我々の年代になると、年末の風物詩の一つに忠臣蔵があげられる のではないでしょうか?私も幼い頃、未だ娯楽の中心がテレビで なく映画だった頃に、毎週末に両親に連れられ、(香川県)善通 寺市や隣町の丸亀市の映画館へよく通った事を覚えています。 そこで観た総天然色シネマスコープ(懐かしい!)東映時代劇で のストーリーは、「浅野方が善者で、吉良方が悪者」というもので あり、従って配役も内匠頭が美男の大川橋蔵なら、吉良は月形龍之 介が顔をしかめながらにくにくしく演技しており、それ故必然的に 観客は全員浅野の味方になった訳です。水戸黄門や旗本退屈男、怪 傑黒頭巾等々、それらは等しく勧善懲悪の理念をベースにしており 、日本国民を真面目に黙々と働かせる為に、少なからず役立ったの ではないかと感じます。 然るに、近年徐々に真相を知るに連れ、私は「吉良こそ被害者では なかったか?」と思うようになりました。内匠頭は生来癇癪持ちだ ったそうで、季節の変わり目でかつ勅使接待のストレスで、吉良の よけいな嫌味の一言で切れてしまったのが真相ではないかと言われ ています。 |