基本的な製作法は取説に詰め込みましたが、ここでは「あれ?よく分からないけど、何だかうまくいかない…」となりがちな箇所をピックアップして解説致します。本当はそんな所ない方がいいんですけど…(^人^)
勿論、ご自身の方法で修正して頂けばよいのですが、「オス側パーツとメス側パーツがハマらない場合、どちらに原因があるかが分かるだけでも良いのではないか」と思いますので、よろしければご一読下さい。
また、レジンキット製作では基礎的なことですが、反りなど(耳の中の板→部品番号22など)は、熱いお湯につけて軟化し、反りを戻すことが出来ます。薄いパーツがぴったり沿わない場合などにお試し下さい。
まず、(1)の目から。
ここは、取説通りで問題ないと思いますが、Hアイズが取説の指示通りにしてもハマらない場合は、単純に目のフチのパーツ(部品番号23、24)の内径よりHアイズが上回っている場合があります。
この際は、Hアイズ側の輪郭を紙やすり等で、ちょっとづつ削り、調節してください。
なお、目のフチのパーツ内を「黒下地→銀塗装」される方が多いと思いますが、出来るだけ薄塗りをお勧めします。Hアイズを差し込んだ際、剥がれた塗膜がレンズ内に付着してしまうことが多いからです。同様の理由で、LEDを使用する場合もLEDを差し込んで、剥がれた塗膜を吹き飛ばした後、Hアイズを差し込むのがお勧めです。
また、目のユニットを顔パーツに差す際、仮組みでは差し込めたのに、塗装後は入らないということがあります(グロス塗装の厚塗り時に発生確率大)。このとき、無理に差し込むと、塗膜が割れたりするので、目のフチパーツ側の輪郭を紙やすりで様子を見ながら小径化していくのがお勧めです。接着は瞬着ではなく、目のフチパーツの底に糸が引く系のボンド(スーパーX等)を爪楊枝の先にほんのちょっぴりだけ付けるのがお勧めです。
(2)のアゴ下、顔パーツと後頭部パーツ(部品番号1と2)のアゴのラインがツライチにならず合わない。(左写真は修整後の見本です)
顔パーツと後頭部パーツ(部品番号1と2)の接合面の輪郭が0.1〜0.15mm違っている事があります(最初の仮組み画像でもそうなってますね(汗))
この場合は、大きい側を金やすりで削って、小さい側の輪郭にそろえてください。小さい側はあまり傷つけないようヤスるのがポイントです。その後、目の細かい金ヤスリ(ハセガワのレーザーファイルやすり/TL10など)で整え、紙やすりの#400→#800で傷を消し、#1000か#1500のサフを吹けば良いでしょう。
(3)その1、顔と後頭部をハメた時、すっきり閉じない。
「顔パーツ周囲の注型用の柱も綺麗に削った、後頭部パーツの接合面にも出っ張りはない、なのに0.5mmほどの隙間が何故だか閉じない。」その場合は、顔パーツ(部品番号1)の内部面、左写真上の緑の部分が干渉していることが考えられます。ここを精密ノミ(「ハセガワトライツールTT9」など)で削り、平らにしてください。おそらくピッタリ閉じます。
(3)その2、黒ラインパーツが頭部パーツにはまらない。
目の横から後頭部に回る黒ラインパーツ(部品番号18、19)が、頭部パーツ(部品番号1、2)に刺さらないという事があります。塗装してハマらなくなる場合と、」仮組みからハマらない場合があります。
仮組みからハマらない場合は、まず、頭部パーツの溝が目視上、綺麗な溝になっているか確認してください。殆どの場合、まず、顔パーツ(部品番号1)の内部面の左写真緑部分、特に下側の緑部分が干渉しています。平らに削り落としてください。前方向はこれでスムーズになるはずですが、後頭部側の溝に干渉部分が見えないのにハマらない場合があります。このときは溝を広げるより先に、黒ラインパーツの底面(点の窪みが打ってない側)を様子を見ながら金ヤスリ等で削ってください。
仮組みでは差さるのに、塗装後差さらない場合もあります。これは、(1)の項と同様、塗膜の厚みによるものです。溝の内面のみ、#1500以上の紙やすりで様子を見ながら慎重にヤスって下さい。当然ながら、溝内の艶がなくなりますが、グロス塗装であっても、この部分は光沢処理をあきらめるのが吉です。黒ラインと頭部パーツの溝の段差は0.2〜0.3mmぐらいなので、徹底しようとしない方がいいでしょう。下手に攻めて、頬あたりの塗膜まで剥離するような事態になったら、目も当てられません。
(4)尻尾部分のモールドが合わない
取説では、尻尾先端(部品番号8+9)、中央ライン(11+10)、尻尾本体(5+6))同士の接合面を優先し、尻尾本体刻印のモールド合わせを後に回すと書きました。その通りなのですが、モールドも勿論合わせたいもの。それに、モールドがぴったり合った場合でも、部品番号8と9の合わせ目を挟むので、大なり小なり、ラインの引き直しが必要となります。
そこで、ズレたモールドを一度瞬着などで埋めて、ケガキ針やスジボリ堂製 BMCタガネ(0.2mm推奨)でモールドを引き直すのですが、いかんせんフリーハンドでは引き辛い曲面。どうしてもガイドが必要です。取説にも文字だけで書きましたが、あまりに分かりづらいので、写真をご用意しました。使用した器具は「オルファ製 コンパスカッターS」。ガイド材には10ミリ幅のマスキングテープを使用しました。本当はもう少し硬いテープの方がいいのですが、入手の容易さと簡易さで今回はこちらを紹介します(若干頼りない気もしましたが、あるのとないのでは大違い。一応、役は果たしてくれました)。
まず、カッターコンパスの刃と針の間隔を35mmに固定。これでマスキングテープを切ります。半月状の方は破棄し、弧にえぐられた側の方を使用します。尻尾本体ユニットに貼って下さい。ケガく際は、一撃でガリッとせず、少しずつ傷をつけてゆき、掘りを深めて行ってください。ケガを負いやすい危険な作業(しかもかなり深手(汗))ですので、くれぐれも気を付けてください。
(5)お腹パーツと本体が、すっきり閉じない
恐らく、このキットの一番の難所ですが、うまく加工すると、気持ちよくピッタリ合います。ここがピッタリ合わない原因は本体側(部品番号3+4)であることは少なく、こちらは、底面がツライチに仕上がっていれば問題ありませんので、本体側の底面のラインは、いじらない方が良いでしょう。
問題があるのは、お腹パーツ(部品番号7)です。まず、工作に際し、何を使えばいいか工具が思い当たらない方は(左写真1)のものを参照してください。作者自身が使用しているものです。かまぼこ形状の金ヤスリと、そして先にも紹介した精密ノミ、「ハセガワトライツールTT9」です。
このほか、デザインナイフやセラカンナ(ボークス製)などが便利です。全て揃える必要はありませんが、下記の作業を見てから自分に合った工具をご用意下さい。
さて、お腹パーツの干渉箇所を削るのですが、お腹パーツの最外周の輪郭は歪んでいる事は少ないので、まずは信用します。もし、確実に反っているのであれば、お湯で軟化させて整えてください。左写真2と3は同じ画像で、修正前の物。写真4が修正状態です。
最初に、前後の注型用の太い柱を切除し、削り落とします。写真の一番下が完成状態です。後方の柱は削りやすいのですが、前方の柱は反った形状なので、削りにくいです。ここで、前述の精密ノミが活躍します。外側へ貫通しないよう注意して、柱の痕跡が残らないくらいに削り取ってください。
次に外周のフチです。フチは0.2mm程高くなっているのですが、内周が、バリで盛り上がっています(白い吹き出しの「お腹の輪切りの模式図」を参照)。これは、原型段階から施してある製法上必要なバリで、必ず存在しています。
模式図は非常に極端に描いていますが、実際は、おそらく0.1mmかそれ以下だと思うので、肉眼では見えづらいです。ですが、これが、本体とお腹が閉じづらい原因です。
本体に重ねてチェックしつつ、精密ノミやデザインナイフで最外周の輪郭を崩さないよう注意しつつバリを平滑化してください(特に胸の半円状の分割線のラインは一度崩れると修正が大変困難です)。