初護摩
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 我が東雲会は多士済々である。今年も会員のお一人であるS水氏のお誘いで初護摩に参加させて頂いた。S水氏は奈良吉野の金峯山寺で要職を務めるバリバリの山伏さんである。お邪魔するとにこやかな顔で迎えて頂いたが、すでにかなりの人数の方たちが正座していらっしゃる。N井先生はじめ我々五名が座に着くと、程なくS水さんの荘重とも思える読経の声で初護摩が始まった。初護摩に参加させて頂きました。

 真言密教というが、我々門外漢には正直言ってすべてが神秘的である。お経にしても般若信教が唱えられているのは分かったが、あとはどんなお経か全くもって分からない。やはりせっかくこうした会に参加するのであれば、事前に少しでも勉強してからお伺いするのが常識かと反省した。

 それにしても分からないなあとI谷さんと顔を見合すのが、護摩木の炎である。炎は写真よりももっと高くなり、上に張られた紙(何というのか知らない)にまで達するのだが、燃え移らないのである。我々の陳腐な知識をあざ笑うかのように、護摩木の炎は生き物のように形を変える。その炎を見、多くの方たちの唱えるお経の響きの中に身を置いていると、何か得体の知れないエネルギーを感じる。

 在家の方であっても、日々法華経などのお経を読み続けているため、このような場で日常的な行動のような自然さで読経ができるのだという。翻ってわが身を考えてみると、資格試験を受けるときに税法の条文をかなりの数暗記したことを遠い昔のこととして思い出している。あるいは英信流の業の理合、所作をどれほど勉強しているのか、恥ずかしい気持ちになってしまう。仕事にせよ居合にせよ、それらはあなたにとって何ですか、本気で接しているのですか、そう問われているように思えた。