黄金シャワー
「カカシ先生!」
あれから、里まで帰ってオレはカップ酒とうっきー君を前にして陰鬱な夜を明かしたのでした。
せっかくのチャンスをふいにしちゃったダメなオレをうっきー君とカップ酒はなんにも言わずに慰めてくれました。
ついでに昔のスリーマンセルのときの写真もそっと横に置いたら、違う意味でもえもいわれぬ感じになって止めました。
ごめんごめん。
で、何日かこもってたら無理やり鳥さんが飛んできて、オレ召喚。
んで里の通りあるいてたら、イルカ先生に釣られました。
これってラッキーなんだろうか。
折りしも、冬曇りの空の隙間から、神々しいような陽の光りが差しこみはじめて、イルカ先生のまわりに降り注いでいた。
大神光臨!
オレ感動。
「…イルカ先生…」
「カカシ先生、よかった…、お会いできて」
え、イルカ先生、オレのこと探してた?
ちょっとうれしーなー…じゃなくて! そりゃそうだろ、探すだろふつー。
「あ、ああ、あの、イルカ先生、このあいだのは、その」
通りすがりだったんですーっていい訳しようとしたら、イルカ先生が満面の笑顔をみせた。
うおっ、眩しーッ。
「本当にありがとうございました!」
「へ?」
「里でききました! 俺たちが危ないって駆けつけて下さったんでしょう!? それなのに俺たちを助けたあとは何もいわず帰られて、なんて格好良いんだろうってみんなで言い合ってたんですよ!」
え?
そういう話になってたんだ?
てかイルカ先生のニコニコがオレにはまぶしーッ。
「だから、俺…カカシ先生に、お礼がいいたくて…」
今度は頬染めたー!
や、やらし…ッ!
その頬骨の上あたりがポッと紅くなって、ちらっとオレをみる上目遣い!
どこ!
どこで学んだの、そのテク!
オレは許しませんよ!
オレ以外には!
「いやそんな、ただ見過ごせなかっただけで…」
オレの特技のいっこは考えてることと喋ってることを同時並行できることでっす。
顔はほぼ隠れてるから問題ないです。
「カカシ先生…」
「イルカ先生が危ないのに、オレ、じっとなんかしてられませんでした…」
これはウソじゃないからね!
イルカ先生があんまりカワイかったから本音がぽろり!
そしたらイルカ先生、感極まったって顔して、目ぇ赤くしちゃった。
か、かわ…っ!
男前イルカ先生も嗜虐心をそそるけど、ノーマルに恥じらって可愛いのもイケる!
鼻血でそう。
「カカシ先生…、俺、冗談かと思ってました…」
「まさか! あんな冗談、いいません。 オレ、イルカ先生のことが好きなんです」
「こ、こんな通りでなんてこというんですか」
「場所なんて関係ありません。それとも場所で言うことコロコロ変える男のほうが好みなんですか」
「カカシ先生…!」
イルカ先生のあんまりのカワイさっぷりにオレはくらくらして一歩、近づいた。
そのとき曇天の空から細かい粒のお天気雨が降ってきた。
イルカ先生の恥じらって伏せた顔や額宛やまつげに、雨のしずくがうっすらと霧をふいたように付く。
オレはその白くみえるしずくを、指先で撫でるようにぬぐった。
イルカ先生がまた上目遣いにオレをみる!
ヤバかった。
この覆面、もし白の使ってたらオレ、紅白伝説つくれたかもしれない。
顔の中心から溢れ出す情熱の赤!
「カカシ先生…」
「水滴…ついてましたよ、イルカ先生」
イルカ先生が逃げないから、オレは調子こいて、近くにあった手をぎゅっと握った。
イルカ先生はおろおろしつつ、オレの手を払いのけたりしなくて、戸惑いつつも絆されてるって感じだ!
いけるよオレ!
浮かれたオレは、イルカ先生に微笑みかけた。
イルカ先生は照れたっぽく赤いほっぺのまま目を逸らして、お天気雨の空を見上げた。
「うわぁ…カカシ先生、みてくださいっ」
「なんですか?」
「すごく綺麗です…っ」
オレの愛&告白にドキドキしてるはずなのに、無邪気にお天気に感動するイルカ先生。
そのピュアさにオレが感動です。
照れて話を逸らそうとしてもオレは許しませんよ!
まあでも、確かにイルカ先生が感動してもおかしくは無いぐらいには空の様子が綺麗だった。
さっきから差し込んでた陽の光に、雨の粒が照らされて、空のあちらこちらにに黄金色のカーテンがかかったように、ゆらゆらとした光の筋が見えた。
通りを歩いていた一般人や忍びの格好のヤツも立ち止まってぽかんとしてたぐらい、珍しい光景だった。
イルカ先生もそんなヤツらと一緒の感動を味わってるとおもうと嫉妬がメラメラなわけですが、空を仰ぐイルカ先生の横顔が可愛くて、許す! 黄金のオーロラめ!
イルカ先生、ちょっと照れくさそうに、オレを見ながら
「へへ…、ちょっと見蕩れちゃいました…」
オレがそんなイルカ先生に見蕩れてます。
「綺麗ですね…、イルカ先生とみれて嬉しいです」
「俺も…、俺も嬉しいです」
頬染めながらそんなこと言うなんて!
もうそれはオッケーだと思って良いんですか!?
オレ、がんばります!
そんな期待いっぱいのオレの心を知らずかイルカ先生ったらもじもじと控えめに
「こんなの見たの始めてです。まるで黄金色の…空からのシャワーみたいですね」
で、ニコッとオレに笑って
「カカシ先生と見れて、俺も、ほんと嬉しいです」
「イルカ先生…」
「なんだか、俺たちのこと、祝ってるみたいですね…」
オレは感動して、もう言葉もなかったね!
もう自分の言ったことに恥じらうイルカ先生!
イルカ先生、もうオッケーなんじゃない!?
オレのこと好きだよね!
オレもイルカ先生のこと大好きです!
そんなこの心の狂おしさをイルカ先生に伝えたい!
目の前に広がる、この幻想的な光景と、隣に立つイルカ先生の可愛さ!
そしてオレのこの情熱!!
想いのたけを、いま、あなたに伝えます。
「オレ…イルカ先生の 黄 金 シ ャ ワ ー なら、いつだって大歓迎ですよ…!」
「カカシ先生…!」
オレたちの目の前には、美しい光のカーテンが空を彩って輝き、これからのオレたちの明るい性生活を悠々と照らし出していたのでした。
2007.2.4 終了! 投げっぱなしでいやもうほんと許してください。(土下座)