足の指の間が痒くなる心意気

2002年5月9日(木) 「プロポーズ」


「ゆっくりとお話しする機会がなかなかないけれど、
今度私の人生設計の一部を聞いてくださいな。」


連休中に携帯に届いた一通のメール。

彼女からだ。

忙しさにかまけて返信すらしていなかった。

電話で話す時にはすっかり忘れていた。

久々に逢った昨日、食事中にふと思い出した。

いつもなら人でごった返すであろう神戸の海沿いのカジュアルなフレンチレストラン。

平日の、しかも外は雨。

客は我々二人しかいない。


「え〜と。こないだのメール…人生設計って、どうしたん?」

少しだけ不吉な予感もないではない。慎重に切り出す。

彼女もようやく今春から社会に出たところだ。

なにかしらの変化がないとも言い切れない。

「ん?あ。あのね。」

少し居ずまいを正す彼女。つられて座りなおすワタクシ。

「うん」

「ワタシの職場、だいたい3年で転勤になるねん」

「ああ。たいがいのところはそうやね」

「んでね。それまでにね。ワタシ、3太郎さんと結婚するねん!」

「………!」

「んで、一人目の子どもも、それまでに産むねん♪」


いままで、普通の会話の中では、なんとはなしに将来を約してはいた。

今それが、言葉として二人の前に。

しかもある程度ではあるが、明確に期限付きで。

やっと。そう、やっと具体化した。


この言葉を出すまでに彼女は彼女なりに真剣に考えてくれたのだと思う。

二人の進むべき方向を明らかにした安堵感で、少し肩の荷が下りたのか、

彼女の笑顔も心なしか和らいだように見える。


まだまだ越えるべきハードルは高く、数多くある。

ワタクシはテーブル越しに、まだ指輪もない彼女の手をシッカリと握っていた。

今度こそ。

この恋は、結婚してからも、もっともっと大きくなってゆくんだ。

そう想いを込めて。

お願い:現実のお知り合いの方々へ…どうかまだ秘密にしておいてください。もう少しだけ、そっと見守っておいてください…

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