【Cinema Holiday】 もうちょっとうまけりゃ矢口史靖か? | |
=韓国発スクラップ・スティック・ムービー『クワイエット・ファミリー』= | 2000/7/2 |
(1998年韓国作品、監督:キム・ジウン、出演:パク・インファン、ナ・ムンヒ、チェ・ミンシク、ソン・ガンホ)
『シュリ』は結局120万人という韓国映画としては空前の動員数を記録したが、ではその後に続く作品は、となると、これは中々厳しい。『シュリ』以外で今年公開された韓国映画はわずか3本で、しかも全てミニシアターの単館公開。この『クワイエット・ファミリー』も、わずか2週間の公開という悪条件で、僕が見た時は観客が両手で数えられる程だった。やはり『シュリ』の一大ブームは、作品のクオリティと宣伝戦略の緻密さがもたらした特異的なものと理解するのが無理ないようだ。
さて、その『シュリ』で主人公ハン・ソッキュの相方を演じたソン・ガンホと、究極の敵役チェ・ミンシクが再びスクリーン上に揃った『クワイエット・ファミリー』は、一風変わったブラック・コメディ。都会からやってきた一家6人が心機一転始めた山荘経営だったが、やっとやってきた最初の客は死臭に取り付かれたような奇妙な男。案の上、男は自殺してしまい、山荘の評判が落ちるのを恐れた主人は、死体を裏山に埋めてしまう。この事件を発端として、訪れる客が次々と不慮の死(?)を遂げる様子と、一家のドタバタ振りが、これでもかというペーソスと共に描かれていく。
一種のシチュエーション・コメディとでも呼ぶべき作品だが、惜しむらくは登場人物それぞれの性格付けが弱い点。道楽息子ソン・ガンホと、生真面目だが気の弱い叔父さんチェ・ミンシクも、『シュリ』でもイメージが観る方にこびりついているせいもあり、インパクトが極めて弱いキャラクターになってしまっている。イ・スンユンとコ・ホギョンというトップ・アイドルを配した姉妹もストーリーの中でこれといった活躍をする訳ではない。一番強烈な個性を発揮するのは家族を強引に引っ張って行く父親役の名優パク・インファンだが、なんだかんだ言っても結局家長が一番の権力者、というのでは、意外性に欠ける。
ストーリー自体は、三谷幸喜的なシニカルさも充分覗えて申し分ないのだが、クスクス笑えても、大爆笑に至らなかったのは、キャラクターの陰の薄さが多分に作用していたのだと思う。
さて、次なる韓国映画の公開は、シム・ウナが崇高なまでのナチュラル美人を見せてくれるという(?)ラブ・ストーリー『美術館の隣の動物園』。うーん、早く見たい!! ところで、前にこのサイトで紹介した「韓国のトップ女優チェ・ジンシル」が、「ヨミウリ・ジャイアンツのチョ・ソンミン」と結婚するそうですが、みなさん知ってました? しっかし、いいよなぁ…… 早く一軍に上がってこいよ、ソンミン君。(ジンシル嬢の御尊顔はこちら)