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麺棒(めん棒)
 ( 延し棒と巻き棒 )
 家庭にある調理用具としての麺棒(のし棒)はおなじみで、30センチくらいからそれぞれの用途に応じた長さや太さのめん棒がある。
 そば打ちの場合は打ち棒ともいい、地域性や打ち方の違いがあって、太い麺棒や細い麺棒、一本だけで打つ場合や長短三本を使い分けるなどいくつかのケースがある。もともとそば打ち棒としては一本であったが、そばの打ち方も座位から立位へと打つ姿勢が変化し、一度に打つ量や、そばを打つ効率から三本の麺棒を使う方法が編み出され、現在の主流となっている。
この場合を例にとって説明すると、延し棒(長さ(70〜)90センチ程度×2.6〜3センチ、中にはもっと太いのもある)が一本、巻き棒(90〜120センチ)が二本で合計三本の麺棒となる。
勿論これらは、そば打ちに慣れてからの話であって、始めた頃は、90センチ一本でよいから麺棒の基本的な使い方をきっちり教わることが大切である。

  
  麺棒のいろいろ 長いのは巻き棒に使う

初心者の場合
 わたしの場合は、そば打ちを始めた直後、有名店のそば打ちコーナーで桧材の麺棒(70センチ)を千数百円で衝動的に買った。
でも、自分でも多少の経験を積んでビギナーの相談に乗ったり、サークルや同好会のそば打ち道具を揃える立場になって考えると、初心者の段階ではホームセンターなどで丸棒を買ってきて両端の角をとりペーパーで磨けば麺棒としては充分に使用できる。
そば打ちをどの程度続けるのかもわからない段階では、多少重い場合もあるが(最近は軽いのもある)、傷も気にならないし当面の選択技ではあると思う。標準サイズで長さ90×太さ3センチが数百円程度で売っているので慣れればいずれ上質のものに買い換えるつもりで、曲がりがないのを確認して一本(又は二本でも)購入すればよい。以上が練習用の麺棒である。

 麺棒の材質は、ひのき、ひば、樫、朴の木、桜、栂・・など種類が多くそれぞれに長所・短所があると思うが、よく手入れをして愛用すれば必ずきれいで使いやすい麺棒になる。少しそば打ちに慣れたり相談に乗ってもらえる先輩がいる場合には、愛用の麺棒を持つつもりで多少張り込んでみるのも上達の近道かも知れない。(延し棒は、長期間使っていると若干の反りが出たり細くなったりして買い換えが必要となるケースもある。)

おおよその値段は、材質、長さなどで異なるが1000円強〜4000円くらい。
かっぱ橋道具街(東京・台東区)の専門店あたりでは4000円〜8・9000円など種類も豊富である。 なお、一般的に長さ90センチまでの値段はあまり変わらないが、120センチになるとおよそ倍の値段になるようだ。
 木の材質からくる特性もある程度わかってから選ぶのもひとつの方法で、例えば、ひのきは軽く使い込めばきれいであるが傷が付きやすい。一方、樫は傷はほとんど付かないが重いなど。
また、巻き棒の長さは、1キロ打ちで90センチ、1.5キロで110センチ、2キロ打ちになると120センチなどともいわれるが、要は使い勝手の良いサイズを自分で選ぶことになる。 

麺棒の反り
 
購入の際に気をつけたいのが麺棒の反りで、いったん反りがでると修正ができないので保管時の直射日光や湿気にも注意が必要である。(出来るだけ柾目が通り節目がないを選びたい。)
壁に二点支えで差し渡してかけられるようにした「麺棒掛け」もあると便利。比較的簡単に作れるし、道具の整理整頓のほか、麺棒の反りを防ぐ効果もある。直射日光が当たらず温度差も小さく、湿気の遮断されていることが適所の条件である。

麺棒の手入れ
 買ったばかりの新しい麺棒は、両端に角(かど)があり全体の木肌もなめらかさがなくそのままでは滑りも悪い。
両端の角を落として丸みをもたせ、麺棒全体にはサンドペーパーなどで磨きをかけて滑りをよくしたい。初めに細目(♯400〜500番など)で磨いた上に、仕上として極細目の♯1000番とか1500番くらいで磨く。
さらに、人によっては植物性油脂(クルミオイル、米ぬかなど)を薄く塗布したあと乾拭きでよくふき取って磨いて仕上げる。
油分が多いと麺棒がべたついてかえって失敗の原因になる。手のひらにほんの少し油を付けて延ばし、その手で麺棒を磨くくらいの要領が適している。
料理用に売っているムキクルミの欠片を1〜2個布に包んで指で潰しながら使うのも良いし、米ぬかは糠袋が使いやすい。
日頃の手入についても同様である。