中国台湾の現行コイン(5)


1949年から50年代にかけての硬貨



 
蒋介石率いる国民党が共産党との内戦に敗れ、台湾に逃亡割拠した1949年から1950年代にかけての硬貨5種です。

 
コインの写真をクリックすると、拡大画像が見られます。


5 角 銀 貨


 「中華民国」38年、すなわち1949年(のみ)の発行です。1949年の何月に発行されたものかは分かりませんが、1949年の10月1日には、北京で中華人民共和国の成立が宣言されています。もっとも、その頃は台湾省だけでなく、奥地の四川省や雲南省なども、まだ国民党の支配下にありました。
 なお、この5角銀貨だけでなく、この時期の台湾の硬貨は皆、表面は戦前の国民党政権発行の貨幣のデザインを踏襲し、孫文像を用いています。




1 角 青 銅 貨


 これも民国38年=1949年のみの発行です。




5 角 黄 銅 貨


 この硬貨は民国43年、1954年のみの発行です。「五月二十日」が何を意味するのか確証はありませんが、1948年5月20日に蒋介石が「中華民国」の初代「総統」に就任したことと関連があるのかもしれません。




2角・1角アルミ貨


 2角アルミ貨は民国39年、すなわち1950年のみ、1角アルミ貨は民国44年、すなわち1955年のみの発行です。この辺の少額貨幣は、かなり使い込まれていて、状態のいいものは、ほとんど見かけないと思います。
 
 というか、これらの5種の硬貨自体、けっこうレアな感じがします。材質の割には「高価」であり、集めるのに少し「苦労」し、色々なところから1枚1枚買い集めました。
 デザインは、表面は孫文像、裏面は台湾島の地図と「台湾省」の文字で共通しており、これはこれらの硬貨が台湾省限定の「地域通貨」であったことを意味します。
 台湾の貨幣の歴史については、ウィキペディアの「台湾元」の記事をご参照下さい。
 

 台湾の貨幣のみならず、台湾問題を理解するためには、国共内戦の結果、中国全土の支配権を失った国民党が唯一保持したのが台湾省であり、そしてそれにも関わらず、蒋介石が「全中国の正統政権」という名分をあくまで保持し続けたことを押えなければなりません。そして、台湾は現在もなお、この主張を崩していません。





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