日本の地震被害については殆んどの日本人が理解しているはずですが、1891「M24」年の濃尾地震から1995(H7)年の阪神・淡路大地震
までの104年間に地震は13回(死者300人を越える)も起きています。
日本は地震国であることは日本人の多くは理解している。でも何故地震の被害が繰返されるのでしょうか。
・災害は忘れた頃にやってくるといわれるように、いつ来るか分からない地震に対し緊張感が持続できない。
・多くの日本人は地震の恐怖体験がない。
・地震に対する認識不足など。
・木造住宅(建て物自体が持つ問題)。
前段でも触れましたが、木造(在来構法)住宅は構造的な安全性を設計者や施工者の技術(力)に依存してきました。建築基準法第6条に掲げ
る「4号建物」として新築の場合確認申請審査時には建築士が設計した建物として、構造関係の審査が除外されて来ました。『4号特例』
1981年には「新耐震」と呼ばれる新耐震設計法が導入され、在来木造にも「壁量の計算」が義務付けられましたが安全性が十分に確保で
きたとは言えないと思います。 特例を活かし?構造的な検討をしないで新築された住宅も現実として多く存在する。確認を受けた内容と異な
る建物が現場で建てられたケースも実際に多くあります。木造住宅の増改築では構造的な検討が加えられることなく工事される(されて来た)
場面を見受けられます。 こうして在来の木造住宅は耐震性の低いまま放置されてきています。
《 在来木造住宅の耐震性はどこが?どの様に?低い? 》
・必要壁量が確保されていない
1981年新耐震設計法が施行され、改正以前の住宅では壁量不足となった。
・床構面や柱、梁などの接合部への配慮がない
1981年の新耐震で壁量計算が義務付けされたが、2階建て500u以内の木造住宅では構造計算までは省略され、簡易な方法での耐震性を
検討している。
建物構造にとって床構面や接合部が果たす役割は大きい。検討していない木造住宅が多い。
剛性の高い床があれば建物はゆがみにくいこと、壁を構成する柱、梁、壁と床の接合の重要性などの認識も不足している。
・無秩序な増改築が多い
増築する場合は既存部分を含めた構造の耐震性を検討する必要があるが、検討されていない事例が多い。
《 2000年以降の動き 》
・2000年に新たに「仕様規定」化が定められ、新築木造建物では筋違いの端部の接合、柱の柱脚、柱頭の接合など検討することになりました。
1985年に起こった阪神・淡路大震災は多くの悲惨な被害をもたらしました。(M7.3規模で、家屋全壊10万棟余り、死者6500人)
木造住宅の技術的な遅れを露呈しました。 その結果として鮮明に浮かび上がったことは、木造技術者が不足傍ら、耐震性能の不足する木造住宅
が存在するというような現実でした。
現在、日本は地震の活動期に入ったという学者の声もよく聞くところで、多くの木造住宅にとって耐震診断は急を要します。
耐震診断は既存建物を対象としている訳ですが、新築工事の場合、構造計画は初期の段階から検討できます。しかし、一定規模以下の木造住宅は
「4号特例」により建築確認申請時において、建築士の設計によるものとして構造関係の審査が省略されています。 審査が省略されていることを
いいことにして構造的な安全の確認をしないまま建築をされていることも多く見受けられます。従って新しい建物だからきっちりとチェックがされて
いると考えるのは危険です。設計者にチェック済みでの建築かどうかを確認した方がより安心かと考えます。
耐震診断はきちっと専門家(建設業者、設計事務所=「一般診断法」)に診断を受け、耐震補強が必要な場合は精密診断法(構造建築士)にて
補強計画をたて、修理・修繕・改修をする事をお勧めします。
因みに、無料診断をうたっている業者等には要注意、無料を名目に営業を行なっているのですから診断内容には期待しない方がいいでしょう。
無料ではしっかりとした診断ができるはずがないことを断言します。
細分化された耐震診断法
木造住宅は構造的な改修・リフォームを行えば
耐震性は向上し、耐用年数も長くなります。かつ、資産価値も上がる。
その前提として耐震診断は必要になります。
なぜ?耐震診断が必要なのか
建築士
工務店
大工
一般診断法
プロ
一般ユーザー
⇔
住い手
構造計算を行う
建築士
誰でもできる
わが家の耐震診断
精密診断法1
精密診断法2
私は構造屋でもなく意匠屋ですが、私的な立場で耐震診断等に対する思い、考え方など書き始めました。
あくまで構造専門ではありませんが基本的なところは押さへ、所有者に対して建築士として説明を義務としてしなければなりません。
一般ユーザーの視点で書き綴っていきたいと思います。