素敵。







 後ろがじんじんと疼いていた。

「あ、んぁ、ぃい、ぃ……」

 邪魔なものを下にすべて払いおとして、机のうえに乗せられた身体は仰向けで、両足を折り曲げられてまるで無様だった。尻の奥の穴まで明るみにでた格好で、カカシに舌を突っ込まれ、じゅるじゅると粘着質な音が部屋に響いていた。
 指が二本、奥のほうまでさしこまれ、前後へと抜き差しをしつつ、カカシは入り口を嘗め回していた。ときおり、ひくひくと滴をたらしたままのイルカの前身へと舌を這わせもするが、けっきょくは後口へともどり、イルカにしてみればもどかしいだけでしかない刺激を繰り返す。
 用意した膏薬はすべて使い切った。
 指で、奥の奥まで、擦り込んだ。
 おかげでイルカは、指で粘膜を擦りあげれば、それだけで喉をならし、身体を揺らして涙をながす。歯でどうにかしようとしていた手首の縄は、すでに緩んでいたが、それに気づくようすもなく、ただ縄を噛んで声を堪えることで精一杯のようだった。
 カカシは指の腹を、ぐい、と上へと擦った。

「ひゃッ、ああ……!」

 びくッ、とイルカの体が跳ね、白濁が、イルカの腹へと散った。ふふ、とカカシは嬉しくて笑った。

「後ろだけでいけるなんて、良いね」

 吐き出された精液を、カカシは嘗め取った。苦くて美味い。舌先が痺れるほど素敵だった。
 余韻に痙攣する体を無視して、カカシは指をさらに動かす。ぐちゅぐちゅと厭らしい音が立った。ひどくそそる音だ。すべてがイルカとカカシの体液だ。二人分が混ざって、溶けて、イルカの中で快感となる。

「や、やめ…、も、ぅ…ッ」
「―――気持ち良い?」
「も、動かさない、で、や、あ、…あぁ! また、あ、ぁ…!」

 喉が震えた。
 カカシはひときわ強く指を奥まで入れこんで、激しく突きまわした。
 イルカの声が高く鳴った。

「や、あぁぁ! も、や、あ、あ! い、ぃく、や、やぁ、あああぁ!」

 そうして弄ることもなかったイルカ自身が精液を吐き出し、腹がまた白くまみれる。ねっとりとした光るそれをカカシは舌先ですくって嘗める。あぁ。美味い。
 笑って、カカシは限度を超えていた自分のそれを取り出した。はりつめていて痛いほどで。

「ねぇ、イルカさん?」

 濡れた黒い瞳がカカシをみる。光はぼんやりとカカシを映すだけで、もうなにかを考えている色ではなかった。カカシはゆっくりと言った。

「欲しい、って言って? 俺のおっきいの、奥まで、突いてって。たくさん、擦っていっぱいにして掻き回して気持ちよくしてください、って言って。ここに、欲しい―――って」

 ここ、とカカシは怒張したそれで、ぬらぬらとした入り口をぐるりとなぞってみせた。イルカの肌が反応し、入り口が収縮した。まるで欲しがっているように。さんざん指と舌とでやわらげられたそれは、真っ赤に熟れて、カカシの目に、なによりもモノ欲しそうに映った。
 震える唇が、言葉を紡ぐ。思考よりも、本能だけで。

「いれ、入れ、て…くださ、ぃ…」
「―――欲しい?」

 濡れた目が、懇願するように、カカシをみて、微かに顎が動いた。頷いたと思った瞬間、カカシは身体をすすめていた。奥へ。張り詰めたそれを、イルカの体の奥へと、捩じり込んだ。

「あ、あああぁ…―――ッ!」
「ッ…」
「ん、んぁ、は、ん…ッ、やぁ、ぁッ!」

 一気に追い詰め、そのまま律動を開始したカカシに、とめどなくイルカの喘ぎがあがった。それがさらにカカシの熱を追い上げて、酷く強引にイルカを揺さぶる。繋がった場所からは間断なく粘着質の音が立ち溢れ、声は部屋中に響いていた。机の軋む音さえ、気にならなかった。
 粘膜がねっとりとカカシを包み、引けば追いすがって収縮し、突けば奥は果てのないようにカカシを飲み込む。熱い。狭い。けれど包まれている。気持ちが良い。内壁を先端でひっかくように突いた。

「あぁ、ん、…んッ、あ、ぁ…! そ、そこ、ぁ、んぁ、ぁ、あぁ…!」

 裏返りかけた声は、想像できないほどに情欲に濡れていた。カカシは、唇を嘗め、イルカの足を抱きこむ。いっそう強く体を穿ちながら、なんの隙間もないほどに体を繋げる。イルカの足でさえ邪魔で、奥へと入れたい、捩じ込みたいという欲求だけが頭を支配する。
 まるでそれを知ったかのようにイルカの奥壁が蠢き、カカシを飲み込み、イルカの泣く寸前を思わせる声が、カカシの脳裏を真っ白にした。

「も、ぉ…ッ、はぁ、ん、や、やぁ、あ、あ、ああぁぁぁぁぁ……ッ!!」

 一番深く繋がった瞬間。
 同時に、吐精した。
 イルカは自身の腹へ。
 そしてカカシはイルカの最奥へ。
 膨れ上がった違和感に、イルカが、泣いた。











2004/03/28