足の指の間が痒くなる心意気
2004年2月3日(火)「立ち会い安産」 |
無事に産まれました。産まれてくれました。破水してからわずか2時間という、初産にしてはかなりの安産で、母子ともにむちゃくちゃ元気です。2月2日23時01分。2934gの女の子です。真っ赤っかのしわくちゃでしたが、助産士さんたちが声をそろえて「お目目ぱっちりの美人さんやねー」と言ってくれるので、親バカどもはもうすっかりその気です。 18時に病院に行って検査した結果、子宮口が開きつつある状態だったのでとりあえず入院。ただし、まだまだ時間はかかるだろうから、と言うことでボクはいったん帰されることになりました。まぁ大人しくまっすぐ帰るようなデキタ夫ではありませんが。 わんこは病院で夕食を取った後、「歩いた方が早くお産が来るよ」と助産士さんの助言を受けて“病院内一周探検ツアー”に出掛けたそうです。そしてその途中のトイレで産気づいたのです。 そのまま陣痛室に入って破水。時刻は21時頃。助産士さんから「旦那さん呼びます?」と聞かれたそうですが、まだまだかかるだろう、とその時は誰しも思っていたようで、結局ボクに連絡が来たのは22時10分でした。 その電話を受けたとき、ボクはパチンコ屋の中でした。単発大当たり2回目が終わった瞬間、ケータイに着信。あわてて出てみるとわんこのお父さんからで「もう娘が分娩台にあがってるらしいので早く行ってください!」との緊急入電! 病院からの電話はなぜか留守電に入ってしまっていて気がつかなかったようです。なんてこったい! あわてて玉を精算し車に飛び乗ります。確変連チャン中でなくて本当に良かった、と鬼のようなことを思う反面、「お父さんには、パチ屋に行ってたこと、完璧にバレてるな」と冷や汗と脂汗を掻きながら病院へ病院へ! 分娩室に直行するとわんこはすでに出産態勢に入ってます。そのイキむ声のなんとも痛そうでかわいそうで……。ボクは自分の、いや男の無力感にとらわれそうになりながら、とにかくわんこに呼吸を合わせるのに必死でした。一緒に「フーッ、フーッ」とやってると、わんこから「たばこ臭い」とか言われてまたまた無力感にさいなまれるのでしたが。 「もう、頭これくらい出てるよ」 「あと一回、さあ思いっきりイキんで!」 「もうそこまで来てる、さあ、もうちょっと!」 もう、ボクは泣きそうになってます。ホント、泣くのとせいぜいわんこの手を握る、それくらいしかできませんでした。 …………ぎゃ、ぎゃぅぅ、ぎゃうあう…… 「産まれましたよ! がんばったねー。おめでとう!」 「上手なお産やったねー」 「まー、かわいい女の子!」 助産士さんたちから口々に、わんことやや子に祝福の言葉が浴びせられます。うれしい、と同時にわんこに対する感謝の気持ちと涙がドッと溢れだしてきます。ボクは妻を見つめながら、その手を握ってウンウンとうなずくことしかできませんでしたが、心の中からは彼女に対する畏敬の念すら湧いてくるのでした。 でも、わんこの目にはもうやや子しか見えてないようです。ボクの方なんか一瞥もしてくれませんでした。挙げ句の果てにやや子にもうこんなコトを吹き込んでいるのでした。 「パパったら、わたしたちが頑張ってるのにパチンコ行っててんてー、非道いねー、おーよしよし」 明日から歩まなければならない、茨の道が、ボクの目にはすでにうっすらと見えてくるのでした。 |