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宮崎そのふさんの感想文 |
瑠 璃 の 海 《小池真理子著》
この小説を読んでみたいと思ったのは、新聞の新刊紹介欄で、この本の紹介文を読んだ時だった。 すごく、”読みたい!”と言う気持を駆り立てられ書店に走った。 |
"「究極の恋に落ちた、男と女の果て」 バス事故で夫を失った30代半ばの萌、娘を失った作家・遊作。 突然の悲劇に結びつけられた2人は、 同じ孤独の淵で愛し合い、終末へと向かう。運命に弄ばれ、 静かな絶望に彩られた愛の行方。" |
簡単なあらすじとして・・・ "突然のバス事故で夫を失った萌と、娘を失った作家・遊作。2人は事故の遺族会で知り合う。 本来なら、その後会うはずのなかった2人だったが、遊作の著作「瑠璃」を、萌が手にしたことで、彼らの運命の輪は回り始める。 遊作の作品「瑠璃」に惹かれた萌は、遊作と逢瀬を重ねるうち、少しずつ心を通わせる。 彼が小説を書けなくなっていることを知った萌は、その支えとして傍にいることを望む。 同じ孤独と絶望の淵で、惹かれあう萌と遊作だが・・・。" この本を読みながら、色んな場面の描写を想像し、中盤で少しくどいかなと思う時もあったが、読んでいく内にその世界に自分を置いてみたりして、どんどん引き込まれていった。 「私はただ幸福になることを、それを精一杯求めているのよ」 カミュの言葉に導かれるように、永遠の彼方を求めてさすらっていく主人公2人の姿は、読者を恍惚とした境地へと誘っている。 小池真理子さんは「死はネガティブなイメージがあるけれど、ここでは二人がつくり上げていった幸福な愛、愛の究極としての死をそのまま受けとめてもらえるのではないかと思っています」 と、インタビューで語ったそうだ。 この本を読んだ方は、きっと「失楽園」と似てると思われるんじゃないかな? でも、愛の形がどうであれ、複雑でストレスの多い現代社会だからこそ、このような純粋な愛を多くの人が求めているのかもしれない。平凡な毎日(?)を脱却したい人に、是非とも手にして頂きたい一冊である。 |