週末恒例・大人の五体投地

2002年2月24日(日) 「マダムキラー」

今は昔…

大阪は南部にある、とある色街。

自衛隊の駐屯地の周辺にありがちな夜の街。

そのコロはかろうじて「ソープランド」ではなく、

「トルコ風呂」と呼ばれていた…そんな鄙びたところ。


好奇心旺盛だったワタクシは友人数名と連れもって。

うはうは言いながら言わせながら参りましたよ、「信太山」


葛の葉伝説で知られる歴史とミステリーの街…


そんなことはどうでもよかった!

とにかく一刻も早く!泡の国へ!


そんなに大きな町ではない、この信太山。

選択肢も限られている。

なによりも雄琴、福原、大阪ミナミよりも格段に安い!

それだけが魅力で選んだ信太山…


しかししかし。

「安物買いの銭失い」こんなところにもその格言は生きていた。


適当に選んで、しかし、もっともヨサゲな店を選んで、いざいざいざ!


指名すると「指名料」が別途必要だ。

もう、清水から飛び降りるつもりで「お任せ」を選択する…


案内された部屋でドキドキしながらお相手さんを待つ


ガチャ!

(キ、来た〜〜♪)

「こんばんは〜ようこそぉ。ありがとうねぇ」

…………うわ。お、オカン(お母さん)や…

入ってきたのはもう、母親と同年代にしか見えない、それでも「トルコ

厚化粧バリバリ、八代亜紀なんかメじゃないぜ。

顔に触ったら粉がゴッソリ取れそうだ。


「はじめてぇ?」

「は、は、はい。こういうところは…」

「怖がらなくっていいのぉ」

(怖がるなってほうが無理っす)

「ささ、こっちいらっしゃい、楽にしてええんよぉ」

「いや、あの。ボク、ここで」

「あら?ええの?ふーん」

「いえいえ、そんなわけじゃ」

「おばあちゃんでビックリした?」

「いやあの。」

「ええんよ、別に気を遣わなくっても」

「は、はぁ…」

「いくつ?」

「19、です…」

「あらら。かわいいのねぇ。食べちゃいたいわぁん」

(ひぃぃぃ。食われるぅぅぅ)

思わず身を硬くする。身と正反対にアソコは柔らかいままだ

「うそうそ。あはははは。冗談よ。」

気がつけば服も着たまま、「オカンのトルコ嬢」とすっかり話し込んでいた。

お茶もお菓子も出してくれて、いつの間にか不思議に緊張もほぐれ、

学校での悩み、将来のこと、恋愛のこと…問われるままに話をしていた。

オカンのようで、オカン以上の安らぎ…これぞプロのテクニック!


「よかったら、またきてねぇ」

「え?あ?…はい」

「いいのよ、話すだけでも。アタシも楽しかったわぁ」

「はい、ありがとうございました」

今で言うところの、「癒されて」部屋を出た…


同じ時間に一斉に出てきた友人たちは一様にゲンナリした顔をしている。

「ど、どうやった?」

「いや、あかん。」

「俺もや」

その中で一人晴れ晴れとした顔のワタクシに友人たちの視線が集まる

「まさか、お前…」

「アタリやったんか?」

「いやいや。そういうわけやないけど…」

「くぅぅぅっ」

「くっそーーー、何でこいつのところだけ!」

「いや、ちゃうって、そんなんやないって」

その時、さっきのお相手の「オカンのトルコ嬢」が玄関に出てきた

「忘れ物よ。はい」

わざわざ100円ライターを渡しに来てくれた

「あ、すんません」

「じゃ、またね、バイバイ」


「まさか…お前…」

「うん、アレはスゴイ」

「アレとしたのか…尊敬するわ」

「いや、ちょ、ちょっと待て!」

「まあまあ、な。やっぱりお前はひと味ちゃう、とは思てたけど…」

「まさか、あそこまでとは…」

「そんなに飢えてたのか…」


もう、何を言っても信じてくれないまま、

翌週からしばらく、ワタクシのあだ名は「マダムキラー」になっていた


いや、ちゃうて。「オカン」とはでけへんってば!                                 

日記才人の投票ボタンです

戻る     次へ

週末専用BBSはこちら