佐伯屋
SAEKIYA TALK
第10回・平成14年4月2日
Jリーグ開幕後(本当は開幕前にしたかった)2003年・第1ステージ順位予想企画・
優勝本命チーム編

鹿島アントラーズが来る!!

 ついに開幕した2003年Jリーグ。本来ならば先立ちたいところではあったが、当ページの管理人の都合上、後立ちのJリーグ順位予想となってしまった。今回もまた『らくのスポーツカフェ』改め『寺子屋らく』の管理人のらくさんをお呼びし、予め、第1ステージ優勝の本命、対抗、ダークホースあるいはビッグサプライズチーム、そして個人ではMVPと得点王を予想してもらった。そして、今回も両者の間で熱論(?)が繰り広げられた!!第1回は優勝本命チーム編をお届けしよう。

ゲスト:らくさん

ゲスト略歴
 福岡県出身。仏教からNBA、大分トリニータまでを気軽に語るサイト「寺子屋らく」(旧「らくのSports CAFE」)の管理人。大のプロレスのファンでもあり、レスラーフィギュアの収集をするにまで至っている。



らくの本命予想
☆鹿島アントラーズ

佐伯屋主人・丸木音二の本命予想
☆鹿島アントラーズ



ファーストステージ限定で考えるなら、鹿島
らく
 まずは、本命だけどズバリ鹿島。23歳のGK曽ヶ端に、DFが、右からお馴染みの名良橋と秋田、王者ジュビロ磐田から移籍した大岩に、東京ヴェルディから復帰した相馬と、現役の日本代表、元代表が揃う4バックは、フィジカル面の強さ、攻守のバランス、クレバーさ、いずれも実証済みで穴が無い。4人の中盤は、小笠原、本山、中田浩二ら「小野・稲本世代」の日本代表クラスが名を連ね、残りのボランチの椅子をフェルナンドと本田、熊谷らが争う。FWは柳沢と「風の子」の異名を取る元ブラジル代表エウレルの2トップ。 それに各ポジションに若手の有望株の控えを揃えている。例えば、DFであれば、金古や石川もまた小野・稲本らと共にアジアユース、ワールドユースに出場を果たした、素質では折り紙付きの選手だし、羽田も控えている。

鹿島・予想布陣

         ●       ●
       エウレル    柳沢
       (平瀬)
     ●              ●
   フェルナンド        小笠原
   (本山)
         ●       ●
        中田      青木
                (熊谷)
   ●                   ●
  相馬                名良橋

         ●       ●
        大岩      秋田

              ●
            曽ヶ端


佐伯屋主人
 羽田はケガさえばければ、アテネ五輪代表のDFの中心として君臨できる逸材ですね。アテネ五輪代表は3バックの中央に、鹿島の青木、ジェフ市原の阿部と、中盤ボランチの選手を起用しているだけに、早くフルコンディションに戻って欲しいですね

らく
 FWでは、柳沢が海外移籍(セリエAの新興チーム、キエーボ・ベローナ移籍が噂されている)で抜けたとしても、横浜Fマリノスへのレンタルから帰ってきた平瀬に、ベルギーのゲンク所属の鈴木が帰ってくるという!去年は怪我人が多く、ベストメンバーが組めなかった。そのため、若手が出番が増え、経験を積めたのは大きなプラスになったことだろう。こうした戦力の厚み、充実ぶりを考慮して鹿島を優勝としたい。

佐伯屋主人
 確かにファーストステージ限定で考えるなら、鹿島ということになりますね。鹿島の良いところはすでに御指摘の通り。それに「A3」極東アジア・チャンピオンズリーグのおかげで、早めにコンディションを仕上げられた分、他のチームを尻目に開幕ダッシュをする可能性が大いにあります。

らく
 しかも、磐田は中山のパートナー、G大阪、横浜FMは新戦力のテストに序盤は時間を割かないといけないが、鹿島は、Jリーグ初年度より確立されてきた一貫したコンセプトによってチームをつくり上げて来た。DF大岩やMFフェルナンドといった新戦力を、すでに出来上がった組織の中に当てはめればいいだけだから、チームの完成度という点でも、現段階で頭抜けていると思う。


鹿島帝国に死角はあるか?
佐伯屋主人
 ただ心配な点をいくつかあげておくとすれば、まずはディフェンスですね。「オーバー30」の4バックは、各人が1対1のマークでJ1屈指の強さを持っているから、例えば得点でリードしている状態でラインを深くして守れば、まさに要塞とも言うべき堅さになる。しかし、スピードへの対応という点では疑問に思う。浦和レッズの坪井やヴィッセル神戸の土屋などのように瞬発力で勝負できるタイプの選手がいない。

らく
 なるほど、確かに今年の天皇杯では、京都パープルサンガの松井や黒部らによる若々しいスピーディーな攻撃に耐えきれなかった。


佐伯屋主人
 そうです。リードされて追いかけないといけない状況になると、どうしてもディフェンスラインを上げざるを得なくなるし、その裏のスペースをいかにケアするのかと言えば、スピードで追いつけない以上ファールで止めるしか無いという状態になると思います。

らく
 だが、そこは中盤でのプレスや他選手とのコンビネーションによって、欠点を露呈させないようにするのだろう。なにしろ駆け引きの巧みなチームだから。


佐伯屋主人
 それと、相手ににディフェンスラインを深くされた時にどう攻めるかというのも問題。ミリノビッチがいる時の市原や、シジクレイと土屋のセンターバック・コンビが堅陣を築く神戸など、守備が粘り強いチームと対峙する時にどう攻略するのか。柳沢はDFラインの裏への動き出しの早さ、エウレルはスピードを生かしたドリブル突破で勝負するタイプの選手だから、カウンター時ならともかく、遅攻の時はショートパスを繋いで攻めないといけない。

らく
 鹿島にはロングボールやハイクロスを放り込むターゲットがいなくて、空中戦という武器が無いということだな。


佐伯屋主人
 そうです。状況が膠着すれば、小笠原や本山が個人技で状況を打開したり、それでも点が取れなければ途中から高さのある平瀬や長谷川を投入してパワープレーを仕掛けるのだろうけど、相手に守られたときに、チームオフェンスで組織的に相手DFを崩すアイディアを持っているかが重要になってきます。

らく
 確かに今年から延長Vゴール方式がついに撤廃されただけに、鹿島は1試合でのスタミナに自信があるチームだが、相手の疲労を待って得点を取りに行くという戦略は取りにくい。
 とはいえ、そういう問題はあるにせよ、チームの完成度はJ随一で、コンディションも開幕戦でピークにあるはずだから、主力に故障者が続出しない限りは、優勝候補の筆頭となるはずだよ。

完全覇者ジュビロ磐田を優勝の本命から外した理由
佐伯屋主人
 さてお互い、昨年の完全覇者ジュビロ磐田を優勝の本命から外しているけれど、その理由を聞きましょうか?

らく
 そうだな、「A3」を見る限り、今年のチームは苦戦を予想する。その大きな原因は、やはり高原の穴になる。その穴をブラジル人のグラウか、西が埋めようとするが、簡単には高原の代役は勤まらないと思う。西は元々トップ下の選手だからチャンスメイクもできるし、グラウはオールラウンドな選手で、それぞれ良さはあるけど、高原ほどの得点感覚は無い。また不動のFW、中山は36歳ながらもパフォーマンスの低下は見られないが、今シーズンはこのどちらかと、新たにコンビーネーションをつくり直さなければならない。2トップのコンビネーションがいつ完成するのか、それが遅れると序盤戦はかなりもたつくんじゃないかな。

磐田・予想布陣

         ●       ●
        中山       西
                 (グラウ)
             ●
            名波

  ●                     ●
 藤田                   河村
(ジブコビッチ)
         ●       ●
        服部      福西
                
      ●             ●
     山西            鈴木

              ●
             田中

              ●
             山本
          (ヴァン・ズワム)

佐伯屋主人
 そうですね、僕も高原を磐田が失ったのは痛いと思います。得点力もそうだけど、戦術面で、パワフルさ、ダイナミズムを失ってしまったことが痛い。西とグラウには、高原が持っていたマーカーを跳ね飛ばすような、フィジカルコンタクトへの強さは持っていない。磐田も鹿島と同様、相手との力関係を考えれば、守ってからのカウンターよりは、ボールを支配して攻めないといけないチームだから、高原不在で前線でのポストプレーとか、空中戦が無くなり、攻撃パターンが減少してしまいました。

らく
 ポストプレーなら、同じアテネ五輪代表候補の本格派センターFW西野がいるから、彼の成長を気長に待つという手もあるけど、新たな外国人FWを獲得してもいいと思う。オランダ人GKのヴァン・ズワムが23歳の山本の成長でベンチスタートが濃厚となっているし、旧ユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)代表経験のあるジブコビッチもレギュラーを取れていないから、思い切って彼らを切ってもいい。ヨーロッパの各国リーグの終わる6月から7月頃に動きがあるかもしれない。得点力不足が深刻になれば必然的にそうなるんじゃないかな。


佐伯屋主人
 ポストプレーという武器は無くなったけれども、それでも磐田は、日本でオフ・ザ・ボールの動き(ボールを持ってない選手の動き)が最も優れたチームだから、中盤のパスワークである程度のチャンスは造れるだろうけど、フィニッシュの面でも未だ中山に頼るのは、彼の年齢を考えれば、磐田の将来にとっては良くないと思う。高原の代役候補の西、グラウの二人だけじゃなく、スピードスターの川口にはスーパーサブの枠をそろそろ抜け出てほしいし、アテネ五輪代表候補の前田も素質的にはレギュラーを張る力量はあるのだから、彼らから、もっと突き上げが必要ですね。 

らく
 だから、高原の代役さえ見つかれば、再び圧倒的な強さを見せる可能性はあるんだよ。でも、そういうストライカーを見つけるのはチーム内では、現時点では難しいから、磐田は対抗にした。

(以下、第11回・優勝本命対抗チーム編に続く)

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