尾道紀行その1 2004.4.29
大型連休の初日、前から一度行ってみたかった尾道へ日帰りで出かけることにした。
尾道といえば、志賀直哉や林芙美子など古くから多くの文人が好んで住んだ土地であり、小津安二郎、進藤兼人、大林宣彦の映画作品のロケ地としても有名である。
とくに大林宣彦は尾道で生まれ育った映画監督で有名であり、「尾道三部作」、その後の「新尾道三部作」と、尾道を舞台にした数多くの作品を残している。

小津安二郎の「東京物語」では、千光寺の高台から瀬戸内に点在する島々を背景にした尾道水道を一望する情景が強烈に記憶に残っており、また大林宣彦の作品では随所に尾道の風景が出演している。銀幕に映し出される尾道のそこかしこを実際に確かめたくて、初夏の休日に尾道行きを決心した次第である。

尾道市は広島県である。以前から広島と聞くと遠いという印象があったが、新幹線を利用すると日帰りで往復するのは訳ない。では各駅停車では日帰りは可能か?こういう時に、インターネットの「利換え案内」というサイトが親切に教えてくれる。このサイトにアクセスし、三ノ宮、尾道の駅名と行き帰りの到着時間などを入力すると、瞬時に三ノ宮と尾道間の乗り換え案内リストが出力される。この中で、行き午前8時21分三ノ宮発、尾道11時38分着、帰り尾道5時33分発、三ノ宮8時58分着という各駅停車乗り換えダイヤがあり、これを採用することとした。

4月29日、快晴の連休初日、愛車スペーシー125にまたがり7時20分に自宅を出る。自宅から神戸三宮まではこのスクーターで行くのである。途中長い新神戸トンネルを走るため、排気ガスを浄化するためマスクを着用し、初夏とはいえまだ寒い早朝なので、上下ウィンドブレーカーを着込んでの出発である。

8時5分三ノ宮着。市営駐輪場にスクーターを預けてホームへ上がる。混んでいると思いきや、姫路行きの新快速は意外と空いていた。神戸、明石、西明石、加古川に停車した後、わずか35分で終点姫路に到着。そこから8時 分発の山陽本線の普通電車に乗り換える。
始発電車のため座ることができたが、すぐに満席となる。1時間20分あまり、窓からぼんやりと外の景色を眺めながら各停の旅を楽しむ。
10時25分岡山着。ここから快速のサンライナーに乗り換え。これも始発のため楽々座席をゲット。
山陽本線では瀬戸内の景色を楽しみにしていたが、尾道市街に入るまでは山と畑、住宅地しか見えない。やっと海面が見えたのは車内放送で「つぎは、おのみちぃー」と聞く頃であった。
11時38分、尾道駅に降り立つ。こぎれいな駅前広場のすぐ前は尾道水道、さらにしまなみ海道ひとつの向島が視界に飛び込む。後ろを振り返ると小高い山が迫り、頂上には尾道城とその横にはお城とはかなり不釣り合いなホテルが並立している。 JR尾道駅
さて、まずは腹ごしらえから。駅前に林立するのぼり旗で、ここはラーメンも名物であることを知る。では尾道ラーメンでも食するか、ということで広場にたむろする尾道観光案内ボランティアのお年寄りに、お勧めのラーメン店を紹介してもらった。
なんでも最近テレビによく取りあげられているとかで、名前は失念したが、この先の商店街の通りにあるそうな。
祝日ながら人気が少ない商店街を散策がてら探してみると、あった!が、しかしドアには「本日休業」の札。本日は祝日であるぞ、観光客が押し寄せる日であるぞ。こんな日に休業だから、商店街が寂れる訳だ。空きっ腹では愚痴も出る。
休日ながらガラガラの商店街
仕方なくもと来た道を引き返し駅前まで戻る。最初に目に入った駅前のラーメン店に入り、ラーメンの大盛りを注文する。ラーメン専門店ではよけいなラーメンは要らない。素のラーメンで味は決まる。
待つこと数分、やっと尾道ラーメンが登場。では記念に一枚。
尾道ラーメンだが、特徴は天かすが入っていること。天ぷらの際の残りかすは普通うどんやそばには天かすうどんなどで出されるが、ラーメンに天かすは初めてである。麺は白っぽく、どちらかというとそばの麺に近い。ラーメンという常識の麺ではない。出汁であるが、醤油味でこれはおいしい。
全体評価としてはまずまずではなかろうか。まぁ好みもあるけど。
尾道ラーメン
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