佐伯屋
意味なし芳一
スペシャル版・第1回:平成15年4月12日
子供っぽい平和主義も、大人ぶった対米従属も嫌いだ!
国防かつら理論を提唱する

どうして日本はアメリカに従わなければならないのか?
 全世界に波紋を呼んだイラク戦争も、米英連合軍がイラクの首都バグダッドに到達したことにより、いよいよ最終局面を迎えつつある。今後、米英軍の超近代的な(兵器の性能で劣るイラク軍にとっては卑怯に思える)兵器が中東の砂漠地帯を焦土と化せるのか、それともイラク軍が連合軍を市街戦におびき寄せ、私服兵士によるゲリラ戦法で第2のベトナム戦争化を狙うのか。または、窮鼠猫を噛むで、フセイン大統領は未だ発見されていない「大量破壊兵器」の使用に踏み切るのか。

 一方、平和で穏やかな日本国内では、アメリカによるイラク戦争を支持するか否か、つまり親米か反米かを巡って、新聞やテレビ番組等で、激しい論争が連日行われてきたのは周知の通りである。この論争を見ていて、大方の平和を好む日本人は誰もがそう思ったであろう。
どうして日本はアメリカに従わなければならないのか?、と。ただ単に、日本の政治家が事なかれ主義でだらしないから?それとも、次に起こるであろう米朝戦争で、日本が巻き込まれることを想定し、アメリカに守ってもらうためには、アメリカの機嫌を損ねてはならないという高度な(?)戦略だから?

 今回の『意味なし芳一』は普段の日記版を拡大し、筆者がかねてから温めていた国防(国家を守ること)論について、お送りしたい。

地毛ではなく、かつらに頼った国防
 どうして日本はアメリカに従わなければならないのか?戦後以来、政治の場面で対米従属への反対論はずっと取り沙汰されてきたことだが、現在に至るまで、日本の政治家の対米従属的な態度は全く改まっていない。そこで筆者は、この問題について考えて、ある結論に至った。それはズバリ、日本が、地毛ではなく、かつらに頼った国防をしているからである。高尚な(?)国防論に、地毛?かつら??いやいや、これらは、ものの例えだ。

大正製薬HPより、育毛剤『リアップ』    


アデランスHPより、「かつら作成」の画像。さまざまな調査、分析、商品開発のための最先端技術を駆使した実験から得た、数々の作製工程から品質検査を経てパスしたものだけがお手元に届くという


 人は、頭のハゲが気になってくると、見栄プライドを保つために、育毛剤かつらを使って何とか隠そうとする。無論、この両者にはメリットとデメリットがある。育毛剤は、自分のハゲ頭に塗って、専用ブラシで叩いてみて、地毛が生えてくるのを少しの間(個人差ありだが)待たなければならない。自らが望む長さに生え揃うまでは、その間、恥さらし状態である。その点かつらは被りさえすれば、すぐにハゲは隠すことができ、プライドを保持できる。

 しかし、
かつらは所詮は自分の髪の毛ではないから、強烈な風で吹き飛んだり、遠慮を知らない無垢な子供によってズラを指摘されたりといった突然のアクシデントに弱い。その時のかつら使用者の落ち込みたるや、何と説明していいのだろうか。一方、育毛剤によって生えてきた毛は紛れもなく自分のものである。

極めて質のいい地毛(国軍)はあるけれども
 地毛かつらの例を日本の国防の現状に置き換えてみよう。どこの国家でも、外国から自国の
領土を侵略されないために自国の兵士から成る国軍を持っている。

 日本の国軍、すなわち自衛隊は世界屈指の軍事予算を使っているだけあって、F15戦闘機や90式戦車といった兵器の質は優れているようだ。しかし、例えば、朝鮮半島や大陸の某国が日本に向かって核ミサイルの発射準備をしている場合、その発射前にミサイル基地を叩けるような爆撃機や、飛来した核ミサイルを完璧に打ち落とせる防空ミサイル、そして、日本本土に核ミサイルが着弾した際に某国に対して報復できるような核兵器は持っていない。では、某国が日本本土を征服する力を持っているにもかかわらず、どうして日本は今のところ平和でいられるのか?

F−15                              90式戦車


米空軍所属のB−2


 それは、日本の自衛隊が持っていない爆撃機や防空ミサイルそして核ミサイルといった兵器を、沖縄のほか日本各地に基地を持つ在日米軍という
在留他国軍が持っているからである。そして日本本土がアメリカ以外の他国から侵略を受けた場合、自衛隊と共に在日米軍が戦うことが、日米安全保障条約によって取り決められている。つまり、朝鮮半島や大陸の某国は、世界最強のアメリカ軍を敵に回せば、自分達も甚大な被害を受けることを自覚しているから、手が出せないでいるのである。

 日本の国防の現状は、確かに極めて質のいい地毛(国軍)は所々あるけれども、育毛剤で地毛を育てて、頭全体をカバーするよりも、肝心のハゲ
の目立つ部分(領土)については、アメリカからかつら(在留他国軍)を購入し(実際「思いやり予算」なる大金を支払っている)、それによってハゲを隠して(領土を守って)、独立国家としての見栄プライドを保っているのである。

北朝鮮ヤ中国カラミサイル飛ンデ来テモ知ラナイデスヨ!!
 しかし、本来の
国家の定義から言えば、かつら(在留他国軍)ありきの国防の現状はおかしいのである。なぜなら国家がどうして国軍を持つのかと言えば、外国の侵略を防ぐことは勿論だが、例えば「攻め込まれたくなかったら貢ぎ物をよこせ!!」という、軍事力を背景にした脅迫や干渉を排除するためである。かつら(在留他国軍)を買うことによって、そうした外敵は排除できるだろう。

 しかし、
かつら(在留他国軍)を買うと、それを買った国からの干渉を受け入れざるを得なくなるのである。それはどうしてか。どうしてかと言うと、日本を例にすれば、アメリカ側は貿易や金融の外交交渉の場面でも、こう言えるからである。


「日本政府ハ米国ノ言ウコトヲ聞ケナイノデスネ?ワカリマシタ!日本カラ米軍ヲ撤退サセマス。北朝鮮ヤ中国カラミサイル飛ンデ来テモ知ラナイデスヨ!!」
と。

 日本にしてみれば、平和は何ものにも変えられないのだから、アメリカの要求に従わざるを得ない。現状では、
在日米軍抜きでの日本の平和はありえないからだ。たとえ直接的に言われなくとも、日本の政治家や官僚達は、そのことを念頭に置いた、腰の引けた外交交渉をすることになってしまう。特に今は、次に起こるであろう米朝戦争で日本が巻き込まれる恐怖を考えればそうなるだろう。

 つまりかつら
の買い手が、「もうオマエには売らない!」とか「使っているの皆にバラす」などと売り手に脅迫されれば、見栄プライドの維持のためには売り手に従わざるを得ないのである。このイラク戦争は、日本政府の対米従属的な態度の真相を明らかにしたと言えるだろう。

(次回に続く)