時々は、仕事上の専門だとか、ちょっとした趣味の中では
 書物への部分執筆、雑誌掲載の機会があるのですが、電気を
 離れて掲載されることは稀なことです。これもタイトルは先端
 技術の窓とありますので完全には脱した訳ではありませんが、
 一応、技術表現のない書物の一コマです。何となく、こんな
 一般誌への取り上げは、例え原稿料がボールペン2本で
 あっても喜んでしまうのは物書きへの憧れでありましょうか
  一、二度いろいろな技術報文をも含めて税務署にその収入
 を申告しなければならなくなった年には、物書きへの夢を募ら
 せていました。税務署曰く「雑収入ですね」、小生反論
 「知的収入です」。冷静に考えれば一応納税の義務額には
 達していますが、こんな小額、食べていける訳でもないので、
 税務署の言う雑収入が正しかったかと・・グスン。




      40歳の御札(おふだ)

  意識する訳ではないが、40歳の頃はひとつの節目を迎える。技術系の人間にとっては学校を終え、
 この頃になれば、それまでの仕事内容により、技量の差はあるものの、何らかの専門分野ができる。
 私の場合はそれが化学のバッチ制御かも知れないし、あるいは本人がそう思い込んでいるだけかも
 知れない。勿論それは職業上の分類に過ぎないが、さて自分の交友関係を見渡せば、公私混同とも
 思える電気関係が多い。

  心よき友人の悪口を言うつもりは、さらさらないが、余りにも自分とよく似た価値観の人々で、時々は
 うんざりもするのも、やはり40歳の節目だろうか。
 
  企業には異業種交流がある。40歳を機会に、個人の積極的な異業種交流を願い、今まで不得意な
 分野に私的活動の場を求めてみた。私の不得意はスポーツと語学。

  まずスポーツは、友人を師と仰ぎ、テニスコートに1年余りは通ってはみたが、あれ程、体力のいる
 スポーツとは思わず、遂に自分の優雅な姿を想像することもないままに挫折した。
 致し方なく、次は自分で見つけたスイミング。特にスクールには入らず、自分で600m程泳いでは帰る。
 90kgの余剰浮力あり余るこの身ではあるが潜水泳法を覚え、孤独と言うよりは、むしろリラックスできる
 週1回を楽しみに、もう数年経った。

  もうひとつの語学、恐る恐る英会話に通ってみた。学生時代からの劣等生固有の恐怖は消えないま
 でも3年、勿論大成するとは到底思えないが、最近では少しレベルの高いクラスに入れるに至った。
 私如きにも英語に興味を持たせる、完璧の教育法を身に付けた先生と、格調高い「英語」を話すOlder
 から「自然英語」を話すYoungerまでのクラスメイトの一人となって、私にとっては異業種の民、異文化の人、
 異邦人たちと1週間に2時間会話する。大げさに言えば、それはまさしく、かくしゃくと生きる将来への
 希望であり、若者とのGeneration gapを埋めることのできる空間でもある。

  その後の、時々はうんざりする友人たちも健在ではあるが、40歳の思い過ごしは、バッチ制御専門の
 私の看板板の裏に「スイミング」と「英会話」の御札を貼ったらしく、余暇の風に時々見え隠れすることと
 なった。






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