アファナーシイ・アファナーシエヴィチ・フェート〔1802-1892。純粋芸術派の詩人。〕

まだ5月の夜

なんという夜! すべてのものになんという陶酔!
ありがとう、北の故国!
氷の王国から、吹雪と雪の王国から
なんと爽やかに清らかにおまえの5月は飛び出すことか!

なんという夜! ひとつ残らずすべての星が
温かく和やかに心のなかをふたたび覗き、
ヨナキツグミの歌に続いて
不安と愛が宙を漂う。

シラカバたちは待っている。それらの半透明の葉は
遠慮がちに誘い、目を楽しませる。
それらは震えている。そのように新婚の乙女には
かのじょの衣装が喜ばしくもありよそよそしくもある。

いいえ、けっしてもっと優しく霊的に
おまえの顔は、おお夜よ、私を悩ませることはできなかった!
ふたたびおまえのもとへ行く、知らず知らずの歌とともに、
知らず知らずの、そして、もしかすると、最後の。
1857年

А.А.Фет

ЕЩЁ МАЙСКАЯ НОЧЬ

Какая ночь! На всём какая нега!
Благодарю, родной полночный край!
Из царства льдов, из царства вьюг и снега
Как свеж и чист твой вылетает май!

Какая ночь! Все звёзды до единой
Тепло и кротко в душу смотрят вновь,
И в воздухе за песнью соловьиной
Разносится тревога и любовь.

Берёзы ждут. Их лист полупрозрачный
Застенчиво манит и тешит взор.
Они дрожат. Так деве новобрачной
И радостен и чужд её убор.

Нет, никогда нежней и бестелесней
Твой лик, о ночь, не мог меня томить!
Опять к тебе иду с невольной песней,
Невольной - и последней, может быть.
1857


5月のモスクヴァ(“朝が優しい光で染め・・・”)(1937年)
詩:ヴァシーリイ・レーベヂェフ=クマーチ(1898-1949)
曲:ドミートリイ(1899-1978)&ダニイール(1905-1954)・ポクラーッス


朝が優しい光で
古のクレームリの壁を染め、
夜明けとともに目覚める
ソヴェートの全土が。
涼気が襟元に入り込む、
通りのざわめきが強まる。
お早う、愛しき町、
わが祖国の心臓よ!



沸き立つ、力強い、
無敵の、
わが祖国、わがモスクヴァよ、
おまえはもっとも愛おしい!

陽気な日が高揚し、
海のように通りがざわめき、
学校の開いた窓から
オクチャブリョーノクたちの喚声が聞こえる。
5月は着飾った河のように流れる
広い舗道を、
果てしない歌となって広がる
麗人モスクヴァのうえを。



昼間は去り、涼気が
爽やかにし、元気づける・・・
パレードを一休みして、
祝祭の町がうなる。
今こそカップルたちの逢引のとき!
冗舌に生き生きと、
庭園や並木道に
モスクヴァが広がる。



夜は昼に似てきた、
群衆のうえに光の海。
同志よ! 道行く人よ!
私たちと一緒に歌を歌っておくれ!
ご覧、歌い踊っている
ソヴェートの国じゅうが・・・
おまえより明るく美しいものはない、
私たちの赤い春よ!



青い夜明けがうかがっている
モスクヴァ河の静けさを、
そして歌っている、夜の鳥たちのような
蒸気機関車の汽笛が。
クレームリの塔の時計が打ち、
星たちが消え、影が溶ける・・・
さようなら、昨日、
こんにちは、新しい、輝ける日よ!


オクチャブリョーノク〔ソ連でピオネール入団に備える1-3年生の児童組織オクチャブリャータの成員〕


Москва майская (1937)
УТРО КРАСИТ НЕЖНЫМ СВЕТОМ...
Слова В. Лебедева-Кумача Музыка Дм.〔1899-1978〕
и Дан.〔1905-1954〕Покрасса


Утро красит нежным светом
Стены древнего Кремля,
Просыпается с рассветом
Вся советская земля.
Холодок бежит за ворот,
Шум на улицах сильней.
С добрым утром, милый город,
Сердце Родины моей!

Припев.
Кипучая, могучая,
Никем непобедимая,
Страна моя, Москва моя,
Ты самая любимая!

Разгорелся день веселый,
Морем улицы шумят,
Из открытых окон школы
Слышны крики октябрят.
Май течет рекой нарядной
По широкой мостовой,
Льется песней необъятной
Над красавицей Москвой.

Припев.

День уходит, и прохлада
Освежает и бодрит...
Отдохнувши от парада,
Город праздничный гудит.
Вот когда встречаться парам!
Говорлива и жива,
По садам и по бульварам
Растекается Москва.

Припев.

Стала ночь на день похожей,
Море света над толпой.
Эй, товарищ! Эй, прохожий! -
С нами вместе песню пой!
Погляди, - поет и пляшет
Вся Советская страна...
Нет тебя светлей и краше,
Наша красная весна!

Припев.

Голубой рассвет глядится
В тишину Москвы-реки,
И поют ночные птицы -
Паровозные гудки.
Бьют часы Кремлевской башни,
Гаснут звезды, тает тень...
До свиданья, день вчерашний,
Здравствуй, новый, светлый день!

Припев.


ロック・オペラ『ユノーナとアヴォーシ』より、レザーノフのアリア
(詩:アンドレーイ・ヴォズネセーンスキイ、曲:アレクセーイ・ルィーブニコフ)

きみはぼくを夜明けに起こし、
靴もはかずに見送りに出る。
きみはぼくをけっして忘れない、
きみはぼくをけっして目にしない。
きみを風邪から守り
ぼくは思う、「神よ、至高なる神よ!」
ぼくはきみをけっして忘れない、
ぼくはきみをけっして目にしない。
またたかず、風に涙する
望みなき鳶色のチェリー。
戻るのは悪い兆し、
ぼくはきみをけっして目にしない!
堤の鳥肌のなかのこの小川を、
これらの海軍本部や取引所を
ぼくはもうけっして忘れない、
ぼくはもうけっして目にしない。
たとえふたたび地上に戻るとしても、
ぼくは、ハーフィズによれば、
ぼくはもちろん、きみとすれ違う、
ぼくはきみをけっして目にしない。
そして極めて小さかったことがわかる
ぼくときみの無理解は、
生気のない空虚をおびたふたりの生者の
将来の無理解をまえに。
そしてここへ飛んできたふた言が無意味な高みとなって揺れる、
「ぼくはきみをけっして目にしない、
ぼくはきみをけっして忘れない。」
「ぼくはきみをけっして目にしない、
ぼくはきみをけっして忘れない・・・。」

ハーフィズ〔1326頃-1389。ペルシャの詩人〕

≪Юнона и Авось - ария Резанова≫

Автор текста (слов): Вознесенский А.
Композитор (музыка): Рыбников А.

Ты меня на рассвете разбудишь,
Проводить необутая выйдешь.
Ты меня никогда не забудешь,
Ты меня никогда не увидишь.
Заслонивши тебя от простуды
Я подумаю: "Боже, Всевышний!"
Я тебя никогда не забуду,
Я тебя никогда не увижу!
Hе мигают, слезятся от ветра
Безнадежные карие вишни.
Возвращаться плохая примета-
Я тебя никогда не увижу!
Эту речку в мурашках запруды,
Эти Адмиралтейство и Биржу
Я уже никогда не забуду,
Я уже никогда не увижу.
Даже если на землю вернемся
Мы вторично, согласно Гафизу,
Мы конечно, с тобой разминемся,
Я тебя никогда не увижу.
И окажется так минимальным
Наше непониманье с тобою,
Перед будущим непониманьем
Двух живых с пустотой неживою.
И качнутся бессмысленной высью пара фраз
залетевших отсюда:
"Я тебя никогда не увижу,
Я тебя никогда не забуду."
"Я тебя никогда не увижу,
Я тебя никогда не забуду..."

【画像】・鈴木正美さんにいただいたご自身の著書

光明週間の礼拝(51日、救世主顕栄主教座大聖堂の正面にて。書物を開いているのは以前この番組にご出演くださったインノケーンチイ神父です。)

鐘を鳴らすハイヒールの女性(51日、救世主顕栄主教座大聖堂の鐘楼にて)

鐘を鳴らす青年(胸に黒とオレンジのストライプの聖ゲオールギイのリボンを付けていらっしゃいます。51日、救世主顕栄主教座大聖堂の鐘楼にて。)

・鐘撞き番のゲオールギイさん〔右〕と鐘の種類を説明してくださった青年〔左〕
51日、救世主顕栄主教座大聖堂の鐘楼にて)

ゲオールギイさんが通う神学校(57日、栄誉の広場より撮影)

支局のヴェリカードにもございます「アムール河展望台」の真下の「ハバーロフスク開基の記念標」(“1858531日この場所に第13シベリヤ大隊の兵士たちが哨所『ハバーロフカ(※ハバーロフスクの旧称です。)』を設けた”との文字が刻まれています。)

【♪クラシックの名曲】ピョートル・チャイコーフスキイ〔184057日(旧暦425日)、ボートキンスク-1893116日(旧暦1025日)、ペチェルブールグ〕作曲/ピアノ小曲集『四季/12の性格的描写』作品37 bis(※『クラシック音楽作品名辞典』〔三省堂〕には「雑誌『ヌーヴェリスト』が1876年各月号に季節にちなんだ詩と共に曲を掲載する企画のために作曲。」とあります。)のアレクサーンドル・ガーウクによるオーケストラ編曲版より、『白夜/5月』(純粋芸術派の詩人アファナーシイ・アファナーシエヴィチ・フェート〔1802-1892〕の詩『まだ5月の夜』〔1857年〕の第1連がエピグラフとして添えられています。<なんという夜! すべてのものになんという陶酔!/ありがとう、北の故国!//氷の王国から、吹雪と雪の王国から/なんと爽やかに清らかにおまえの5月は飛び出すことか!>。演奏:エヴゲーニイ・スヴェトラーノフ指揮&ソ連国立アカデミー交響楽団。滝一仁さんのご要望にお応えして。)345 →原詩と拙訳は下をご覧ください。

【お便りのご紹介】相馬秀喜さん、丹野秀夫さん、山田雄康さん、川添充則さん、長船健雄さん、戸田一志さん、鈴木英夫さん、伊藤慶彌さん、花坂政博さん、半澤智子さん、白石晋一さん、小野澤栄さん

【ホームページのご紹介】http://www.animal.hadzuki.com/SubMenu/habitat.html
「私の趣味のひとつに、写真があります。動物園やサファリパークに行った際にはよく一眼レフのカメラで、彼らの姿を撮影します。蛇足ながら、私の撮影した写真を掲載したホームページがございますのでURLを書き添えさせて頂きます。」(小野澤栄さん)

【新聞拾い読み/ハバーロフスク開基150周年関連の記事】第1回極東バイクフェスティヴァル、ハバーロフスクにおけるモスクヴァ・デイズ

【♪懐かしのソヴェート歌曲】『5月のモスクヴァ』(映画『20回目の5月』の挿入歌。詩:ヴァシーリイ・レーベヂェフ=クマーチ、曲:ドミートリイ&ダニイール・ポクラーッス兄弟、演奏:モスクヴァ放送合唱団。)3'40 →原詩と拙訳は下をご覧ください。

【街角レポート】51日、光明週間〔復活大祭後の1週間〕中の救世主顕栄主教座大聖堂から、光と風と鐘の音に包まれながら。900

【映画】アンドレーイ・タルコーフスキイ監督『アンドレーイ・ルブリョーフ』

【新聞拾い読み/ハバーロフスク開基150周年関連の記事】町を巡る十字架行進

【追悼】女流詩人リームマ・カザコーヴァ〔1932.01.27セヴァストーポリ-2008.05.19モスクヴゥ州ペレフーシコヴォ町。7年間、極東に住み、教員や記録映画スタヂオの編集者として働き、1958年にハバーロフスクで第一詩集『東方で会いましょう』が出版されました。〕

【映画】マルレーン・フツィーエフ監督『イリイーチの哨所』(『私は二十歳』)

【本棚】鈴木正美著『どこにもない言葉を求めて/現代ロシア詩の窓』(新大〔しんだい〕人文選書3、高志〔こうし〕書院)より、「第一章 豊穣なるロシア詩の世界へ」の冒頭。

【本棚】アンドレーイ・ヴォズネセーンスキイ著『藝術の青春』(群像社、1984年刊。※十四歳の作者と詩人パステルナークに交わされる詩作の霊感。 ピカソ、ショスタコーヴィチ、ヴィソーツキイらとの交流が生む芸術の創造力。六十年代を代表する作家の自伝小説と突如現れたブラックホールをめぐる実験小説「О」。)

【♪ロックオペラ】レーニンコムソモール劇場[通称“レンコム”]のロックオペラ『ユノーナとアヴォーシ』より、ロマンス(曲:アレクセーイ・ルィーブニコフ、詩:アンドレーイ・ヴォズネセーンスキイ[1933-2008512日、生誕75周年!])(歌唱:トリオ『メリヂアーン』)3'36 →原詩と拙訳は下をご覧ください。

【新聞拾い読み/ハバーロフスク開基150周年関連の記事】第13シベリヤ大隊隊長ヤーコフ・ヂヤチェーンコ像の除幕、全ロシヤ・オリエンテーリング、国際凧揚げフェスティヴァル

【お便りのご紹介】細川斉さん、能村優子さん、内藤宏さん、須々田直人さん、田中正仁さん、宮本研一さん

【本棚】(社)北方圏センターの季刊『Hoppoken
〔※北方圏センター:〒
060-0003 札幌市中央区北3条西7丁目 北海道庁別館12 TEL 0112217840 FAX 0112217845 pbl@nrc.or.jp http://www.nrc.or.jp
&隔月刊『ゆきのまち通信』
〔※編集部:〒030-0861青森市長島4丁目11-8 TEL017-773-3477 FAX017-732-3545http://www.prism-net.jp

【♪往年の流行歌】『百万本の真っ赤なバラ』曲:ラーイモンド・パーウルス、ロシヤ語の詩:アンドレーイ・ヴォズネセーンスキイ[1933-2008512日、生誕75周年!]、歌唱: 516日にハバーロフスク国立経済法律アカデミーで開催されました第6回ハバーロフスク市日本語履修学生カラオケコンクールで特別賞を受賞されたユーリヤ・ヂチャーチエヴァさん[ハバーロフスクの極東国際関係大学の4年生]

世界にひとつだけの録音。「『黒い瞳』と『百万本のバラ』がとても好きです。いつの日にか聞かせていただければ幸いです。」〔2008114日着の年賀はがき〕との須々田直人さんのリクエスト曲です。田中正仁さんからも「今月のシベ銀も興味深く聴かせていただきました。ソ連時代によくTVの天気予報でかかった『曇り』は、番組のエンディングにかかる曲『ふたり』を作ったラーイモンド・パーウルスの作品でしたから、私もまたパーウルス作曲の音楽を流してほしいなと思ってしまいますね。」

2008218日着のお手紙〕とのご要望をお寄せいただいております。)

トップページに戻る シベ銀166に進む

<5月31日(土)放送の《シベリヤ銀河ステーション・第165回》のご案内>
           (予定ですので変更があるかもしれませんが、その際はご勘弁ください)

♪放送音声
1