ニューヨークで演じるのは全国二百五十人の団員からの選抜メンバー二十人。普段は別チームに属する。W杯の代表チームさながらの共演だ。すでに一昨年、昨年とニューヨークでダンスなどのレツスンを受けており、公演はその総仕上げという位置づけだ。 「うちでも開いてくれ」との要請は後を絶たない。ニューヨークに続いて秋には東京公演を行い、本格的に関東に進出する。一方で「三年後のロンドン公演を目標にレッスンを始める」。 団員の中からは、大手菓子メーカーのテレビCMに出演する人も現れた。テレビ番組のちょっとした出演などにも実績を積みつつある。「団員から、遠からず大スターを生み出したい。きっと需要はあるはず」。自身も五十歳を過ぎたら役者として入団し、舞台に立つつもり。若いころの役者志望が、気が付くと裏方に回っていた。いったんは眠らせた夢を、あと何年後かにはかなえる。「だって、そもそも、そのためにこの劇団を作ったようなもんですから」。 =敬称略 文・石鍋仁美 写真・塩田信義 |