足の指の間が痒くなる心意気
2003年5月8日(木)「妻を何と呼ぶか」 |
先日わんこを職場に連れて行った。上司、同僚、後輩に紹介するためである。車を運転しながら職場へ向かう道すがら、ボクの頭の中はあることにずっと囚われっぱなしであった。 「まさか……『わんこ』とは人前では呼べまい」 「わんこ」どころか普段はもっと恥ずかしい呼び方をしてるのだが、そっちはもっと使えない。 ピーター=フォークでおなじみの「刑事コロンボ」にならって「カミさん」はどうだろう。江戸情緒に満ちあふれてる感じが、関西人にとても空々しい。思わずポケットに手を突っ込んでハスに構えて「ウチのカミさんがね」と、コロンボ警部のような格好をしなければ口に出来ない。無理だ。 では「嫁」か? いやダメだ。ジェンダー思想のダークサイドを刺激しそうだ。「女」偏に「家」の字で出来ている「嫁」は、ことにヤリ玉に挙がっていると聞くぞ。 やはり「妻」か。当たり前すぎてどうも詰まらない。……よし、「ツマ」ではなく「サイ」でどうだろう。関西漫才界の大御所、夢路いとし・喜味こいしのネタにそんなのがあった。 「あのー、ウチのサイがね」 「キミとこ、サイ飼うてるんか?」 「動物のサイやあらへん。妻や、奥さん!」 「あらどう見てもカバやで」 まさかウチのわんこはまだカバだとは言われまい(10年経てば話は別だろうが)。よし、「サイ」だ。「サイ」に決定。 #################### 「課長、これがあの、ウチのその……」 「おー。これが噂の。ようこそ。ゆっくりしてってや」 「か、係長、ウチのこれがあのその」 「ようこそ。いつもお世話になっております」 わんこもボクも打ち揃って、ただただ「あ」とか「どうも」とか「こちらこそ」とか言いながらニヤニヤとお辞儀を繰り返しているだけだった。 そう言うわけで、未だにわんこのことを、外でどう呼ぶか、決まっていないのだ。 |