九州ツーリング

1994.7.14-7.19

7.16(Sta)

 今日もカンカン照りの天気だ。有り難いようなそうでないような複雑な気持ちである。まあ、合羽を着なくてもよいだけましか。事前の打ち合わせで、今日は霧島温泉まで行くことにしている。テントをたたんで、まずは高千穂へ向かう。国道325号を南下、山並みの間を抜ける快適なワインディングロードが続く。高千穂神社を過ぎて峡谷の入り口の駐車場にバイクを止めて高千穂峡まで歩く。ここはおそらく23年前の高校の修学旅行で寄ったと思うが、全く記憶にない。ゆっくりと流れる川の両側に垂直にせせりたった峡谷が見事である。どんな地盤の変化でこうなったのか知る由もないが、その神秘性を見せつけられると、ここが日本人の祖先が降誕した地と流布されるのもわかるような気がする。

高千穂峡
悠久の高千穂峡


 あまりに暑いので休憩所でアイスクリームをほおばり、火照りを癒す。さて、目的地の霧島温泉まではまだ遠い、先を急ごう。国道218号を延岡へ。延岡は工業都市、市内に近づくと工場群が見えてきた。ちょうど昼時になったので、駅前のラーメン屋に寄る。3人でビールを1本開けたが、この暑さでは酔いも回らない。ムチャうまかった。

 一息着いたところで、またバイクにまたがり国道10号を下る。途中太平洋が見えたが、また内陸へ入ってしまい、人家まばらな市街地を走る。宮崎市内に入る手前で自動車道(一ツ葉道路)に乗る。椰子の木が整然と並んでいてさすが南国宮崎だ。途中シーガイヤが間近に見えるサービスエリアで休憩と自宅への土産を求める。宮崎もゆっくり見て回りたいのだが、スケジュールがあわないので残念だが宮崎を素通りして一ツ葉から宮崎自動車道に乗る。いつものことだが、バイクにとって高速道を走るというのは本当に面白くないことである。絶えず路面を見ていなければならないから景色など見る余裕はないし、さらにスピードが出ているから横風が恐い。大型車にあおられでもしたら生きた心地がしない。

 小林のインターチェンジで降り、県道を霧島温泉郷へ向かう。霧島スカイラインは快適なワインディング、見晴らしとコーナリングを楽しむ。温泉街が近づくにつれて硫黄の臭いが立ちこめる。

えびの高原
硫黄のガスがたちこめるえびの高原


霧島温泉郷のはずれのキャンプ場を見つけ、夕食の買い出しを終えて近くの温泉に入る。キャンプ場はすでに家族連れで一杯だ。今夜も酒盛りが始まる。

霧島キャンプ
霧島キャンプ場の宴

本日の走行距離  258km

7.17(Sun)

キャンプ場の朝
宴の後、今朝もお疲れさん

 快晴。今日は今回のツーリングでどうしても行きたかった天草を目指すが、途中海を渡らなければならない。時間に余裕をみて走ることにする。最も近いルートとして、川内市から阿久根市を通過する。相変わらずカンカン照りが続くので、半袖の上江洲の腕が真っ赤になっている。彼はたまらず阿久根市内のスーパーで長袖のシャツを買うことにした。止まったついでに昼飯をとることにした。川内市も阿久根市も地図をよく見ると鹿児島県なのだ。鹿児島というと九州の最南端の桜島がまず浮かぶが、今我々が走っているところも鹿児島なんだと思うと、いやずいぶん遠くまで来たものだと改めて感激する。それにしても阿久根市を通過する国道3号は、やはり一桁国道だけあって通行量が並みでない。早く脱出したいものだ。国道389号へ回り長島町へ向かう。長島は島である。一方は橋で繋がっているが他方はフェリーでの通行になる。蔵之元からフェリーに乗り牛深に至る。フェリーの中はクーラーがよく効いて快適。乗客も多い。牛深は熊本県である。

 上陸後国道266号を北向けに走る。今夜の宿はあらかじめ本渡市にしようと考えていたが、まだ宿に着く時間ではないのでもう少し先に行ってみる。本渡から国道324号へ。島原湾を左に眺めながら、のどかな田舎道を走る。このあたりではバイクはほとんど走っていない。私は海岸沿いのアップダウンのある道を走るのが好きだ。一面海原が見渡せるより海が見え隠れする方が変化に富んでいい。

 松島町に入り、いよいよ天草五橋を渡る。五橋ともスタイルは異なるが、やはり海の橋梁は吊り橋が一番似合う。さて橋はこのあたりで泊まらねばならないが、あいにく適当なキャンプ場が見あたらない。地元の人に聞いてみるがもう一つ要領を得ない。それに3人ともこの異常な暑さの中で連日走り尽くめで、体力的にキャンプは無理ではないかとの結論になり、五橋のふもとの前島の国民宿舎に泊まることにした。やはり上げ膳据え膳は本当に楽である。設備はとても豪華とは言えないが、テントと比べると天と地の落差だ。火照った体を温泉で癒し、早く床につく。

本日の走行距離  305km

7.18(Mon)

 今日は今回の九州ツーリング最後の日。夕方までに別府に着かなければならない。テントを片付ける手間が要らないので、6:50に出発。まずは熊本に寄ってお城を見ようということになった。三隅町から国道57号を宇土市へ。宇土から左に折れて国道3号に乗り熊本市内に入る。熊本は九州のへそに位置している。賑やかな町であるとともに、歴史的にも由緒ある土地である。時間があれば漱石や森鴎外の史跡を回ってみたいが、そうもいかない。熊本城のみ拝観し先を急ぐ。

あとは味気ないものである。もと来た道を引き返すのみである。国道57号から阿蘇の外輪道路を経て、やまなみハイウェーから別府へ、ただひたすら帰路を走るのみ。別府港の手前のコンビニでお土産やフェリーの中での酒、つまみ類を買って乗船。17:10出航。

 風呂でさっぱりした後、ビールを飲みながら今回のツーリングの反省会をする。何せ全行程暑かった(@-@)。あのやまなみハイウェーですら、すれ違うバイクが極端に少なかったのが今年の夏の異常な暑さを物語っている。今年はみんな涼しい北海道や信州を目指しているんだ。これから夏のツーリングは北の方角にしようということで3人の意見が一致した。

本日の走行距離  228km

7.19(Tue)

 5:40神戸港着。今日は全員出勤することになっている。6:30無事家にたどり着いて、まずは家族に帰朝報告。久しぶりの暖かい朝食を食べる。何といってもわが家は落ちつくものだ。心地よい疲れの中出勤の準備をし、頭を切り替えて仕事に向かう。
本日の走行距離  39km

The end