それも虫の息でもう長いことはないだろう、もう目も見えていないかもしれない。

 対決は一瞬だった。カバッハーンが魔法を使おうとした瞬間、一気に間合いを詰めて居合いで切り伏せた。

 彼は既に疲れ切っていたのか、魔法の完成が驚くほど遅く、弓ほど得意ではない私の居合いでも間に合ったのだ。それに加えて、水晶刀の魔力が私の腕を補助してくれたのだろう。

「最期に、言い残すことはありますか……?」

 私が尋ねると、彼は小さな声で、

「儂の屋敷に……孫……二人……双葉と、萌……誰かに、預けてくだ……され。幸せになるように、と……」

「わかりました……、お任せください」

 とぎれとぎれに呟くカバッハーンの手を握ってそう答えると、彼は安心したかのように微笑んで目を閉じた。私の役目はとりあえずここで終わりだ、後はこの街を掌握してパットン王子の帰りと、本隊の到着を待つとしよう。

 そして私は爺を呼び、街の門とその他役所などの要所を押さえるように指示を出すと、供を二人ほど引き連れてカバッハーンの屋敷を探して歩き始めた。

「姫様、どちらに行かれるのです?」

「カバッハーンの末期の頼みを果たしにだ。なるべく急いで戻る」

 爺はそれだけで全てを察したように黙って一礼すると、指揮を執りに戻っていった。
 
 

 カバッハーンの屋敷はあっさりと見つかった。

 戦いを恐れて家に閉じこもっている民衆から扉越しに屋敷の位置を聞くと、私達が戦った場所から歩いてほんの少しの距離にあったのである。

 叩いても返事のない玄関の扉を開けると、その先に敵意に満ちた目で私達を睨む二人の幼女が立っていた。この子達がおそらくカバッハーンの言っていた二人だろう。既に逃げ出してしまったのか他に人の気配はなく、この屋敷にはこの二人しかいないようだった。

 私は供を玄関で待たせると、私を睨み付けている二人にゆっくりと近寄った。そして後三歩というところまで近づいたとき、二人はようやく声を発した。

「くるな!」「そうだ!」

 舌足らずな声で二人は私にそう言った。こんなに幼い子供にも、私が敵だということがわかるのだろう。

 私はその二人の声をかわすと、二人の目の前で膝を落とし、目線の高さを合わせて精一杯微笑んで語りかけた。

「双葉と、萌ですね? 私の名は五十六と言います。カバッハーン殿に頼まれて、あなた達を迎えに来ました」

「じじーにたのまれたの?」「てきじゃ……ないの?」

「先程までは敵でした。でも今はもう違います」

 双葉と萌は虚をつかれたように、きょとんとした表情を浮かべた。この幼い二人をだますようで気が引けるが、今はまず信頼してもらわなければならない。

「おむかえって、どこかにいくの?」「じじーがかえってくるまで、わたしたちはおるすばんなの」

「カバッハーン殿は、亡くなられたのです。もう帰ってはきません……」

「なくなった?」「しんじゃったの?」

「……そうです」

 本当のことを告げるのはどうかとも思ったが、二人を保護するには言うべき事は言わねばならないと思い、私はそう答えた。だが二人の答えは、私の意表をついた。

「じゃあ、おわかれしなくちゃいけないの」「じじーがいつも、いつしぬかわからなから、しんだらちゃんとおわかれして、っていってたの」

 双葉と萌の無邪気な言葉に、私は胸を突かれる思いがした。おそらくその意味を完全に理解してはいないのだろうが、二人は祖父の日頃の言葉に従おうとしている。

 その、子供の無邪気で純粋な健気さに、私は目が熱くなった。

 だがその私をいぶかしげに見ている二人の手前、涙を流すことは出来ずにまた何とか微笑みを浮かべて二人の手を取った。

「それでは、カバッハーン殿の所へ行きましょう……」

「うん!」「は〜い!」

 二人は素直に私と手をつなぎ、一緒に歩き出した。待たせていた供の者達がまた怪訝そうな顔をしていたが、視線で黙らせてそのまま歩いていく。

 この子達がカバッハーンと対面したとき、二人はなんというのだろうか、そして私は、その言葉を聞くのに耐えられるのだろうか?

 今まで私は戦場で多くの命を奪ってきた、その事に対しては後悔はしていない。私が人を殺したことによって後に残されることになった者のことを考える資格など私にはないはずだし、事実考えないようにしてきていた。だが、この二人には私は関わってしまったのだ。

 無邪気に語りかけてくる二人を見ながら、私はせめてこの子達によい里親が見つかるまでは出来る限り面倒を見よう、と心に決めた。
 
 

幕間 其の二

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