そば屋いろいろ そばの値段
昨年後半から今年にかけて、たまたま東京で手打ちをやっている4軒のそば屋に入った。 一軒は都心の神田だがあとの三軒は下町の葛飾である。 都心の一軒はこの「大阪・上方の蕎麦」のなかで「大阪の熱盛りそば」の「そば屋の通し言葉」でも登場している神田淡路町の「かんだやぶそば」である。そば屋の中でも老舗中の老舗であるとともに、藪蕎麦本店を名乗っている。 下町の一軒は柴又で、「やぶ忠」といって以前よく行ったそば屋である。この店はもともと盛ったそばの量が多く値段が安いのと、蕎麦もうまいということで地元や観光客にファンが多いが、なぜか客に対しては気むずかしい雰囲気のあるそば屋としても通っている。 この日はそば屋に寄ってから帝釈天にお参りしたが、狭い参道を行くと川魚料理で有名な川千屋の向かい側に新しい「柴又やぶ忠」の看板が目に付いた。以前はなかったから新たに支店を出したのであろう。 このあたりは、映画「男はつらいよ」の寅さんでもお馴染みの柴又帝釈天があって、すぐ近くの江戸川岸には矢切の渡しの舟着き場がある。 柴又街道を川の方に折れ、川魚料理の川甚や矢切の渡しへ向かう途中の左手に「和竿」と書いた釣り竿を作っている家があって、そこの路地を入ったばかりに数年くらい前から「そば屋」ができている。たぶん途中から蕎麦の道にのめり込んで開業したと思われる「こだわりのそば屋」のようで、店の名前もたしか「そば喜り 日曜庵」といって週の内三日くらいしか開いていないので最初に行った一日目は空振りであった。 ざるそばに付けるという塩が付いていたり、そばチップもあってそば湯はポタージュよりも濃い、と紹介すれば蕎麦通の方にはだいたい察しがついてもらえる筈のそば屋である。 葛飾三軒目は四つ木のそば屋で看板は「やぶ」となっているからやぶ蕎麦のいずれかの系統であろう。細いバス通りに面した町場のそば屋だが店先にビデオTVがあって二代目のあるじがそばを打っている様子を流している。何組か客が入ればいっぱいになってしまいそうだがかつて出前で賑わった様子が窺える。 わたし自身は、素人の下手なそば打ちであってもそれを始めてからは、空腹を満たすためにそば屋に入ることはなくなってだいたいはざる(せいろ)1〜2枚とビール1〜2本を楽しむことになっている。 そば屋にはそれぞれの個性があるし、客の側にも店の雰囲気や蕎麦そのものについての好みがあって一概に比較するわけには行かないが、たまたま違ったタイプの四軒のそば屋に入ったので、ついそれぞれの蕎麦、つゆ、薬味、そば湯、店の雰囲気、客あしらいなどが気になってしまった。それはさておいて、いつもは単純に値段だけを比較するようなことはないのだが、以下A店・B店・C店・D店として列記してみた。 A店 せいろう(二枚)+ビール(中) 600円×2+500円
この店特徴の緑のそば そばの盛りは薄盛り
大盛りはないので追加して二枚
老舗の雰囲気を観察できる楽しみが余録
そばと酒を楽しむ客も多い
B店 せいろ+ビール(中) 500円+500円
盛りの量は相当多い(A店・C店のほぼ三倍弱か)
以前聞いたことがあってそばは外二八 やや太め
この店では普通でも結構多いので大盛り不要・頼んでもいやがられるだけだ
C店 田舎そば+ビール(中) 1000円+600円
細切りで上品な盛り(十割のせいかそばが短い)
お通し:揚げ蕎麦 薬味:辛み大根 蕎麦つゆの他に粗塩
ポタージュ風の濃いそば湯 そば粉は挽きぐるみの十割 たまたまなのか随分待たされた 量的にはそばをもう一枚ほしい気分であったが待ったせいもあってそばもビールも追加しないままになった
D店 鴨せいろ+ビール(大) 650円+500円
鴨つゆの味もよく値段も気に入った
そばの量もそこそこ さすが下町
そばは外二八 そば粉1500g つなぎ300gだそうだ
最後にそば湯を飲みながら余韻を楽しみゆったりとした心地よい気分になれればそれで充分である。 ただ、時としてこれらのバランスが崩れていたりすると客としてはがっかりである。 後日談:B店とD店の値段が04年4月1日以降変わっている。 (B店 15年間値段を据え置いて頑張ってきたが4月1日より値上げせざるを得なくなったとのことで、例えば 本店では せいろ600円。 なお、帝釈天参道店のほうは もり700円 ビール中600円となっている。本店は相変わらずそばの盛っている量は多いが、参道店では残す客が多いとのことで普通の量になっている。そば好きはここでは大盛りを頼めば良い。たぶん同じ値段で量は多い。) (D店 おそらく04年4月以降のことだと思うが、例えば鴨せいろが700円、ビール大600円になっていた。) |