春爛漫
「お兄ちゃん、早く起きてよ!」
「学校に遅れるわよ!」
俺は、中学3年の始業日を妹に起こされていた。
と、言ってもいつものことだが・・・
「お兄ちゃんは、朝に弱いんだから!」
俺は、何故か朝の目覚めがとても悪い、ものすごい低血圧のためだ。
男のくせにと言われるが仕方がない。
それに控え、妹は朝から元気はつらつなのであった。
「お兄ちゃん、早くしてよー」
そう言われながら、俺はまだハッキリしない頭を引きずりながら着替えと洗顔を済ませた。
しかし、最近特にその目覚めが悪くなってきていた。
それだけではない、身体の関節が痛み、お腹なんかもよく痛んだのだった。
「お兄ちゃん、朝ご飯はどうする?」
「いらない。」
「でも、食べないと、また倒れるわよ!」
確かに、妹の言うとおりだった。
最近、日に一回は、めまいを起こして倒れていた。
しかし、俺たちには、おふくろしかいなかったので、心配かけさせないため、妹には喋らせないようにしていた。
「わかったよ!」
俺は、ふらつく頭を押さえながら朝食を摂ることにした。
俺の家は3人家族だ。
俺の名前は、大山美津夫、14歳。
妹の名前は、大山良美、13歳。
おふくろは、大山のぶよ、39歳。
親父は娘が生まれたときに喜びすぎて、階段で足を踏み外して、下まで転げ落ちて、1週間後に逝ってしまったらしい。
その後、3年間は親父の保険金で生活していたらしい。
そして、俺たちが幼稚園に行き出すと、おふくろは花屋さんをはじめた。
それが旨くいってドンドンと支店が増えていった。
そして100店舗以上をもつ花屋さんチェーン店の女社長として成功していた。
そのおかげで家族3人、裕福な生活を送れていた。
しかし、おふくろは朝が忙しく早かったので、俺は妹の世話になりっぱなしだった。
20分ほど掛けて、やっと良美の作った朝食を食べ終えた。
そして、俺は良美の後ろ姿をみながら家を出たのだった。
すでに良美のやつは、第2次成長期を1年前に迎えていて、今では女性らしい体つきになっていた。
それに引き替え、俺は、まだ第2次成長期を迎えられないでいた。
声変わりもせず、髭も生えず、おまけに夢精どころか精通すら無かった。
でも、それでも俺は男だ、友達と同様に、女の身体に興味もあるし、ラブレターも貰ったこともあった。
ただ困ったことに、その中に半分は男からのものが入っていたのだった。
確かに、可愛い顔をしているのは認める、それが俺のコンプレックスになっているのも確かだった。
だから、俺は中学に入ってから体操クラブに入って練習に励んでいた。
身体も柔らかく、運動神経もよい方だったので2年生になってからは、代表選手として大会にもでていた。
しかし、3学期の中頃から体調がめっきり悪くなり、クラブにも出られない有様だった。
そうして、迎えた新学年だった。
そのような状態で、俺は妹の後ろ姿を目で追いながらふらふらと桜舞う通学路を歩いていった。
それは突然訪れた。確かにめまいと、お腹の痛みが続いていたのだが、
その痛みが、急に激痛になり俺の腹部を襲った、そして下半身になま暖かいものを感じた。
「おにいちゃん!」と、良美の叫び声を聴きながら俺の意識は遠のいていった。
それからのことは覚えていない、当たり前だ気を失っていたのだから。
気が付いたら、病院のベットで寝かされていた。
腕には、点滴が刺さっていた。
しかし、嘘のように、めまいだけは消えていた。が、腹痛の方は弱くなったものの続いていた。
そして下半身に何となく違和感を感じた。
布団をめくってみると、
いつものトランクスでなく、ぴっちりとしたパンツをはかせられていた、
そのうえ、小さいおしめみたいなものが当てられているようだった。
そして、何か漏らしたようななま暖かいものを股間に感じていた。
やがて、病室の扉が開くと、医者と、おふくろと妹が入ってきた。
医者は顔色も変えず、おふくろは泣き顔で、良美のやつは事も有ろうに、にこにこ顔で入ってきたのだった。
「大山美津夫君だね。」と、医者が訪ねたので、
俺は、「はい」とだけ答えた。
「えー、君のお母さんと、妹にはもう話してあるのだが、」
「美津夫君の身体事だが・・・」
とっさに俺は思った、もしかして不治の病かと・・・
「・・・別に悪い病気ではない、お腹の痛みも、数日で治まるだろう。」
「単刀直入に言わせて貰う、色々検査をしたが君の身体は・・・」
「美津夫君、君はね“女の子”なんだよ!」
それを聴いて俺は愕然とした。だってそうだろ、いままで男として育ってきたんだから。
「女の子?」
「そう、女の子だ!」
「だって先生、俺には、小さいけどおちんちんも、玉もありますよ!」
「確かにあるけど、それは飾り物だ!一切役には立たない。」
「もちろん今の男のままでも生活は出来る。だが、それには相当な手術が必要だ。」
「それでも、君の身体は、これからも男性的な変化は起こらない。」
「もちろん、ホルモン剤を使えば、多少の男性化はするが、決して子供は作れはしない。」
「しかし、女性を選ぶなら、もちろん子供も作れる立派な躰なれる。」
「もう、すでに君の躰はその準備を始めているがね。」
「薄々感じているとは思うが、下半身に異常を感じているだろう。」
「それは、すでに生理が始まっているのだよ。」
「今までの、腹痛はそのために起こっていたんだよ。」
「従って、女の子を選んだ方がいいと私は思う。」
「まあ、今のままでも、徐々に女性化していくがね。」
「だが、選ぶのは美津夫君、君自身だ、よく考えたまえ!」
「選べと言われたって、すでに女の子へと身体の変化が始まっているんだろ。」
「そうだ、簡単ではないがそれを止めることは出来る。」
「しかし、先ほど言ったが相当躰に負担の掛かる手術になるがね・・・」
「女の子を選ぶなら簡単だ、付いているものを取ればよいだけだからね。」
「それじゃ、もう女の子になるしかないじゃないですか。」
「そうかもしれん、しかし決めるのは君だ、私ではない。」
「一晩時間を下さい。」
そう言って、俺は布団に潜り込んだのだった。
「美津夫、お母さんはね、息子がいなくなってもいいのよ、その分娘が二人になるんだから。」
「お兄ちゃん、私もお姉ちゃんが出来ると嬉しいよ。」
「もう、二人とも、帰ってくれ、一人にしてくれ!」
俺は、思わず涙ぐんだまま怒鳴ってしまったのだった。
そうして、俺は病院で一人っきりの夜を迎えた。
窓際のテーブルには、生理用品が置いてあった。
僕はそれを手に取り、暫く眺めていた。
そして、トイレへと向かった。
そして、男子トイレの大の方へと入った。
ナプキンを取り替えるためだ。
「あーあ、俺がこんなものを使う羽目になるとは、」
「どうしよう、このままでも女の子へと身体が変化していくのだったら・・・」
そう呟きながら、用を足して、ナプキンを取り替えようとした。
「ところでどうやって使うんだ?」
袋を見ると使い方が記載してあった。
「なるほど、裏のシートを剥がしてショーツに張り付け・・・」
「どっちが前でどっちが後ろだ?」
「まぁいっか!」
「しかし、男の俺がって、半分女だったけどこんなもの使うとはなぁー」
「しかし、玉と竿が有るのにどうしたらいいんだ?」
「えーい、判らん。」
俺は仕方なく、玉と竿を引っ張ってナプキンが股間に密着するようにしてパンツを上げた。
そして、気がついたのだがトイレにはナプキンを捨てるところがなかった。
当たり前だ、そんなもの男子トイレには必要ないものだから。
そうして、換えたナプキンを持って手洗い場へ行くとおむつを捨てるところがあったので、周りを見回してからそっと捨てたのであった。
そして手を洗って病室に戻ったのだった。
そして、ベットに腰掛け考えた。
「しかし、まいったよなー、女の子だって。」
「今までの、俺の14年間は何だったんだ?」
「体操部のスターになって、これから彼女を作って楽しく行こうと思っていたのに・・・」
「これから先、スカートはいて、ブラジャー着けて、パンティー履いて、生活すんのかよ。」
「そんな変態みたいな事出来るもんか!」
「でも、躰はすでに女性化し始めてるんだから、いずれは、着ることになるんだろうなぁ。」
「くよくよしても仕方がないな、どうせこのままほっといても女になってしまうんだから、」
「それだったら、この際とびっきりのいい女になってやるか!」
「ようし!いっちょう、女の子になってやるかぁ!」
そう決めた俺は、そのまま布団の中に潜り込むと、ひとつのびをすると寝てしまったのだった。
続く
さあ、いかがでしたか?
女の子になる決心をした美津夫君、これからどうなっていくのでしょうか?こうご期待。