カナダ旅行記
(もっとセンスのある名前は付けられんものか)
1999年1月31日、
案内人今度はカナダにオーロラを見に行ってきました。
今回はその様子をちょっとばかし。
ぐったり初日
とっぷり二日目
ぐっすり三日目
四日目以降の記録
ぐったり初日
旅行に出る日である。が、義朝昼まで寝ている。どうしたことか。
実は義朝この日いきなり体調不良で吐き気目眩むかつきとで起きあがることすらままならなかったのだ。
どうする。いきなり旅行記なのに闘病日記に名前を変えるか。
しかし名高いケチの案内人。
「キャンセルしたら10万円以上が水泡に帰す・・・それだけはできん・・・」
と、気力で空港へ。
これがまたいつもはバスで空港まで一気なのに今回は空港集合。家から空港までの2時間まるで死人のよう。
そういうわけで飛行機内ではひたすら寝る。寝る。寝る。
機内食が今までで一番ましだったということしか記憶に無いというのだからある意味アッパレ。
バンクーバー着。入国手続きを済ます。
「滞在日数と入国目的しか尋ねられることはありません」と添乗員さんは言っていたのに、
いきなり「どこに行くの?」みたいなことを尋ねられる。添乗員さんの嘘つき(笑)。
バンクーバーからまた飛行機で今度はカルガリーへ。飛行機嫌いの義朝にとってはもはや苦行。
そこからバスでバンフまで。
カルガリーはオリンピックもあった場所ですが、実は積雪量は少なく、スキー場は主に人工降雪気で間に合わせているとか。よって他の都市に比べて雪質はいまいち、らしい。
バスでも寝る。気が付くと目的地バンフに到着。
今夜泊まるホテルはカナダでも超有名ホテルバンフスプリングス(当然私は知らなかったが)。
格安ツアーでなぜそんな良いホテルに泊まれるのかと思いきや一階部分が改装中。加えて今はオフシーズンの冬。そうか、そういうわけか。
入ってみるとなぜか一階部分のみ異様に天上が狭い。私が狭いと思うのだからカナダ人は皆頭をぶつけるのではないかと余計な心配をしてしまう。
歴史あるホテルだけあって、部屋は狭く、古い(笑)。
しかし何となく格好良いので一人で喜ぶ。夕食時は生演奏つきのレストランだったのだが、そこで歌姫が宇多田ヒカルの「オートマチック」を歌っていた。やるな。
時差ボケと寝過ぎでこの日は眠れない。なぜか部屋のストープがしょっちゅう金属音をたてるし。他の部屋はそんなこと無かったそう。なんか悔しい。
目次に戻る
とっぷり二日目
この日から夜更かしを余儀なくされるので思う存分寝ておこうと思っていたのに、時差ボケで結局ほとんど眠れなかった。バンフスプリングスで「東京魔人学園」を読んで夜を明かした人間は私しかいないであろう(そりゃそうだ)。
朝食後、カメラ片手にホテル内をうろつく。温水プールがあるので使い捨て水着を購入、プールに行く。
この使い捨て水着購入に関しては義朝の英語力の欠落によって係りのお姉さんを非常に困らしてしまったのだが情けないので割愛(ほとんど言っているようなものだが)。
プールに行ってみると、なんと屋外プールまである。
雪の降る中屋外プールに浸かって「はあ極楽極楽」と露天風呂気分を存分に味わう。
そうそう、カナダの方の雪って日本のと違って妙にさらさらだから雪だるまがつくりにくいですね。苦労したよ(こいつはプールでそんなことまで・・・)。
朝風呂のあとは(風呂じゃねえって)街までおりていくことに。タクシーを使うのはもったいないので歩いていくことに。
外に出てみると大量に雪が降っている。
街まで約20分。到着したときには一つ雪だるまが完成していた。
街がちいせえ。
さて、何をするか。ん? そういえば昨日どっかの店の券もらったな。なんかメイプルシロップもらえるとか。行ってみるか。
で、その店の日本人の姉ちゃんとおしゃべりすること数時間(喋りすぎ)。
すっかり昼過ぎになってしまったので「昼はマクドで済ますか」というと、「マクドだったらウェンディーズにしておきなさい」との助言。じゃあ、とウェンディーズに。
レジのお姉ちゃんまたもや日本人。
「オーロラを見に行く」というとやたらとうらやましがる。さっきのお店のお姉ちゃんもまたしかり。
カナダに住んでいるからといって手軽にオーロラ観測にいけるわけではないらしい。
そろそろ集合時間に近くなったので集合場所「OKギフトショップ」へ。
名前でピンと来たかたはえらい。大橋巨泉の店である。店内には「人気商品」として巨泉のCDが置いてある。きっとウソ。たぶんウソ。絶対ウソ。
二階でしばしくつろぎ(OKギフトショップには休憩所があるのだ)、時間が来たのでバスに乗り込んでバンフをあとにする。
カルガリー空港からまた飛行機に乗り、イエローナイフへ。
ついたときにはすでに夜。小さい飛行機なのでタラップでおりる。
おりて外を見ると・・・・・・・何もない。真っ暗。地平線だよおい。ちょっと呆然。
空港からまたバスに乗り宿へ。
バスに乗り込んだときに現地ガイドのお姉さんが「いやあ今日は暖かいですねえ。−8度もありますよ。上着いらないですね」などと私には信じられない言葉を発していたが、数日後そのとおりの行動をとる私がいた。
三連泊する事になるこのホテルエクスプローラーホテルはかつてエリザベス女王も泊まったことのあるホテルという。まあ、この辺ホテルほとんどないしね(失礼)。
ホテルについて軽く今後の説明を聞き部屋で荷物をおいたらまたすぐバスに乗って移動。
そう、今日からこの旅行の目的であるオーロラ観光だ。
先ほど「荷物をおいたらまたすぐ」などと書いたが当然来たときの姿そのままで行ったら非常に寒いので現地で借りた防寒服を着用している。
これがまたつなぎなのだが分厚くて(当たり前)しかも色は赤。
「何だか消防士さんみたいだね」などといっていたが消防士よりも「アルマゲドン」の主人公達が着ていた服によく似ていた。
30分ほどバスにゆられてたどり着いた場所は山の中。
大きなテントの中でオーロラが来るのを待ち、オーロラが来たら外に出ていくのだ。
待っている間ヒマであろうと本を用意していたのだが(バンフで読んでいた本はその一部)テントの中は暗くて本など読めそうになかった。
テントの真ん中には大きなストーブがあり、その上で湧かしたお湯で自由に珈琲、ホットチョコレートを飲むことができる。
しばし待つ。
たまに外に出て空なぞ眺めてみたりもする。星が大きくて美しい。
待っている間に夜食もいただく。エスキモーの食べるパンと北極イワナのシチュー。
パンのほうはパンと言うよりスコーン。美味しかった。シチューもあまりに美味しかったのでついついおかわりまでしてしまう。
「オーロラが出たよ!」
との声がしたので直ちに外へ出る。
外へ出て、空を見渡す。・・・・・・どこ?
「ほら、あそこに」
ん? あれ? あれがそうなの? 雲じゃなくって?
本当に雲のようなものが雲のように動いているだけだった。が、じっと見ているとだんだん変化してきた。
若干、本で見るようにカーテンのように動き出したのだ。
「ああ・・・オーロラだ」
だからオーロラだってはじめから言ってるのに。
その白いオーロラを見ているとその中を一つ流れ星が・・・! 義朝、流れ星を見たのも初めて。大喜び。
この日はこれで帰還。
はっきり言って「なんだオーロラってこんな程度なのか」と思ったことは否めない。
目次に戻る
ぐっすり三日目
昨日帰ったのは午前様だというのに8時のモーニングコールでたたき起こされて半日観光へ。
ええ、オプショナルの半日観光に申し込んだ私が悪いんでございますよ。
バスに乗り込む。
バスの中でガイドさんが色々説明をしてくれる。
「こちらは高校になります。こちらでは学生さんはほとんど車で登校してきます」
「こちらが学校で使うカーリングの施設になります。」
「あっちが野外のスケート場です。」
「あっちは消防署・・・」
途中からあまり意識がない。すいませんガイドさん(バスの中って暖かいし・・・)。
で、降りたのが犬ぞり施設。
バスから降りてすぐに目に入ったのが小学生の時の飼育小屋ほどの大きさの(ああでもこれって一般的な説明じゃないなあ。三畳の部屋くらい?)小屋が。
それに犬が入っているならまだ納得できるがその中に入っていたのは大量の凍った魚であった。ちなみにこの時外気温−16度。魚が溶ける心配はない。
ちなみにこの魚、ワンちゃん達の餌だとのこと。
ドラム缶にこの凍った魚を何匹か放り込んで他のものと一緒に煮込むらしい・・・(まずそう)。
奥へ行くと犬小屋(一般の家庭によくあるタイプのものとあんまり大きさは変わらないです)がたっくさん。
そしてその犬小屋の数だけ犬もたっくさん。
しかし周りは雪景色。自分のしたオシッコも凍っているようなところでよくそんなに元気に暴れ回れるな君たちは。
この犬達はアラスカンハスキーといい、私が犬ぞりと聞いて連想したシベリアンハスキーではなかった。
スピードはあるが耐久力は今ひとつらしい。ま、用途によるということでしょうかね。
この街はオーロラ観光だけで成り立っているわけではなく、この犬ともう一つ、金で成り立っているのだ。
金山が三つあるのだが、一つは閉鎖中、一つはスト中で運営しているのは一つだけらしい・・・。
しかし金です。お金持ちなのでこの街には州税がありません(その前に行ったバンフも石油がとれる(んだったかなんだったか)ので州税がなかった。しかし次に行ったバンクーバーは州税7%・・・)。
この州の特徴をもう一つ。車のナンバープレートの形が変。なんと白熊なのだ。
カナダでもこんなナンバープレートを使用している州は他にないのでナンバープレートのレプリカはみやげの定番の一つらしい。
そうそう、金の話に戻ろう。
かつてゴールドラッシュの頃の名残の街がある。貧乏な人たちが一攫千金を夢見てこの街に来た。が、この街には致命的な欠陥が一つ。
家を建てるのにべらぼうに金がかかるのだ。
別に土地が高いわけではない(おそらく安いでしょう)。問題は材木の輸送費だ。
ここではあまりの寒さに建築に適した樹は育たない。言われてみればまわりに生えているのはひょろひょろとした白樺等の樹ばかり。しかもそれが樹氷と化している。これでは材木にしようなどとても無理な話。
最近できたという州議事堂(だったかなんだったか)などは材木費(およびその輸送費)に金がかかり250億という途方もない建築費を要しているとのこと。
そう言うわけでゴールドラッシュの頃にたてられたここいらの家は日本のウサギ小屋など屁でもないぐらいに小さく狭い。
物置にしか見えないくらいだ。当時の貧乏人達はこの物置で暮らしつつ金を漁ったというわけだ(何だか敵意を感じるぞ案内人)。
そこを通り抜けてたどり着いた場所はグレイトスレイブレイク。世界で五番目に大きい湖だ。
しかし今は真冬。湖は凍り付いている。
で、ここではこの期間のみ湖の上に氷の道路が造られる。
下は分厚いとはいえ氷。その上をバスなどが平気で走っていくのだからなかなか恐ろしい。この道があるとだいぶ向こう岸への近道になるそうな。
これほど寒い地域なので火事などとは縁がないように思いがちだが大違い。
非常に乾燥しているので火事も起きやすい。そして火事がいったん起きたら鎮火に非常に時間がかかるのだ。何せホースから出た水が出たそばから凍り付く。
で、消防員がそれを砕く。やっぱりカナダにも野次馬というのはいて車で見に来る。飛び散った氷がタイヤに付き、野次馬も動けなくなる。
まるで笑い話のようだが本当にここではそういう消火風景が見られるそうな。
半日観光なのでお昼を食べて解散。
このお昼ご飯。・・・・・・私今までの人生でこれほどまずいデザートと珈琲をいただいたのは初めてです。
「泥水のような珈琲」はこのようなものかと感動してしまった(そして毒々しい色をした上に砂糖のかたまりのようなキャロットケーキ)。
午後は同室のお嬢さんと街でお買い物。とりあえず基本として郵便局へ行き、記念切手を購入。
日用品を取り扱っている店へ入り、欧米製の泡立て器を購入。形がちょっと変わっていて(螺旋状)、前から欲しかったのだ。
スーパーにも行き、ジュースだのほっとチョコレートだのを購入。おっと、ゲーム雑誌も買って置かねば。
当然この夜もオーロラ鑑賞。
バスに乗って連れていかれたのは昨日とはまた別の場所。
やることは前回とほとんど変わらないのだが、小屋が豪華だった。
外に出てオーロラを待つ。オーロラが出るまで室内で遊んでいる方もいらっしゃるが、外に出て満天の星空を見ているだけでも楽しい。
こういうときに星座の知識がほとんどないのは少々悔しい。
一度間食の時間が来たので小屋に戻る。と、間食のうどん(笑)を受け取った途端に「オーロラが出たよ」の声が・・・。
うどんをほったらかして観測地へ走る。
昨日と同じように色はない。が、見ていると見る間に大きくなっていく。
空の端から端まで反物を誰かがひっくり返したように広がっていく光の帯。そしてよく言われるようにカーテンのごとくひらひらと動き回る。
もう寝っころがってもオーロラのすべてを見ることができないほどに空一面で光のショーが繰り広げられている。
はじめは白一色に思われたが、うっすらと青、緑の色が付いているような気がする。
そしてその光に目を奪われていると目の端をまた流れ星が・・・。
もう観測に来られた皆様方大騒ぎである。カメラを構えていらっしゃる方もいたが、はっきり言ってそんなことをしている閑があったら空を見ていたいほどに目を離せない情景であった。
この情景に95%感動しながらもあとの5%で「ああ、もううどんは伸びきってしまったであろう・・・」なんて考えている自分が哀しい。
結局この日は観測時間を延長することとなった(ちゃんとあとで伸びたうどんも食しました)。
帰るまぎわ、人がトイレに行っている間に赤い色のオーロラが出たという噂。非常に悔しい思いをする。
四日目以降の記録へ
戯れ言帳・目次に戻る