続・カナダ旅行記

あんまりにも話が長すぎたんで前後に分割。
と、言うわけで後半の旅の記録です。


うっとり四日目
さっぱり五日目
すっかり六日目
カナダあれこれ



うっとり四日目

この日は夜まで観光も何も予定がないので一人で散策をする事とする。
まずイエローナイフの街のはしーっこにある土産物屋へ。
すでにマイナスのここの気温にも慣れたので厚手のカーディガンとマフラー、帽子に手袋という比較的軽装備で行く。
鼻が冷えるのでマフラーを鼻の上まで巻く(まるで変質者)。歩いていると自分の息がメガネにかかってメガネが曇ってくる(この日は面倒くさいのでコンタクトをしなかった)。しばらくその状態で歩く。
ん・・・? 立ち止まり、メガネを拭く。曇りがとれない・・・。凍っていた。
さらに歩く。20分近く歩く。やっと目当ての店に到着。開店30分前(義朝の大馬鹿)。店の前で待っていたら本当に凍えてしまうので仕方なくまた歩く。
昨日行ったグレイトスレイブレイクの端っこ。湖の上を歩く(車のあとがあるのが何とも・・・)。
湖側から港に停まった船を眺める。この船は氷が溶けるまで動くことはままならんのだなあ。
ここの住民の方は自分でセスナを持っている方も多く、グレイトスレイブレイクを滑走路として飛び回る。よってとんでもない大轟音がほてほてと歩く私の耳を直撃する。
夏もやっぱり湖から飛び立つそうな。
こうして歩いていると凍りきった(すでに地表の見えない)地面にも関わらず自転車で走っている少年を発見。他の誰に話しても半信半疑だった。見たんだよう。
そろそろ店も開いた頃。
店にはいるとメガネが真っ白(お約束)。しばらく店内を眺め回すが別に買うものもなく出ていく(今までの苦労はいったい・・・)。
街のほうに戻り(またメガネが凍り付いた)、散策。バンフ以上に小さな街なのであっという間にまわり切れてしまう。

とりあえずお昼。
適当に店に入り、珈琲を飲む。さて何を頼もうか・・・。
嫌な予感がして財布を開けると中には数セントのコインがあるのみ。義朝ピンチッ!
・・・一応トラベラーズチェックはあるのだ。カードも・・・。店のお姉ちゃんにトラベラーズチェックを見せ、「じす、おーけー?」と自信なさげに聞く。
実はこの街に到着したときにガイドのお姉ちゃんその他から「この街ではトラベラーズチェックはほとんど使えない」と聞いていたのだ。あわわ。
しかし、神は私を見捨てなかった。お姉ちゃんは怪訝な顔をして上司に尋ねに行ったが、どうやらオッケーだったようだ。笑顔で帰ってきた。
と、言うわけで安心して食事を済ます。伝票と一緒にTHANK YOUと書いてある飴が付いていた。わーい。
寿命が何年も縮んだような思いをした昼食のあと(実はここの食事は今回の旅行でもかなり美味しいほうだった)、また街をうろつく。
ん? 怪しい店発見。早速中にはいる。異臭。
入り口入ってすぐの所にはオモチャが。ちょっと進むと食紅やケーキの型(ただしキャラクターの形をしている)が並んでおり、反対側に進むと今度は画材、その隣は文房具や手芸道具が並んでいる。
さらに奥に進むと・・・異臭が強くなる。奥はペットショップになっていた。
これ全部レジは同じ。
観光用に渡された地図には「手芸用品・ペット用品」とある。っつーことはあの油絵の具やシールとかもペット用品や手芸用品か。
などというツッコミはさておきここで油絵の具と紙を購入。
レジのおじいさん、「Are you painter?」と聞いてきたので「いえーす」と答えておく。なにやら人をだましたような気が(絵を描いている人というのに間違いはない・・・はず・・・)。
で、ホテルに帰り、同じく一人でこの旅行に参加されている二人のお嬢さん(一人は昨日一緒に街をぶらついた同室のお嬢さんだ)とまた街へ繰り出す。
博物館や観光所に行きさっぱり分からない英語の解説と展示品を見る(それなりに楽しい)。
今度は薬局でリンツのチョコレートを購入。そのほかリップも購入(実はバンフでも購入している)。
日本にもあるシャンプーだの薬だのを見ては大いに受ける。
季節柄スーパーや薬局でもバレンタインのチョコレートを取り扱っていた。
カナダでもバレンタインにはチョコレートを送るのか。
酒屋で怪しげで安い試験管のような入れ物に入ったカクテルを大量購入。これを某オフ会に持ち込んであまりの・・・さに大受けしたというのはまた後の話。

はい、で、また夜。オーロラ鑑賞の時間になりました。
またもや星空を眺めて「あれがカシオペア?」などと星談義をかわしながらオーロラの出現を待つ。
オーロラを呼ぶには口笛を吹くと良い、といういかにも迷信臭い話があり、待っている間ヒマなので毎日口笛を吹いていた。
普通皆様「ぴー」とならすだけなのだが、義朝暇つぶしがてらに口笛で演奏会なんぞを開いてみる。
クラッシック、チャルメラ、マクドナルド、あんパンまん、エヴァンゲリオン・・・。ジャンルも何もバラバラにリクエストのままに吹き続ける。・・・ガッチャマンなんぞを吹いているときにはかなり自分が馬鹿者になった気が(いや、気のせいじゃないだろう)。
肝心のオーロラは小さいのが出たり消えたり。そのうち間食の時間になったのでまた小屋へ。
もうお約束。間食を手にした途端にまた巨大オーロラの出現。
先日の失敗を生かし今度は食器を手にしたまま観測地へ(怪しい)。
シチューを食べながらオーロラを鑑賞する。こんな巨大なオーロラが二日も連続で見られるとはかなりラッキー。
昨日とはまた違う美しい光のショーを満喫する。自然のいたずらというが、まるで空をキャンパスに巨人がつくっているかのような気もする。
真っ暗で左にいる人が誰かもわからない。
そんなところでみんなが空を見上げて隣にいるだれだかわからない人に「奇麗だねえ」と話しかける。
オーロラが派手に動き出すと、飛び跳ねてみんな喜ぶ。こんな時間を共有するというのはいいものだ。
もう明日にはこの街を去らねばならない。
よって今日は早くホテルに帰らねばならないのだが、そんな人間の都合をあざ笑うかのようにオーロラはいよいよ優美に広がり続ける。
後ろ髪を引かれる思い出帰りのバスに乗り込む。が、バスの窓から見えるオーロラの美しさに寒さも眠さも忘れて窓を全開して大騒ぎ。
バスが曲がるたびに左に右にと乗客も移動して騒ぎ立てる。
うつるはずがないと思いつつもうちのへぼカメラで二枚ほどシャッターを切ってみる。どうやらかなりオーロラに酔っていたらしい。
後日談になるが、奇跡的に一枚はうつっていた。が、現実に目で見たあの感動的な光景とはほど遠い。この写真を見せてオーロラの美しさを語っても首を傾げられるばかりである。
よく一般の写真で見るように鮮やかな色は全くなく、白一色の白いもやのような写真。私にあの夜の興奮と感動を思い出させてくれる鍵である。
バスが街の中に入って行くに連れ、あんなにくっきりと見えていたオーロラがどんどん薄れていく。
ホテルに着いた頃には空はただの真っ黒な空だった。都会とは比べものにならないくらいの街の明かりさえも恨めしい。
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さっぱり五日目

昨夜(といってもすでに日は変わっていたが)さんざんはしゃぎまわったにこの日は街を立つので朝が早い。トホホ。
荷物をまとめてバスに乗り込む。飛行機でバンクーバーへ。
飛行機が離陸する頃に夜明け。だんだん明るくなっていく窓の外を見ると、下には真っ白な世界が広がっている。グレイトスレイブレイクだ。
飛行機に乗っているというのに湖の端が見えない。さすが世界五位。
バンクーバー着。おお、ぬくい。
ここバンクーバーの気温は日本とさほど変わらない。しかしイエローナイフから来たこの身にははっきり言って暑かった(12度くらいだったでしょうか)。
バンフで購入してからここまで大活躍だったアライグマの帽子(そんなものを購入しちゃっている私)もここでかぶると頭がむれる。
またバスで移動。都会だぁ。今まで行った街とはえらい違い。しかしこの街は州税があるぞー。
スモークサーモンのお店へ行く。試食してみるとあまりのおいしさについ買ってしまった。・・・しまった・・・。ま、カナダといえばサーモンだよねっ。
昼から自由行動。オープンカフェでエスプレッソを飲んだあと、街の散策(こればっかり)。
今までの街とは全く趣が違うので楽しい。カメラを手に郵便局や地下鉄、港などを撮る。
何となく寄ったポストカードショップで店員の中国人のおじさんに声をかけられる。私と一緒に行動していたお嬢さんの高級カメラを見たいという。
片言の英語で話が弾んだのだが、私が21歳だというと、「NO!」と(笑)。
化粧もしていないでそんな格好でスニーカーのあんたが21歳のはずがない。高校生。16歳だね。と(英語で)言われた。
白人系の方にならともかく同じアジア系の方に・・・何ともトホホな義朝である。
このあと免税店に行き、アイスワインというものに出会ってしまう。
アイスワイン。これがどんなものだかご存じでしょうか。私は全く知りませんでした。
カナダの自然凍結した葡萄を使用して造るワイン。普通のワインより大量の葡萄を使用せねばならず、その味は芳醇でとても美味しいとのこと。
当然高い。が、一目惚れしてしまった義朝はなんと3本も一気に購入。馬鹿。味も知らないくせに・・・。
百貨店にも行きました。リンツのチョコが安かったのでこれも購入(イエローナイフで買ったんじゃないのか)。かなり安かったのでもっと買えば良かったとあとで後悔しました。
この百貨店、布地売場もあるんですが、センスのいい素敵な布地がいっぱい。ああこんな布地が日本に売っていたら買うのに。しかし日本には絶対になさそうな柄でした(これも買っておけば良かったとあとで後悔している)。

この晩はハイズ・アンコーというステーキショップへ。
入り口から中が全く見えず、入るのにかなり躊躇してしまった(笑)。
席についてはじめにいただいたフランスパン、ガーリックのとチーズのと二種類有り、これが美味しくて美味しくて。
今までカナダで食べたパンで一番美味しかったのでついつい食べ過ぎた。で、このあと痛い目に遭う。
次に出てきたクラムチャウダーはともかくとして、メインのステーキ。
日本で食べるそれの、厚さ二倍、横幅三倍。それにプラスして丸ごと焼きトマト、一個まるまるでかいポテト、野菜、ヨークシャープディング(パンみたいなもんだと思ってくれ)。
ごめんなさい。メイン食べるので精一杯でした。
で、それをなんとか攻略したあと、デザートにチーズケーキが来たのですが、これがまた日本のとは親子ほど違う大きさ(当然こっちが親)。
こ・・・これはなに? 気が遠くなりながらも結局平らげた自分自身も結構怖い。
食後の珈琲を飲み(これにもまだミントチョコが付いていた)、やっと終了。
ミントチョコはポッケに入れてお持ち帰りさせていただきました。
同席した方は「まずかった!」とおっしゃっていましたが、私はそうでも。まずいと思うより幸せだと思うでまあよし。
美味しい者は美味しいものでちゃんと反応するのでとても良い舌です。
レストランを出ると、現地の人らしい白人のお兄ちゃんに「Happy new year!」といわれる。何を今さら・・・とその瞬間は思ったのですが、よくよく考えるとこの時旧正月。
私どうやら中国人と間違えられたらしいです(バンクーバーには中国系の方が多い)。これを同じツアーの人に話すと、「ああ、確かにあなた中国人っぽいよね。しかも一昔前の」といわれた・・・一昔前・・・。
気を取り直し、夜のバンクーバーをまたカメラを持って馬鹿写真を撮りまくる・・・。
バンクーバーには今まで行ったにとしには見られなかった人たちが。路上生活者。
やっぱバンフやイエローナイフじゃ一晩で凍死しちゃいそうですしねぇ。
暖かい分だけここのほうが治安も悪そうでした(といっても比較的、ですが)。
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すっかり六日目

最終日。今日でカナダともお別れです。
チェックアウトをしたあと、カメラ小僧の私、ベルボーイのおじさんと一緒に写真を撮りに。
おじさんノリノリで「きゃない ていく ふぉと うぃず ゆー?(といったような気が)」というと「シュア、カモンダーリン!」と来た。ナイス、おじさん。
そう言えばここのホテル、前日ロビーのソファにえらそうに座っていた金髪の少年がいて、その少年背広を着込んでいる上に胸には何かの(まるでホテルの従業員のような)名札が付いていた。いったい何者だったのか、ひょっとしてホテルの重役・・・?(まさか)
結構美少年だっただけに非常に気になる事項でした(しかし近寄りがたいオーラが彼の辺り一面に漂っていた)。
またバスに乗り込み、空港へ。
免税品のワインを受け取り、残った少々の小銭でチョコレイトを買う。ジュースを買う金もなかったので心優しいお嬢さんにおごって貰いました(義朝最低)。
これで飛行機に乗って大阪へ・・・。
関西空港へ着いてもここから電車に乗って遙か彼方の自分の家まで帰らねばならない。ワインと、巨大なトランクが旅に疲れ切った義朝を責めさいなむのでした・・・。
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カナダあれこれ

食べ物
やっぱり思うんですけどアメリカ系ではケーキはぜんっぜんだめですね。
ハワイでも失敗しましたが、カナダでも。
スーパーに行くと毒々しい真っ青なケーキとかが平気で売ってあるんですが。あれを美味しいと思えるんだったらすごいよ向こうの人は。
あとスーパーで見つけた面白いもの。ブロッコリーの茎の千切り。日本の天ぷら(練り製品の)。
ホテルの朝はかならずバイキング形式なんですが、ホットケーキやパンプディングは別にまずくないんですよねぇ・・・。
お国柄かバターやジャムと並んでメイプルシロップがあるのが楽しかったです。
一日だけ和食のバイキングも行ったんですが・・・。日本食は日本で食べるものです。ウン。
バイキング形式の食事、フルーツはあるんですが、野菜が少ないのはどうしてでしょうかね。トマトとか食べたかった(日本のバイキングにもないか)。
壮絶だったのは初日バンフでの夕食後に出たデザートバイキング。
私の今までの人生であれほどとんでもないデザートバイキングはきっと二度とないでしょう(って言うか無いことを切に願う)。
何もかもが甘い。そして匂いがきつい。外国にはさっぱりとしたケーキはないんかい!
そう言えばカナダで私初めてゴディバのチョコというのを購入して食べてみたんですが・・・高さの割には今ひとつ(私的に)。私リンツのほうが好き(絶対異論あるでしょうね)。
コーヒーショップもバンフとバンクーバーにはたくさんありました。
ホットチョコレートが美味しいとはバンフのお店で働いていたお姉さんの弁。
確かに甘くて寒いときには最高、という品。旅行中も何度かお世話になりました。
あと何故か(というかなんというか)スターバックスがたくさんありましたね・・・。


バンフやイエローナイフは雪がすごかったんですが、イエローナイフのほうは乾燥しているのであまり雪は降らないそうです。単にふったら溶けないだけで。
毎朝滑り止めか道に砂利をまいていました。
歩道も横断歩道もどこにあるのかわからない状態なのですが、日本よりずっと皆様交通マナーがいいのであんまり問題ないみたいです。
信号無くても歩行者がいると車もすぐ止まってくれるし。
バンフでは歩道はちゃんとありました。
商店街で各店に自分の店の前は雪かき(おそらく何時間後とかに)、とかいう義務があるそうです(店のお姉ちゃんがそのようなことを言っていた)。
そう言えばイエローナイフには街のすぐそばに刑務所がありまして、軽犯罪とかの囚人がそこに収容されているそうです。
あまり警備は厳しくないのですが、脱出しても寒くて何もできないどころか生命の危険に陥るので今まで脱走した人はいないそうです(笑)。
あと、車。イエローナイフの車はナンバープレートが変わっている、というのは前述しましたが、あそこの車が変わっているのはそれだけではない。
車のフロントからよーく見るとコードが出ている。
実はこれ、あまりの寒さにエンジンがかからないので駐車している間このコードをさしてエンジンが凍り付かないようにするんだそうな。
だからここいらのホテルの案内を見ると「駐車場にコンセントを差すところがちゃんとありますよ」みたいな事を書いてあって知らない人が見たらなんのことかさっぱりわからない。

春節祭
ちょうど旧正月の時期。
そしてバンクーバーには中国系の方が多い。
と、言うことでバンクーバーの街は至る所に真っ赤な飾り付けが。
獅子舞が置いてある場所もあったし、ポストカードショップに至っては1/3が春節祭のカード(そしてあと1/3がバレンタインのカード)。
帰国する際にはバンクーバーの空港で中国人の子供達が剣技等を披露していました。かっくいいぞー。あと大人が獅子舞も。
中国の獅子舞は日本のとはまた違ってなんか可愛いですね。ピンク色とかだったりして。
ワインを買った免税店でもおまけに春節祭のものらしき赤い紙袋(お年玉袋みたいな)にはいったコインチョコをいただきました。
バンクーバーで夜にふらふらと馬鹿なことをしながらさまよった私も「正月気分で浮かれている中国人」として大目に見てもらえたでしょうか・・・。

やっぱりオーロラの話
三日間のオーロラ鑑賞で二日目と三日目に見た大きく激しい動きを見せるオーロラ。
これはブレイクアップ現象といいまして、太陽の黒点がどうの磁場がどうの云々かんぬんで起きる現象だそう(さっぱりわからん)。
まあ、そんなにいつもいつもおきるもんじゃないと言うことで。ラッキーでした。
ちなみにオーロラは夏でも見ることはできるそうで、では何故過ごしやすい観光シーズンの夏にオーロラ鑑賞ツアーがないのかというと、答は簡単。
ずーっと北に位置するこの街は夏の日が非常に長く(白夜とはいかないけれどそれにちかい)、夜が短すぎてオーロラの鑑賞には適していないとのこと。
だから人々は結果的に真冬に寒さをこらえてオーロラを鑑賞するのです。
(それにしても、土産物屋に売っていたオーロラ紅茶、どんな香りだったんだろう・・・)

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