バイオハザード6の二次小説を書いてます。
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【レオエイ/夫婦パロ】結婚記念日 <5>
***

どうしてここにいるんだろう。
そんな思考を読んだのか、レオンが後ろからエイダを抱き締めたまま耳元で囁いた。
「オマエ目立ち過ぎ」
意味がわからず横目でレオンを見ると、わざとらしく顔を顰めた。
「お前結構ここに立ってたんだろ?ここを通り過ぎた奴らが、すげぇいい女がいたって言ってたぞ」
そんなにいたかしら、とエイダは手首を返して時計を見た。確かに結構な時間が経ってる。レオンの行方に気を取られていたから気づかなかった。それで急いで戻ってきたであろうレオンの息は上がってはいないが弾んでいる。そういうところが本当にもう――so cute
エイダは苦笑いした。
「ごめんなさい」
首に巻きつく腕に手を添えて、エイダは前を向いたまま呟いた。
「今日は遅れて――まぁすっかり忘れていたんだけど」
「だろうな」
今度はレオンが苦笑いする気配がして、腕に力が籠る。
「でも思い出して急いで来たんだろ?――携帯忘れるくらいな」
言われて笑うしかなかった。確かにそうだ。普段であれば有り得ないとレオンは知っているから、もう強がる気にもなれない。
「そうね。もうそろそろあなたに愛想を尽かされるかしらと思ったわ」
「尽かすならとっくの昔に尽かしてるさ」
それもそうか、とエイダは後ろに気取られないように笑った。確かに昔のエイダは傍若無人で唯我独尊で――何より素直じゃなかった。やることがある、という建前を鎧にしてレオンを受け入れることを拒否していた。心は欲しいと叫んでいたのに、身体は背を向けたままだった。それを辛抱強く待ってくれた彼には感謝しかない――口に出しては絶対に言わないけど、きっと彼にはバレてる。完璧なポーカーフェイスのエイダの表情を読むことができるのは彼だけだ。
「腹減っただろ。レストランはもう無理だけど、軽く食べれるところなら――」
腕を解いてそう言いかけたレオンを振り返って上目遣いに見た。軽く目を見開いた彼の耳元に唇を寄せて囁く。

――「食べるより早く二人になりたいわ」

常時であれば絶対に言ったりしない言葉だ。仕事で言うことならいくらでもあるし、実際もっと甘えた声で言ったこともあった。でもこんなに渇望した声音は自分でも聞いたことがない。
レオンはエイダの手を乱暴に取ると、足早にホテルへ向かった。


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