BOOKS   (文中、この色の部分は著書からの引用です)


お墓について書かれた本、作中にお墓が登場する作品など、気になる本をご紹介します。

BOOK LIST
1. 「自由葬」   2002年4月25日 UP
2. 瀕死のエッセイスト 2002年5月10日 UP  
3. 告知 2002年5月28日 UP 


■ BACK NUMBER







 自由葬
  小口達也著 金丸弘美監修 発行:(有)DANぼ 1850円+税

 従来の型にはまったお葬式ではなく、故人と遺族にとって納得できる多彩な葬送サービスを1冊にまとめた、いわば新葬送ガイドブック。以前、Journalのページでご紹介した「宇宙葬」をはじめ、自然葬、DNAペンダント、遺骨プレート、樹木墓地、生前個人墓、マンション型納骨堂など、すでによく知られた埋葬方法もあり、私からみればものすごーく新しい話題はそう多くはないけれど、「今まであまり意識したことはないが、いざ考えると冷たい土と重い墓石の下では眠りたくない」と思う人にとっては、格好の本かもしれない。

 それにしても派手な装丁。まえがきにはこう書かれている。

 「『自由葬』というタイトルで、こんな赤い派手な表紙にしたのは、そもそも死を考察するということは、自由な生と生き方を考えることであり、その対局に死があるという、積極的な意味合いを持たせたかったからである」

 この考え方にはすこぶる賛成だけど、金文字に菊のご紋風が、妙にものものしくてかえって手にとりにくいんではないかい。さすがの私もたじろいでしまうほどのインパクトだ。

 とはいえ、中身は実に爽やかかつ丁寧なつくり。一見奇をてらったような新種の葬送ビジネスも、ただ面白おかしく紹介するのではなく、サービスを提供する人たちの思いをきちんと伝えているところに好感がもてる。

 そして何より嬉しいのは、「新しいから素晴らしい。だから、あなたも自由葬を選ぼう」と声高に薦めていないことだ。むしろ、こうした個性的な弔いの手法を、「流行っているから、これ面白そう」と飛びついてしまうことに警告さえ発している。

 
「問題は、その精神です。ファッションのようなつもりで「自由葬」を選んでみるという態度はいかがなものでしょうか。人の死はもう少し重く厳粛なものだと思います。(略)つまるところ、人生の終局を表現する「自由葬」は、自分自身の全人生、生き方と緊密に結びついた究極の創造行為なのではないでしょうか。ひとつの思想といってもよいのでしょう」
  
 お葬式やお墓に凝るにも、それなりの経験と人生観と教養が求められる。いわゆる人となりというヤツだろう。そういうことを再確認する意味でも、読んでみて損のない1冊だ。
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