足の指の間が痒くなる心意気
2003年6月25日(水)「子どもをウォッチする」 |
今まで「五月蠅い」としか思えなかった、シツケの悪いよそさんのお子たちに、近頃興味津々である。ボクだけではなく、わんこも。道ばたやスーパーで子どもを見つけると、夫婦揃ってじぃっと観察していたりする。 今日も今日とてスーパーの一角で非常にありがちな光景を目にする。小さな女の子が、しつこくしつこくおねだりを繰り返し、挙げ句の果てには泣き叫ぶ、と言う例のアレである。実は興味があるのは泣き叫ぶ子どもではなくて、そんな子どもに対する親の対処なのだ。 「ママー、あれ買ってぇ〜〜っ!!」 「あかん、もう帰るねんで!」 「いややぁっ! あかん、あかんあかん!」 「もうっ、うるさいっ! 静かにしぃっ!!」 と、ここまではごく一般的なごく普通のお母さんの対応だと思われる。が、この先がなかなか秀逸だった。 「いやーっ、だめーっ、イヤーイヤーイヤーッ!」 「……お母ちゃんはそんなアンタがイヤやわ」 この半ばあきらめたような、そしてため息のような切なさを帯びて、かつ迫力たっぷりに吐き出された台詞に、周囲の買い物客が一瞬、シン、と静まりかえった。遠くから「きのこの唄」だけが虚しく売り場に響き渡る。騒ぎたてていた子どももなんだか異様なムードを察したのか、やがて口をつぐみ泣きやんで、母の手を握って大人しくトコトコと買い物を続ける母に従っていった。 それを見て、わんことうなずきを交わす。 「子育ては、迫力と演技力だ! ……多分きっと」 あのお母さんの、あの吐息混じりの台詞は、演技力のたまものであって欲しい、と心から思うのである。 |