足の指の間が痒くなる心意気
2003年7月15日(火)「はじめて見る我が子の姿」 |
産院の定期検診。わんこはビデオテープに超音波検査の画像を録画してもらう、と張り切って出かける。 毎日添い寝したり、お腹をなでてあげたりしてはいるのだが、実はどこかで醒めていた。傍観者になっていた。うれしいのはうれしいし、とにかく幸せではあるのだが、慣れる、というか何というか。我がことなのに我がことではないような。やはりこの辺が男の限界なのかも知れない。 だから仕事をしている間は、ビデオのことなどすっかり忘れていた。おまけに残業までして、家に帰る頃には日付が変わっていた。それでも妻は起きて待っていてくれた。正直、めずらしいこともあるものだ、と思い食卓に座る。 「さ、はよ食べて」 「なんで急かすん? ゆっくり食べな身体に悪いがな」 「見て欲しいモンがあるねん」 「なに? お腹?」 自分でそう言ったとき思い出した。そう、ビデオだ。 「ビ、ビデオだね。赤ちゃんの」 「そうそう。だからはよ食べて」 白黒の画面の中では頭が、手が足が、ちゃんと見える。心臓が動いているのもちゃんと見える。ときおり身をよじったり、手が動いたりするのも、よく判る。まだ体長5センチ。人間のカタチになりたての我が子の姿だ。 絵としてはかわいい、とかいう映像では決してない。パンダの方がかわいい。しかし何故だろう。かわいく見えてしまうのは。 「もう一回見たい」 「もう一回」 「もういっぺん見る」 わずか3分程度のビデオだが、そこにはじめて見る我が子の姿はあった。 「ほんまにこの中におるんやねぇ」 「うん、ワタシも半信半疑やったわ」 そんな話をしながらわんこのお腹をなでさすり、話しかけたりして。 「おーい、パパですよぉ、聞こえますかぁ」 こういうのを、術中にはまる、と言うのだろうか。だんだん傍観者でいられなくなってくるのが判る。だけど、はまった方が幸せなんだ、ということに気づいた。 まだ子どもが妻のお腹にいる今のウチに、思う存分「親ばか」しておこうかな。そのほうが妻もうれしいみたいだし。早くも家族サービス、ってやつかな。 |