▼「研究をするとき、あまり仲間がふえすぎない方がよいのかもしれない。心臓は、肥大すると働きはにぶる」(心臓のように・倉澤栄吉)。「子どもたちと共に進むもの特有の境地を、他者の目を借りずに見つめよう。自分たちが心底から納得できる論理や手法を構築しよう」(成長の季節・杉中巧)。本機関紙の創刊号と第2号の巻頭のお言葉。

▼「新しい国語教室のあり方」(国語教育誌)の倉澤栄吉先生の論文を輪読することから始まった「さざなみ国語教室」第1回は、昭和57年3月25日と記録に残っている。会員は8人、月1回の例会と機関紙の発行を継続してきた。長かったという思いはない。1回1回を積み上げる度に発見があり自分が豊かになる実感があったから。例会の終わった後、学んだことを早く教室の子どもたちに伝えたいという気持ちが湧いて来ることが多かったから。

▼平成14年4月で、会発足より21年目に入る。時代は教育改革の真っ只中にある。会員の平均年齢も40を超え、若々しい集団ではないが、「子どもへの好奇心」は今も新鮮である。

▼過ぎた20年を振り返るより明日からの夢を語るのが、子どもを真ん中にした研究集団にふさわしい。求めてきたもの、問い続けてきたものは、今流にいえば「ほんまもん」である。新しい最初の一歩を踏みだす春がきた。(吉永幸司)