足の指の間が痒くなる日記

10月22日(月)
都を平安京に移す(794年)
世界で初めてパラシュート降下が成功(1797年)
東京〜大阪間の郵便飛行に初めて成功(1919年)
石川県小松島大火(1932年)
ソ連のパステルナークがノーベル文学賞辞退(1958年)


雨でした

夜の帰り道

車のヘッドランプの視界に映るのは雨粒と地面から立ちのぼる濃い霧だけです

ヘッドランプを上向きにするともう、一面真っ白に霧が立ち込めているのがよくわかります

いつもはぶっ飛ばして走る道も今日は自然とゆっくり、おそるおそるの足取りです

ふと霧が人の形に見えたりして、ますますおそるおそる…どきどきしながら家路を急ぎます

通りなれているはずの峠道も、なんだか違う道みたいです

峠を越え、下りの長い直線・・・思わずアクセルを踏み込もうとした、その時・・・

前方3,40mほどのところに明らかに周囲の霧とは違う、より白さの濃いものがフワフワと…

「ふわっ? まさかまさか…ユゥレイヒィ〜??

アクセルに置いた足を、ブレーキペダルにあわてて移し減速っ!

下り坂、しかも濡れた路面! と、止まりません!

どんどんどんどん「白いもの」が近づいてきます

それとともにその「白いもの」の輪郭も徐々にスローモーションのようにはっきりしてきます

アレ、ナンダカはぁと型ヲ、シテイルゾ・・・

思ッタヨリ、小サイミタイダゾ・・・

ア、「白いもの」ノ上デ、ナニカ光ッタゾ・・・

確かにその「白いもの」の上で何か小さなものが二つ光ったのです

と同時に、何とかその手前2,3mで車は止まり、私はそれの正体を見極めようと

じわじわと目を上げると・・・目が合いました、合ってしまいました!

・・・それは大きな雄のシカでした

シカはこちらに白いお尻を向けて、悠々と雨の中、夜道をお散歩していたようです

そこへ何かまぶしく光る二つ目玉の怪物(自動車)が突っ込んできたものだから、

「んん? なんだ何だぁ?」といぶかしげに首をこちらに向けた、

その姿勢の雄ジカの光る目と視線が合ったのです

見詰め合うことしばし・・・

シカはまるで「ふん。しょうもなぁ、つまらん!」とバカにしたかのように

大きな角を振りたて傍らの藪の中に消えていきました

取り残された私は、事故を起こさなくてよかった、というホッとした気分と・・・

すっごく腹立たしい気分の入り混じった、

妙な虚しさをハンドルとともに抱きかかえて

しばらく動けずに、フロントグラス越しに雨を見つめていました・・・


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