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君と一緒に歩きたい


「私は,お兄ちゃんの方が好き.」
すると兄は笑って,続きを歌った.
「ブラコン美紀ちゃんには,まだ恋ははやい〜!」
「ちゃかさないでよ!」
私は,ギターを弾き続ける兄の背中を蹴る.
「おいおい.」
兄は呆れた顔で振り返った.
「お兄ちゃんが好きなの!」
勢い込んで叫んで,叫んだ後で,恥ずかしくなって顔を俯けた.
「好きなの,だから真剣に私の話を聞いて.」

兄と私は,本当の兄妹ではない.
同じ家に住んでいるけれど,いとこ同士だ.
だから,私は…….

「あ〜あ,」
兄の陽気なため息が聞こえる.
「俺はずっと我慢していたのに,台無しじゃないか.」
「え?」
驚いて顔を上げる.
兄の顔が間近にあって,びっくりする.
「好きだよ,美紀.」
兄の真剣な顔に,どきっとした.
「俺の方がずっと好きだ.昔からお前のことだけを見ていた.」
大きな腕に,ぎゅっと抱きしめられて,
「だから,そんな唐突に告白してきた奴とは付き合うな.」
私は「うん.」と頷いた.





――END(想い)
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