奈良洞川(どろかわ)ツーリング Part1

1996.5.2-5.3

5月2日
ゴールデンウィークの谷間に定番の奈良方面へ出かけようということになった。今回も同行は同僚のU氏。去年ホンダのST1100というツアラーを買って、とにかく走りたいのである。行き先はぼんやりと奈良の洞川あたりにしよっかということで、一応西名阪の柏原の出口で9時に落ち合おうという約束をした。またこれがとんだハプニングの幕開けになろうとは、その時は予想だにしなかった。

7:40、天気も上々、最近のツーリングはついてるわい(●^o^●)、中国神戸西インターに乗る。高速道は毎度のこと松原料金所まではスムーズに走るが、ここの手前では必ず渋滞している。私のバイクは車列を縫ってスイコラスイスイ〜ってな感じで渋滞をものともせず、いつのまにか料金所の入り口に着いている。しかし、諸君!割り込む時は必ず後続の車に挨拶だけは忘れないように。ちょっとした合図がイライラを和らげるのである。

待てど暮らせど

8:40柏原インターを下りる。下りきったところでUの到着を待つとする。そういえば初めてバイクに乗り出した94年の秋に川湯温泉へ行く時に、F氏そして今回のU氏と待ち合わせた場所がここであった。待ち合わせの時間は9時。ところが9時を過ぎても彼は現れない。おっかしいなあ?確か1年前にもこんな経験があったなぁ。それは名阪国道の針インターで待ち合わせていたのだが、待てども待てども彼は現れず、結局1人でソロツーリングになったこと。阪神高速で彼のバイクがパンクしたため、続行できなかったということを後で知った訳である。

430FMのハンディ機で遊んで時間をつぶしていたが、9時半になってもまだ現れないので、よし!もう1人で行こうと決心し、とりあえず自宅に電話を入れ、もしU氏から電話があったら今夜は予定通り洞川キャンプに行くと伝えてもらうこととした。

165号で大和高田市を抜け、御所市から大淀町へ至る。ストレートで洞川まで行くとあまりにも早く着いてしまうので、桜の名所の吉野山を見ていこうと決める。

この時点で再度自宅に電話を入れると、なんと彼は「柏原」を「香芝」と聞き違えて「香芝」インターで下りたということである。まあ、確かに紛らわしいといえばそうかも知れぬ。でも行き先は伝えてくれているから夜には会えるだろう。

吉野の葉桜
この時期は下界では既に葉桜になっているが、高地にある吉野山はまだ見頃と聞いている。大淀町から吉野町への国道を右折しいよいよ吉野山を登る坂道にさしかかる。吉野山は義経千本桜であまりにも有名であり、下千本、中千本、上千本と次第に標高が高くなっていき、それぞれ桜の満開時期がずれているため、長い期間にわたって桜が鑑賞できるということである。さすがにこの時期では下も中も葉桜になっていたので、突き当たりの上千本まで足をのばすことにする。

上千本まではバイクにとって実に軽快なワインディングロード、何といっても緩い坂道がバイク走行には最高である。ところが、意に反してどうも下の方が騒ぎだしてきた。朝しっかり出してきたはずなのだが、完全に出切きっていなかったとみえる。しかしこんな山奥の沿道にはトイレなどあるはずはない。道ぶちに止めてしようにも、平地がないのでできない(ーー;)もうパッ、パニック!腰を浮かせて体をよじって菊座を締めて何とか踏ん張っているけど、、もうだめ〜!!と爆発寸前のところで、視界が開けて上千本に至る駐車場に突き当たった。そこには立派な、きれいな!水洗トイレがあるではないか(^_^.)大急ぎでバイクを止め、尻を押さえてトイレにかけ込み、柔らかい水のようなものを出し切ったあの安堵、快感は今も忘れない(~_~)

そこからまた奥へバイクを走らせ、昔義経が隠れ住んでいたというお寺の前までたどり着いた。車だとそこの大分手前で止めさせられるから、こんな時はバイクは有り難いものだ。そこから上千本のどん突きまでは徒歩で10分くらい。鬱蒼とした木立を抜けると、山間に視界が開けてきてその斜面地に吉野桜がそう五部咲きくらいできれいなピンク色に染まっている。五部咲きというのは正確に言うともう散り初めて五部しか残っていないということである。でも、間にあった!!斜面地を下りていくとそこは平地になっていて、盛りの頃には大勢の花見客で賑わっていたことだろう。

西行法師が篭ったという祠の前で記念撮影。名残の桜を確かめて上千本を後にする。上千本のにぎやかな土産物屋の並ぶ通りで柿の葉寿司定食で昼食とする。

11:50吉野を発つ。さてここから洞川まではさして距離はない。中千本まで戻って、黒滝村へ回る。洞川キャンプ場という標識を見ながら坂道を登っていく。あたりには人家は少ない。ちょっとした集落の中にガソリンスタンドが見えたので、早めの給油ということで燃料を補給する。

ハプニング!

相棒が満腹になったところでキャンプ場まで後一息、少し早いがキャンプ場に向かう。ここでハプニング発生!!つづら折りの坂道を登っていく途中で左のカーブにさしかかる手前で、タンクバッから免許証ケースがぽとりと落ちてしまったのだ。スタンドでお金を払った時バッグのチャックを閉めていなかったのだ。はっと気がついて免許証の行方を確かめようと速度を落として振り向いたとたんに、瞬間のことではっきり記憶にないのだがおそらくクラッチ操作をミスッたのであろう、
がっしゃ〜ん!
エンストしてしまい山側に転倒してしまった(:_;)幸いスピードが失速しかかっていてそんなに出ていなかったことと、転倒した場所が枯葉の堆積した場所であったため怪我をせずに済んだ。

とにかく早く起こさないとガソリンがもれてしまう。が、起きない(T-T)。荷台に大きな荷物を積んでいるので、重心が高くなっているため悲しいかな非力な私では起こせないのだ。

しばらく放心状態でいると、たまたま先ほど追い抜いたチャリダーが追い着いてきたので、手助けしてもらいなんとか起こせた。お礼を言い、バイクに異常はないか見てみると、チェンジレバーとクラッチレバーが曲がっている。クラッチの方はなんとか操作できるが、チェンジレバーが内側に曲がって車体にひっかかっていてレバーが動かないのである。手で曲げようとしても曲がるものではない。こりゃ困ったわい。山道で通過する車もないので助けを呼ぶことができない。地べたに腰を落として思案に暮れていると、助ける神あり!、U氏が登ってきた。どうやら私の家へ連絡して泥川へ向かっていることを知ったようだ。

チェンジレバーをはずして彼に預け、ガソリンスタンドまで戻ってなんとかチェンジできるまでに元に曲げてもらった。彼が来なかったら自らとぼとぼスタンドまで歩いて戻らねばならなかったのだ。いや〜、助かった(^_^)

一路キャンプ場へ急ぐ。そこからキャンプ場まではさほど距離はない。15:10キャンプ場着。トイレと炊事場の近くにテントを張り(キャンプではいつもこれを目安にしている)、夕食の買い出しと温泉に入るために元の道を引き返す。少し下ったところに洞川温泉センターという外湯があって入浴料500円也。きれいな透き通った温泉でgood!

今夜のメニューはちゃんこ鍋、酒が入るとやはり一人より二人の方が楽しいものだ。盛り上がったところで、少し離れてたところで寂しく飯を食べていたライダー二人に声をかけて、ちゃんこ鍋をふるまってあげた。二人で食べ切れないというのもひとつの理由(^_^;)

静岡県掛川市と埼玉県加須市のライダー、4人で写真を撮ったが露出が合っていなくて失敗。加須市のライダーには、この夏に行く佐渡島の上方を教えてもらった。かれは明日川湯温泉から白浜へ向かうらしい。掛川は明日のフェリーで帰るそうな。写真を送ってやるよと約束して(失敗だったが)、今夜の酒盛りはお開きとなった。
                          本日の走行距離 190km