「Fatboy Slim」ことNorman Cookが手がけてきたリミックスワークスの自薦ベスト盤、だと思う。原曲の段階から彼が絡んでいる(後で説明)曲もいくつかあるが、基本的には後からミックスしたものばかり/自身のCDでは収録していないものばかりが集められているのでバラエティ色の強い一枚になっている。勿論ベースにあるのはノーマン節であり・老練の余裕であり・ファンキーな明るさなので気負わず聴けるのは相変わらずだ。
全13曲中5曲は「Beats International」と言うアーティストの曲がオリジナルなんだけど、このBeats InternationalってのはNormanが「Fatboy Slim」名義でソロをやる前から続けていた名義で大体90年代初頭に使用していたもの。活動期間も発表曲もそれほど多くは無いんだけどレゲエとヒップホップを足してビッグビートで割ったような音楽(当時はBigBeatなんて無かったけど)で、草分け時代からその筋では有名だったそうな。
流石にFatboy SlimリミックスだけあってBigBeatらしい曲も勿論多いんだけど、それよりもっと目立つのはM4からM9までゆるやかに続くレゲエ曲。おれは普段レゲエを全く聴かない(と言うかCDを持ってないし、知ってるのBob Marleyぐらいだ)ひとだからこれらの楽曲が「どう」なのか解説しにくいんだけど、聴いていて頭のなかに浮かんだイメージは乳バレー。赤道より5度ほどずれた南の島で13時ぐらいに浜辺に出たらこんな曲が勝手に流れてるような・鬱々とした空気の滋賀で聴くのは全くもって完全完璧に場違いに陽気なレゲエ。
日中ドライブに最適な曲が続くなーと思っていると、M10 Renegade Master[Fatboy Slim Old Skool Mix]で突然やたらとファンキーかつキャッチーな曲が!オリジナルはWildchildと言うレゲエ(HipHopか?)のアーティストでNormanとかなり仲の良い友人だったらしいが90年の末に若くして亡くなったそうな。ちなみにRenegade Masterは
リミックス盤まで出ていて、内3曲がNormanの手による物と言う辺りが親交の深さを物語っているようだ。
M11はオリジナルの作曲者がLunatic calmでこれまた意外な組み合わせだなぁと思ってたらM12ではJames Brown・・・どんどん方向が変な方向に行ってると言うと怒られそうだけど、途中続いたレゲエミックスの辺りを思うとここまでバリエーション増やすとは思わなんだと言うか、ゲロッパまでNorman化かよ!みたいな。ラストの曲に至っては遥か昔にどこかで聴いた「イェ〜ジャンボジャンボ」で、12曲目まで耐えられたのに最後で思わず吹いてしまった。いやー、もう巨匠の余裕っぷりには恐れ入るばかりですよ。すごいとしか言いようがない。
Peace! Unity! Love! and havin' Fun!