足の指の間が痒くなる心意気

2002年8月4日(日) 「年上、年下 〜日曜日の恋愛論

 ご存知ではないかもしれないが、ワタクシは現在9歳年下の彼女─通称「わんこ」と付き合っている。なんだかんだでもう5年になるから、勘定してみると、その当時わんこは20歳、ワタクシが29歳、だった。

 付き合い始めるとき、あるいは付き合い始めてからも何度も投げかけている問い─「こんなオッサンでええんか?」。それに対してわんこはいつも決まって同じ答えを返す。
「うん?ワタシ、ぜんぜん気にならへんよ」
…こう言ってくれるのがうれしくて聞きたくて、何度も同じ問いを繰り返していたのかもしれない。

 こう書くと、なんだかワタクシが金でも持ってんじゃないか、わんこは実は金目当てなんじゃないか、と火曜サスペンス劇場などの常套的シナリオを思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれないが、そんなことは残念ながらあり得ないのである。

 さて、ナニゆえわんこは9つもの年の差を「気にならなかった」のであろうか? 決してワタクシが精神的に若かった、というわけでは残念ながら断じてない。ムシロその逆である。わんこが老けていた、のである。

 わんこはテレビをあまり見ない。偏見かもしれないが、往々にしてハタチ前後の若い女性というものは、やれ歌番組だ、アイドルの出てるバラエティ番組だ、と言う類のものに心惹かれるものであろう。ところがわんこの好きな番組はNHK教育に集中している。夕方の「ハッチポッチステーション」から「おじゃる丸」、そして「忍たま乱太郎」が、彼女にとっての至福の45分間である。また、「わんこの好きなテレビに出ている人」はNHKのアナウンサーに偏向して多い。「あ、この人…この前まで朝のニュースに出てた人や!こんな時間に出会えるなんて…なんかうれしい!」などという言葉を聞いたことは一度や二度ではない。地味である。

 さらに、食べ物であるがわんこはイタメシだとかフレンチなどにはほとんど興味を示さない。お腹が空けば何でも美味しく食べれる彼女は、非常に幸せなのではないかと思う。ちなみに彼女の好物はうどんと駄菓子である。お菓子の量販店などへ行くとついつい浪費癖を発動してしまうようであるが、せいぜいが駄菓子である。千円や二千円も買えば相当な分量になる。彼女は量で満足するタイプなのだ。

 同様に衣服や装飾品にも余り興味を示さない。指輪を始めとするアクセサリー、高価なブランド品などはほとんど持っていない。カバンやクツを買うのは好きなようであるが、「見て見て!これ、ナンボやったと思う?1,800円!安い!」というパターンの買い物である。“如何に安いものを買ったか”を自慢する「関西のオバチャン」そのままなのである。

 このようにわんこには物を贈ったり、良い物を食わせてやるなどによって生じる効果は少なく、一定のタイプの男性から見れば非常に物足りない側面もあるだろう。逆にまた、例えばそういう派手好きな若い男性には決してわんこはなびかないだろう。オッサンのワタクシに対しての、若い世代にしては珍しいのではないかとさえ思える地味目なわんこだったればこそ、この年の差が気にならないでいられるのだ。まさに「割れ鍋に閉じ蓋」の年の差カップルなのであろう。

 恋愛における年の差を埋めるのは「自分の身の丈にあった異性を見つけること」だと言ってしまえば身も蓋もないが、裏を返せば「背伸びした恋愛をしない」ということになるのかもしれない。うわべや見た目、ただ単に若いから、ということに価値観を置く恋は、やはり長持ちはしないものだ。当たり前のことだが、肝心なのは「年齢の差」ではなく、「生き方におけるスピードの差」なのではないだろうか?

 そしてそういう相手に出会えるか否かは、とどのつまり目線の置き方一つにあるような気がする。

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片言隻句

年の差も 80と90じゃ 変わりゃせぬ

ともに白髪、と 今から発毛  3太郎
下の句日々ハゲシク募集中です

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